逃げずに踏み止まらず、問い続ける力
2023/09/20 16:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
詩人ジョン・キーツの手紙に初めて使われたというネガティブケイパビリティという言葉は、答えを急がない、不確実性を許容する高度な能力であり、知的寛容さともとれる。それに対するポジティブケイパビリティは、タイムパフォーマンス良く、素早く答えを出し対応する様をいい、現代ではそれがもてはやされる。不安定、不確実、複雑、不明瞭を特徴とするVUCAの時代の現代を見つめれば、答えを急いではいけない時もある。老子の東洋思想に、ネガティブケイパビリティにつながるものがあるという。素早さと分かりやすさを求めすぎないように。
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日立出張帰りに偶然出会った本。
・無知の技法に、キーワードとしてあったような、、、というきっかけで気になっていたので購入。
・あんまり論理的ではなく、納得感が薄い。
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素早く問題を処理することが求められ、賞賛される現代において、あえて「不確実な状態に耐え、素早く問題を処理しない」必要性を説く本。
個人的には、とても学びの多い本だった。
冒頭の説明だけだと時代に逆行した内容のように思われるが、著者は素早く解くべき問題とそうでない問題を峻別し、前者に対しては問題解決力(=ポジティブ・ケイパビリティ)、後者に対しては不確実性に耐える能力(=ネガティブ・ケイパビリティ)を発揮すべきと主張する。
不確実な状態に置かれると強い不安に襲われ、逃げてしまう自分にとっては、色々と学びの多い内容だった。
正直、ネガティブ・ケイパビリティをどのように鍛える具体的な方法については、本書を読んでも「これだ」というものを見つけられてはいない。
それでも、ネガティブ・ケイパビリティという概念を知れたことだけでもかなりの収穫があった。
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すぐには答えが出ないことってたくさんあって、でもどうしても時間がかかること、はっきりしないことは避けられがち。そこにネガティブ・ケイパビリティという言葉、スキルというラベルがつけられることによってコスパ、タイパを意識せざるを得ない今の時代に釘を刺してくれているような、そんな考え方だなと思う。
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本書の読者は、読後に感想を書くことを躊躇うかもしれない。とりあえずはネガティブケイパビリティとは不確実な状況で、判断を保留し、オープンでいる状態を継続する力と認識し、今後ふとした時にネガティブケイパビリティを思い出してみたいと思う。個人的には「育てる」ではなく「育つ」のを待つ感覚という例が腹落ちした。「全力を傾注した、何もしないこと」と表現された「無為」に関してユングが歩けるようになった孫の後をつかず離れず倒れたらすぐに起こせるよう、全神経を孫の後ろに集めて一緒に歩く中で理解できるようになったというエピソードにも象徴されているように感じた。
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ネガティブケイパビリティを見出したキーツやビオンの生涯を丁寧に記述していた箒木さんの本に対して枝廣さんのこちらの本はより実践的。個人あるいは組織としてネガティブケイパビリティ的な態度を育ててたり鍛えたりしたいと考えている方にはこちらの方がわかりやすく、使いやすいかと。安易にわかりやすさに飛びつくことを諫める態度であるネガティブケイパビリティを解説する本もわかりやすさだけで選ばれるとしたら皮肉なことですが、この本は立ち止まって考えること
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何かとすぐ唯一無二の正解を求めがちな今日この頃。答えを出して自分の手を離れたらあとは自分の責任ではないと思いたい気持ちから性急な動きになっているのではないかという問いかけがされているのではと感じた。すごく胸に刺さる問いかけ。思い当たることがありすぎる。
本文中に何度も出てくるネガティブケイパビリティ。ネガティブという単語から否定的なイメージがずっとあったので、そのイメージを抜きながら読み進めた。一度立ち止まって考えてみることの必要性、その場作りなどが記されていた。
要はバランスなので、素早く答えを出すべきところとじっくり考えるところの感覚を磨いていきたい。
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読了!早急な結論、判断や見解に飛びついたり、諦めたり、思考停止しない 持ちこたえる能力、待ち続ける能力をたかめるように、意識して日々過ごしたいと思いました
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「答えを行動を急がされる」「分からないが言えない」学校で特に感じること。
子どもの「ネガティブ・ケイパビリティ」を奪っているのではないか。
私自身、特にこの2年、「聴く」ことができるようになりたいと思い、いろいろと考え動いてきた。
今感じているのは、「“ただ”一緒にいる」その重要さと難しさ。
今の私の中にあるものはなんだろう。
それをゆっくり見るために春から余白の時間を持ちたいんだな、私は。
・脳は不確実性を嫌うように進化してきたため、物事が予測・コントロールしにくくなると、私たちは私たちは強い脅威を感じる。脅威を感じると、脳は「闘うか、凍りつくか、逃げるか」というモードになり、モチベーションや集中力、敏捷性、協調性、自制心、目的意識、ワーキングメモリも低下する。
・意味がわからないと、わかりたいと思うのは心の根本的な傾向。
・ネガティブ・ケイパビリティとは、事実や理由をせっかちに求めず、不確実性や不思議さ、懐疑の中にいられる能力。
・何がわかり、何がわからないのかの区別がわからねばならない。本当にわかるためには、まず何がわからないかが見えて来なければならない。
・“新たな考えのためのスペースを残す”ために、自分が知っていることと、欲していることを忘れ、新しいパターンが展開するのを辛抱強く待て。
