今村版『平家物語』
2023/03/17 17:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平清盛最愛の子・知盛視点で紡がれる、戦がもたらす景色が導く未来を示した、強くて脆い『平家物語』今村版、上巻。
平家滅亡後の『平家物語』誕生秘話という体の、ミステリアスな語りにすぐに心を持っていかれた。
優しい調べで溢れる慈愛に包まれた日常は、傍若無人な平家の悪役イメージを一変させ、「人は皆同じ」という当たり前な事を再認識させてくれた。ご時世も相俟って、戦の中での不条理や葛藤がより痛切に響いて、ページを繰る手が震えた。穏やかで策士な知盛と武骨な教経、一見対照的な二人に通じる実直さが結ぶ深い絆に、平家を応援せずにはいられなくなりました。平家側から描かれた物語だけど、格好良いだけじゃない「生」への泥臭さなど、飾り気のなさに好感をもてた。
穏やかなシーンも多い上巻は平家優勢で、更なる激動の下巻へ。
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今村翔吾版『平家物語』。この人の人物の捉え方は変わっている。あゝ、この人はこういうことを考えて行動していたのかと新たな側面に気付かせてくれる。
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上巻読了。
“祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。”
この有名な冒頭文から始まる本書。
今村版「平家物語」の幕が上がります・・。
小説としての「平家物語」は、もうずいぶん前に読んだ 宮尾登美子さんの『宮尾本 平家物語』が読み応えあって面白かった記憶があります(こちらも、平家サイドから描かれていてお薦めです)。
さて本書ですが、平清盛の四男・知盛をメインに平家一門の運命が綴れらています。
“歴史とは、勝者が紡ぐもの――”といわれるように、源平モノというと、源氏=正義、平家=悪。みたいな描かれ方が多いですし、「平家にあらずんば人にあらず」なんて台詞にもあるように、平家って嫌な奴ばかりと思われているフシがありますよね。
ノン、ノン、ノン!
そりゃいい奴ばかりでもないですが、
本書の主役・平知盛様は、頭も性格も良くて家族思いのイケメンなのです。
勿論フィクションですが、実際知盛は武勇に優れた智将として解釈されることが多いので、あながち虚像ではないのでは?と勝手に思っております。
源氏を筆頭とした“打倒・平家”の動きがあちこちで上がる中、平家の圧倒的トップの清盛が、そもそも何故頼朝や義経らの源氏の御曹司を生かしたのか?ということも今村さんなりの解釈で書かれているのが面白いです。
そして、各章の冒頭に“「平家物語」を編んだ人物”が物語を口承する場面が挟まれていて、この人物が誰なのかというのも興味をそそられます。
この巻は都落ちした平家が水島の戦いで木曾軍を撃退するところで終わっています。
史実として平家一門の末路が解っているだけに、今後は辛い展開だろうなと予想しますが、下巻を読むのが楽しみです。皆が大好きな源氏の“あのヒーロー”も登場するのでしょうね。
と、いいつつ、実は今の段階で、まだ下巻が手元に届いてなくて(;´д`)(もうお約束。トホホ)
せめて、上巻の内容を覚えているうちに読みたいものです~。
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とても良かった。平家には平家の苦悩があったことがよく伝わって来たし、それぞれの登場人物たちも魅力的な人物ばかりだった。そのなかでも、重衡が特にいい。
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現代語訳の平家物語が挫折してしまったので、読みやすそうなこちらを。
やっぱりとても読みやすく、惹き込まれる。
「平家でなければ人にあらず」で、あんまり良い印象のない平家だったし、平清盛のことも平家のことも、よく知らなかったのだけれど本作を読むととても印象がかわる。
知盛とてもいい人なのに、平家の滅びを知っていると下巻を読むのを少し辛く感じる。
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今まで読んだ源平もの(そんな読んでないけど)の中で一番おもしろい。複雑な勢力図の説明に多くを割くケースが多い中、平清盛の四男、平知盛を主人公にして、知盛個人の視点で公家から侍社会への変化を追っていく構成で、躍動的な「平家物語」を見せてくれる。岡山吉備国の古戦場に行きたくなった。
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文学書評
読書レベル 中級
ボリューム 339頁
ストーリー ★★★★
読みやすさ ★★★
ハマリ度 ★★★★
世界観 ★★★★★
知識・教養 ★★★★★
読後の余韻 ★★★
一言感想:歴史小説が好きな人、平家物語が好き(興味がある)人、『美しき平家』が知りたい人にオススメの作品です。
『さすが今村翔吾氏』と、平家物語のストーリー描写に感服しました。平知盛を主人公として、魅力ある武士が次々と登場しますが、この武士の心理描写が丁寧で魅力的なためとても惹きつけられます。
【Q.】平家物語について無知状態でも楽しめるのでしょうか。
【A.】私は「平家物語」についてほぼ無知の状態で読み始めましたが、全く平家物語を知らずに読むより、(歴史マンガでも十分ですので)平家物語を知った上で読むことをオススメします。なぜなら、平家物語は登場人物が多く、尚且つ同一人物の呼び方が複数あるため、登場人物の人間関係が混乱しやすいからです。もちろん、平家物語のストーリー(結末)を知った上で読み進める事になるので人それぞれだと思います。ちなみに、私は「平家物語―マンガ日本の古典 (12) 中公文庫」を同時並行で読み進めました。また、茜唄(上巻)を丁寧に読み進めれば、人物名と人間関係が理解できますので、下巻は楽に読み進められるかと思います。
