紙の本
洛北の駆け込みの寺での物語
2023/07/11 10:40
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代中期、比丘尼御所としての洛北の寺・林丘寺を舞台にして、そこで働く青侍、初代住持とその座を引き継いだ皇女、達の物語である。王朝時代の仕来りが日々流れる寺内が、江戸時代近世の時代の流れにさらされながら、寺外の俗界とのかかわりの中で、厄介ごとから逃げる駆け込み寺のような様相を示す。洛北の季節の移り変わりとともに、主人公は、心の中に抱え込んだままの苦悩を意識しつつ、人々の駆け込みに対応しつつ、自らを見つめなおし、逃げその先に対峙するという活路を見つけ出そうとしているのかもしれない。
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【悩みを抱える人々が門を叩く、一風変わった駆け込み寺】平穏で優雅に暮らす尼たちの元へ、ある日飛び込んできたのは「助けてほしい」と叫ぶ若い娘……。雅やかで心に染み入る連作時代小説。
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優しい元揺の登場が毎度待ち遠しく読み進めてました。歴史背景知識はあまり必要なく読み進められるので、澤田瞳子小説にしては読み進めやすい作品だと思う。
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202306/最初は登場人物がわかりにくかったのと、文中()での注釈説明文が世界観を邪魔するので読みにくかったけど面白かった。この舞台でこの展開を作り出すのは澤田瞳子ならでは。
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いつもながら澤田瞳子さんの作品は一筋縄では行かない。最初は、ほんわかとした人情物かと思って読んでいたら、なかなかどうして、人間の業の様なものが浮き出て来て、それでいて、最後は清々しい気持ちになる。やっぱり凄い。
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人里離れた尼寺を舞台に高貴な方々の日常とそこに関わる市井の人々の人間模様を描いた作品。書名の「駆け入りの寺」から受けた印象とは少々異なる内容でしたが、それぞれの物語にそれぞれの「駆け入り」がありました。
過去の事情から、自分を捨て他人ばかりおもんばかる老尼公と、恩人を捨て置いたという自責の念にさいなまれる青侍の二人の主人公。尼寺へ駆け入るが如く持ち込まれる問題に向き合う二人の主人公を通じて"過ちは真正面から向き合ってこそ新たな道が開ける"と言ったメッセージを受けた気がします。
尼公が発する御所ことばと周囲が発する市井の言葉が相まって、舞台となる尼寺の雅でありながらも人間臭い独特な世界観が醸し出されています。
また、各物語の冒頭にさらっと並べられた季節感溢れる語句が五感を刺激して、情景とともに物語りの中へと誘われます。
お恥ずかしながら人名が覚えきれず、語句の意味が分からずで、本に貼り付けた付箋紙に単語を拾い、読みや意味を追記して、時折参照しながら読み進めました。受験勉強のようでしたが楽しく読ませていただきました。
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皇女のために建立されたお寺の歳時を描きつつほっこりとした人情話を。
それぞれの苦しみを優しく解きほぐしてくれる。
仕事に疲れたあなたに。