紙の本
『YA! ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』
2023/08/05 20:29
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子校に進学した鈴は共学校に入学した翔太に呼び出されて心ときめくが
──小林深雪「女子校か共学か、それが問題だ!」
中学の図書準備室でミッコに出会い心惹かれたアユには事情があって
──にかいどう青「チョコレートの香りがするね」
父が苦手なすずは遠回りして下校する途中でみやびに声をかけられる
──長谷川まりる「チキンとプラム」
つきあっている千歳からカミングアウトしないかと持ちかけられた真結は
──如月かずさ「いわないふたり」
中学生になっても「コドモっぽい」ままの大希がナプキンを拾ってしまい
──水野瑠見「羽つきスキップ」
栞はクールな安珠に惹かれるが、安珠には手のかかるいとこの咲留がいて
──菅野雪虫「いつかアニワの灯台に」
《やわらかに、あざやかに、そして激しくジェンダーを描く。
漫画家×6人の児童文学作家による異色のアンソロジー!》──帯の紹介文
イラストを担当した鎌谷悠希による「香り」をテーマにした短編漫画も収録
《心と身体を取り巻くあれこれ。「今」を生きる児童文学作家がジェンダーと中学生をテーマに物語をつづります。
ここでしか読めない、珠玉のアンソロジーです。》──出版社サイトより
どれも短編にしておくのがもったいないプロットと展開
(短編だからこそ凝縮された物語にしあがっているのかもしれないけれど)
ことしのイチオシの一冊
電子書籍
重たい話を軽く楽しく読めます
2023/08/22 02:10
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投稿者:future4227 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジェンダーフリーをテーマに児童文学作家たちが描く短編集。お目当ては水野瑠見さんと如月かずささんの作品だったけれど、結果的にはどれも個性的で素敵な作品だった。同性愛とか性同一性障害で悩む子どもたち。いつまでも娘が小学生だと思ってるセクハラパパ。生理に無理解な男子学生たち。異性とあるいは同性とどういう距離感で付き合えばいいのか?新しい価値観が出てきてみんな困惑し模索している感じがよく表現されていると思う。実際、世の中の価値観もどんどん変わっていくんだろうな。金八先生で上戸彩さんの演じた女の子を思い出す。
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こういう本が、小学校や中学校の図書室にあってほしい。ジェンダーについてだけじゃなく、他のさまざまなことについても、いろんな考え方や生き方があっていいんだって思わせてくれる本だから。
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改めて有名な作家さんの集まりだと思いました。
ジェンダーに関連した深い、不快、日本の人間関係が漫画も入れて7作品。視点が全て違って、タメにもなる。
①男の匂い、女の匂い。個人の好みで男女関係ないのでは?
②男性が好きな男性を好きな女子。
③性自認が女性で女性が好き。
④父親の愛情表現がセクハラ。家族の対応も不満。
家族観。
⑤女性が恋人の女性。男性が好きな女性で距離感が近い人がいる。誤解されたくない。カミングアウト。
⑥性への関心と誤解。コドモっぽいとは。女性の生理と自分にできる事。
⑦男尊女卑。優しい、いいことは。
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ジェンダーフリーをテーマにした短編集。作家が豪華なのと、挿絵や表紙を描いた鎌谷悠希による8ページのマンガから始まるという、子どもが手に取りやすい作りになっている。内容もおもしろかったし、テーマ的にも小中図書館に配架して欲しい本だと思った。
「Peony 」鎌谷悠希
鼻が利くまるくんが席替えで僕の後ろになった。そんな日に限って、僕はこっそり母さんのシャンプーを使っていたんだ。
「女子校か共学か。それが問題だ!」小林深雪
隣の家の翔太が好きな鈴。私立の超難関女子中に受かってしまい、しかも女子校が肌に合って最高な毎日。そんな時に受験失敗して私立共学に通う翔太から、中学で好きな人が出来たと告白されて…。
「チョコレートの香りがするね」にかいどう青
アユはとある事情からあまり人と関わらず図書準備室にいることが多い。そこにはアユの少ない友人ミッコが会いに来てくれる。ミッコは最近付き合い始めた吉村くんがキスしたそうなんだよねーと話始め…。ミッコが大好きでこっそり持ち歩いているマーブルチョコが上手く使われ、甘酸っぱい想いが書かれます。
「チキンとプラム」長谷川まりる
うちの父さんは料理もするし、朗らかでとっても良いお父さんさんだと思うけど、私に対する性的な会話や行動(お風呂に入ってこようとしたりとか)がとにかく嫌。そんな時にクラスでいまいちなじめなかったみやびと高架下の公園で出会ってお互い家族に対する悩みあることを知る。
「いわないふたり」如月かずさ
私と北条さんはこっそり付き合ってる。それは世間でレズビアンと言われる関係だから。中三の修学旅行前にお互いの"世間に公表したい、したくない”という思いのズレから、ぎすぎすした状態になる。
「羽つきスキップ」水野瑠見
中学になってなんだかこれまで仲の良かった男女がくっきり別れた状態になり、男子のエロ話にもついていけない
僕。しかも女子が落としたナプキンをティッシュと思って拾って渡してしまい、最悪の事態に。
このお話、個人的にスゴく好きでした。男前な主人公だった。こんな弟なら欲しいなぁ。
「いつかアニワの灯台に」菅野雪虫
中高一貫女子校に通う栞は地味。地味カッコいい安珠と仲良くなりたい。安珠は一軍女子咲留と親戚でよく関わっている。あることをきっかけに栞は安珠の家に誘われ、彼女の秘密や咲留との真の関係性、安珠がアニワに行きたがる訳などを知っていく。
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児童書の棚で見つけた。大人でも難しいLGBTQをどう扱うのか?(この本はそれだけでは無い)
当事者の多くは自己肯定感が低く悩んで成長していくらしいが、ここでは肯定していいんだといっている。
自分の感覚を大事に、他人の感覚も尊重して。
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中学生が主人公でジェンダーフリーがテーマの短編集。巻頭の漫画の鎌谷悠希さんが各短編の扉絵も書いていて、とても良い。
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ジェンダーフリーアンソロジー、ふーんと読んでみましたが、すごい! YAや児童書はジェンダーの問題をきちんと語る作品は多いですが、最先端も最先端の話がずらっと並んでいて全くゆるみのない仕上がり。作品ごとにテーマ分けもされてるし、話のバランスもいい。非常に優れた仕事だ。
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このご時世に必要とされる短編集。欲を言えば、女の子が主人公ばかりだったので、男の子(体が男の子の人間)に寄り添った話がもう一編あると良かった。
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ジェンダーフリーアンソロジー。
性に悩む中学生たちが主人公。ほろっときたり切なかったり可愛かったり、感情が忙しかった。
惜しいのは男の子目線が少なかったところ。男の子主人のジェンダーフリー短編集、ぜひお願いします。
よかったのは、にかいどう青さんの「チョコレートの香りがするね」と長谷川まりるさんの「チキンとプラム」。
にかいどう青さんの短編、あまりにも好きすぎるな、とずっと思っていたんだが、さすがに今回完全に射抜かれた。いやーあまりにもお見事。残酷なくらい切ない。ホラーのほうも読んでみることにする。