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祇園精舎の鐘の声、諸行無行無常の響あり。から始まる平家物語、そして歌にもある、一ノ谷の戦さ破れ---の歌詞でも有名な一ノ谷の合戦や木曽義仲の話、平家の人々が如何に戦った詳細によく解った。さて次は下巻だ。
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口伝している「平家物語」を軸として、平家が描かれていく。
偉大すぎ、また時代の先を読む知恵があった清盛。その思いを組めた清盛最愛の子と呼ばれた知盛。
先を見えるが故に、己の意思だけではどうにもならない腹立たしさと諦め。
話としてはとても面白いのだが、歴史がてんこ盛りすぎて、人物相関図が欲しくなった。
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源平物語は主人公を誰にスポットを当てるかで見え方が全く変わってくるくらいに傑人が多いので、次から次へと新しい小説が生まれてくる。この小説も気にはなっていたが上下巻とボリュームも重くちょっとためらっていたんだが、いざ借りて読んでみると琵琶によって語り口調から始まり、そしてその詳細が節ごとに書かれていくといった構成でなかなか興味深い。
ただ、この時代の登場人物が同じような名前がどんどん出てくるので誰が平氏で誰が源氏はわかっても、系図が分からなくなってくるから登場人物図みたいなものを付けてほしかった笑
平家物語、源氏物語、それぞれの視点で書かれたもと違い、今回は平氏にスポットが当てられているものの、その琵琶の語り手が実は敵側の兵士だったという興味深い組み合わせとなっているため、話が進むにつれて語りもどんどん濃密になり引き込まれていくのがいい。上巻では水島の戦いまでで下巻へ橋渡しとなり長編にもかかわらず下巻を早く読みたいと思わせてくれる。
問題は、だ笑
表紙の絵が気に入らない。内容とマッチしない快活なタッチで描かれており見た目が軟派な感じがする。なんだかこれでは少年ジャンプのヒーロー漫画のようである。
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最後の方から色々分かってきたからどんどん面白くなってきました。下巻もこの流れで期待しています。読むのがとても楽しみです。【小5】
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平清盛の4男にして、病に亡くなった兄や病弱な兄に代わり平家一門を率いる知盛
知盛を兄のように慕う教経
滅びゆく平家をいかに戦いに勝利に結びつけようと奮闘する二人
先がわかってるだけに辛い
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読書記録 2023.4
#茜唄 (上)
#今村翔吾
栄華を極めた平家が、転落してゆく様を描く平家物語ではない。新しい時代のために懸命に生き、戦う家族の物語。息子を持つ父として、親や子、孫の生き様が胸に迫る。
しかし、下巻ではあの男が平家の前に立ちはだかる。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
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物語の継承(作中現在)と当時の回想(メインパート)の2つの時間軸で語られる平家物語。非常に抒情的な語り口で引き込まれてしまう。そして、滅びゆく平家を応援し、涙するのだ。
主人公である平知盛と知盛を兄者と慕う平教経のキャラ造形や関係性はある種の層にめちゃくちゃ刺さりそう。その他にも現宗主の宗盛やその他平家一門、後白河法皇(cv:中尾隆聖)などはキャラが立っており、歴史物をあまり読まない人でも読みやすいと思う。一方、源氏の平家討伐先鋒とも言える木曽義仲は下巻で活躍するのかもしれないが、この巻においてはあまり強い印象は受けなかった。どことなくNPCじみている。
しかし、木曽勢が現在の岡山県児島まで進出して平家と戦っていたことは知らなかった。京都以西のエリアの戦闘は源義経担だとばかり……読む前は章タイトルの『水島の戦い』てどういうことやろか?と思っていたけど、文字通り岡山の水島のことか(瀬戸内で育ったので出てくる地名がどれも印象深く、はいはい、あの辺ね!てなる)
黎明期の武家の在り方を模索しつつ、一つの遠大すぎる答えに辿り着いた清盛、知盛親子。ある意味突拍子ない画餅にも思えるが予想を超えた面白い発想だった。
(余談ながら、奇しくも架空の日本を舞台にした漫画『日本三国』が似たような日本の分割をし、かつ西日本の支配者が平姓であることを思い出した。)
さて、上巻では未だに義経も頼朝も登場しておらず割と緩やかに時が進んだ感があったものの、下巻は息つく暇なしな怒涛の勢いで、そしてより悲壮感のある展開になりそう((((;゚Д゚)))))))
そして、平家物語を受け継ぐ者こそ上巻で判明したが、果たしてこの語り部は誰なのか?それもまた気になる(見逃してないよね?)
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平家から語る源平合戦。直近の大河の影響で源氏に肩入れしがちだったけど、当然平家には平家の物語があり、滅亡に追いやった源氏が悪になる。機転が効いて、戦術に長けた武将は平家にも居たわけで、何が運命を分けたのか改めて考えてしまった。後白河法皇の狸っぷりが憎たらしく。多分諸悪の根源はこの人だろうな、と思う。平知盛という人を深くは知らなかったので、また1人、今村さんによって魅力的に描かれる武将に出会えたことが嬉しい。下巻へ。