・不安や居心地の悪さかは、つい「逃げ出そう、散らそう」とする衝動が生まれるのは、実は自然なこと。その衝動を否定するのではなく、不安などをそのまま器に容れるようにして、不安や居心地の悪さを認めて同居する、一緒に居続ける。
・ある人の前提を「保留する」とは、「いわば、『自分の前に吊るし』、いつでも質問したり、観察できるように」しておくことだ。これは前提を捨てたり、抑圧したり、表現するのを避けたりという意味ではない。自分の前提を自覚し、検証するために掲げるという意味なのだ。これは自分の意見を弁護していたらできないことである。また自分の前提に気づかないうちは、あるいは自分の考えが議論の余地のない事実ではなく、前提にもとづいていることに気づかないうちは、やはりできるものではない。
・素直な心とは、自分の利害や感情、知識や先入観などにとらわれずに、物事をありのままに見ようとする心である。
・方向性を全部捨てた集中力、何もしないことに全力を傾注する、なんにもこだわらない状態、無為。
・何もしないこと、ボーッとしていることは、実はすごくエネルギーがいること。
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年末に友人たちと泊まりがけの忘年会に出かけました。温泉入って食事してコタツに入ってごろごろして、なんとなく今年面白かった本談義になった時に、たまたま読んでいた中公新書「ウクライナ動乱」の中で提示されていた「錯綜した亀裂」「オーバーラップした亀裂」の対比図が目鱗だったという話をしました。いくつかある亀裂がバラバラな時は大丈夫なんだけれど、その線が重なり合うといきなり戦争になる、という指摘です。それって「ネガティブ・ケイパビリティ」に通じるものがあると教えてもらったキーワードです。これほど正解の見えない時代に必要とされている能力のこと、とのこと。全く知りませんでした。で、この本です。いくつか薦められた本の中で一番易しそうなもの,読んでみました。本当に優しい語り口で語っているのでするする読めてしまいますが、そのテーマは深く、広く、重いです。しかし、この能力は、別の語り手を持ってして「聴く能力」とかあるいは「ケアの力」として語られていることとも重なると思います。とても気づきの多い本ですが…今、まさにウクライナのこととかガザのこととか思ってしまうと、ネガティブ・ケイパビリティではなく思考停止してしまう感じにも陥ってしまいます。まあ、急がず慌てず,同じ著者の「システム思考の上手な使い方」でも読んでみようなかな…
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わかった気にさせてくれる本でした。
感覚になんとなく訴える書き方(そして読者が自分で勝手に補って「そうだね」と納得する流れになる書き方)をされているので、ざっと読んで、なっとなくわかった気になります。
でも、よく考えると、「それってちょっと違うんじゃない?」「嘘じゃないけど、そう言い切るのはどうだろう」という点がたくさんあります。
ロジカルに書かれているようで、そうでない箇所が結構あるように感じました。
例えば、言葉をきちんと定義をした上で論を展開しているわけでではないので、解釈によって如何様にでも考えらる箇所が多かったりします。
他者の著作や言葉・主張の引用も、ご自身の論を混ぜて書かれているので、雑な印象でした。どこが元の方の言っていることで、この本の著者のオリジナルなのか、ちょっと不明瞭です。また、元の著者が使っている文脈の意図とは少しずれているような箇所もあったり、著者の解釈を織り込んで取り上げているような箇所もあります。(完全に違うわけじゃないのですが、5%の部分を99%みたいに言ってない?みたいな感じがちらほら。)
というわけで、読んでいて、私にはちょっとストレスでした。
箒木先生のネガティブ・ケイパビリティの本も読みましたが、箒木先生の本の方が、この種のモヤモヤ感は少ないと感じました。
ただ、ざっと読んでまぁこんな感じかぁと、なんとなく参考になりました。
書いてあることを文字通りに受け取ってはいけない感じで読むというか、素直に受け取れない感じだったのはちょっとつらかったです。ある意味、ネガティブ・ケイパビリティを鍛えられる一冊でした。
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本書の提唱する「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、何かを「しないでおく」能力だという(p28)。
逆に言えば、何かを「即解決」できそうな時代に合って、そんな時代だから苦しむ人々にとって、目からうろこの逆転の発想といえる。
ただしこれは「諦める」「現実甘受」「思考停止」ではない。(p32)
観察、傾聴、辛抱。まさにAIにはできない、人間と人間(複数の)にしかできないことだ。ポストモダンの動物化に抗する一つのヒントになりうる。本書の指摘は、きっとどこかで「ケアの倫理」につながっている。そんな気がする。
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今までポジティブケイパビリティ全開で生きてきた中でネガティブケイパビリティが両輪の片割れだという話が斬新だった。合意する必要はなく、「受け容れる」という考えは、最近マイブームの共感と相まって実践に移していきたい。しかし直ぐに答えを出さずに留まるのはかなり勇気がいることで、なんにも拘らずそのままでいることができるのだろうか。フットサルでディフェンスしている時、どっちに行かれても対応できるような状態に近い?
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ネガティヴ・ケイパビリティとポジティブ・ケイパビリティの両軸を持つビジネスパーソンになる必要があることがわかった。どちらかだけが優れていることではなく、状況によりどちらの考え方を使うか・どちらの態度で行動/思考すべきかを適切に判断できるようになるべき。
日々の仕事の中ではどうしてもポジティブ・ケイパビリティのみが求められるなかでどうネガティヴ・ケイパビリティを伸ばしていくか、具体例もあり行動に落とし込みやすい印象だった。
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ネガティブケイパビリティが自分の具体的な行動などと簡単に結びつけることはできないが、こうした考えを持っておくことだけでも大切
良質な問い、聴くことをもっと大切にしていこう