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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵画に描かれた様々な階層の様々な職業の服装をカラーで紹介しながら解説。想像で描かれた服装もあれば王族の威厳を示す肖像画も。
名画の中の「制服」
2024/08/07 20:18
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
名画の中の職業にまつわるコスチュームについて解説。
名画の中心にいる人ではなくて、脇にいる職業人たちに注目。
当時の職業人たちのことが分かる、興味深い。
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名画の中に描かれた職業にまつわる60のコスチュームについて、
衣装に込められた由来や意味などを解き明かす。
50音順に職業を並べ、各4ページに作品と拡大、文章で構成。
レンブラント、ドガ、クールベ、フラゴナール、マネ、
ブリューゲル、ヴァン・ダイク、ミレイ、ミレーなど、
名立たる画家による作品に描かれる人々のコスチューム。
職業人のみならず、王侯貴族、乞食、軍関係、宗教関係、
市民、子ども、花嫁、救世主やキューピッド、魔女までも、
紹介し、絵画ならではのフィクションもあるけれど、
それらも含めての、その姿の由来や意味、歴史的背景や生活、
風俗などを分かり易い文章と視点で説明している。
また、ルイ十四世の、靴の踵が赤い理由と何度も登場する若禿話。
現代に伝わる御者のネクタイの結び方。権力の緋色、
黒色の流行など、数々のエピソードも楽しめました。
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題名にあるように、名画のなかで描かれた60の職業について紹介。だいたい4ページずつ、絵全体と当の職業人の拡大部分を載せ注釈をつける。なかなかの労作。
医者、乳母、執事、仕立て屋、といった「職業」から、王、王子、といった人、また市民というのもあり、市民がアイロンがけをしている、市民がスケートをしている、市民がバターをつくっている、の図などとても興味深い。
スケートでは「スケート靴を締める」ニコラ・ランクレ画1743年(ストックホルム国立美術館)が紹介される。この年代でスケート、靴の下に鉄の長い棒の靴あてのようなものをひもでくくりつけている。日本で戦前あった「ゲタスケート」みたいなものか。
市民がバターをつくる、では「バター撹拌器」ヴァレンタイン・キャメロン・プリンセプ画19世紀 で腿くらいまでの丸い木製の台形の樽状のものに棒をさし女性が撹拌している。
絵の中からこうやって職業を抜き出してみると、民俗学的にとても価値のある著作だなあ、と感じる。
著者の内村理奈氏は「名画のドレス」という本も書いている。あとがきではその続編とでもいうべき本だということだ。ただ絵画作品で描かれる服飾は、フィクションとリアルのはざまにあるような姿であるともいわねばならない、と述べている。が、描かれるものはその人物を表現するのに最もふさわしいものが選択されているはずだ、としている。
表紙は「救世主」ジャンヌ・ダルクである。
ジョン・エヴァレット・ミレイ画「ジャンヌ・ダルク」1865作 裁判記録では「女性の衣服を完全に放棄し、髪を短く刈り、シュミーズを着け、ブレー(男性の下穿き)を穿き、上衣を着ている。・・」とある。
2023.5.30第1版第1刷 図書館