紙の本
作家に出会えてうれしい
2023/06/25 09:12
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投稿者:スマートクリエイティブ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の著作を初めて読みました。久しぶりの一気読み。文体と主人公と脇役の会話に引き込まれました。『人などと申すは、しょせん生きているだけで誰かのさまたげとなるもの』『されど、ときには助けとなることもできましょう...均して平らなら、それで上等』葉室麟さんの後継者であり、青山文平さんと共に読み続けていこうと思いました。「いのちがけ」、「藩邸差配役日日控」読みかけです。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
葉室麟さんが生み出した、
羽根藩、黒島藩のシリーズは読んだことがあるけれど、
架空の藩を舞台にした物語は外れない。
北陸にあると思われる神山藩が舞台。
物語を通して静かな雰囲気ではあるけれど、
たしかなうねりがあって、
そこで生きる人々の鼓動がある。
構成も緻密でミステリー的な読み方もできる。
紙の本
おっさんのファンタジー
2023/10/20 00:05
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投稿者:みわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろ受賞しているのに、そこはかとなく不愉快な作品で、世間の評価と自分の好みはこんなにも違うのかと驚いた。何も起こらない静かな物語は嫌いではないつもりだけど、カタルシスがないし、おじさんの妄想の世界にしかいそうもない都合のいい女の造形には笑ってしまい、私には合わなかった。
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穏やかな物語ながら、悲喜変転目まぐるしく、楽しみながら一気に読み終えてしまった。
物語は神山藩という架空の藩の片田舎、郡方として生きる一人の武士の話なのだけど、読者は読み始めて早々に、主人公は妻に先立たれていたことを知らされ、しかもそこから一人息子を失い、息子の嫁も去り、世話人も去り、たった一人になってしまうのだから、読み始めから呆然としてしまう。
主人公は決して万能ではないし、敵も巨悪というわけではない。主人公も、そのほかの人物も、敵さえも含めて、あり触れた人間の織りなす物語と言える。しかし巧妙に伏線が張られていて、それを評価する人も多いと思うけれど、私は無駄が無さすぎると感じた。それでも時代小説のなかでは久しぶりに読み応えがあった。オススメしたい一冊。
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描かれる一つ一つのエピソードが、長短さまざまな起伏を持って収斂していくような、複雑な設計図に基づく小説という感じがする。構成の技巧というべきか。
登場人物も数多く、それぞれに背景とキャラクターを明確に与えらえてもいる。こういう人物が出てくるだろう、と予想しながら読むと、予想に違わず、出てくるし。
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架空の藩、神山藩で役人を勤める主人公。いきなり息子を事故で亡くすところから始まり重たいなあ、と読み進める。
独り暮らしの生活が始まるが、息子の嫁や夜鳴き蕎麦屋、藩の同僚など人が集まり、得意の絵を嗜んだりして穏やかな日常に戻りつつあるが、事件に巻き込まれていく。
普段は落ち着いた様子である庄左衛門であるが、上司に詰問され凄く緊張したり、剣術がそれほど大した腕前でないところなど、平凡な部分に親近感を覚える。現代のサラリーマンの様。
が、昔の友に言い出せない事、江戸に送り出した息子の嫁への思い、思い通りに描けなくなった絵、胸に秘めた多くの思いを抱えこれからも生きていく姿に強さを感じた。
それでも最後、わずかに充実感がある描写があり、幸せな気持ちに。
砂原さんの作品、神山藩シリーズも読んでみたくなりました。
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庄左衛門さんは、反省したり、悩んだり、忖度したりする凄く普通の人。それが凄く良かった。
「人などと申すは、しょせん生きているだけで誰かのさまたげとなるもの」
「されど、ときには助けとなることもできましょう……均して平らなら、それで上等」
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受け入れざるを得ない息子の死、それは家の存続ができなくなるということ。一人になってしまっても自暴自棄にならず淡々と生きていくが、生来の優しい性分は自然と表に出てくるもので人とつながり騒動に巻き込まれていく。
人生は悪いことばかりではないと思える。
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まず、大変面白かったです。
舞台は神山藩、北陸あたりか?架空の藩です。
老年に近づく高瀬庄左衛門の周りで起きる事件や藩の闘争、多彩な伏線が物語の終わりに回収されて行きます。恋心、友情、剣と学問などを絡めてサスペンスのごとく物語は進む時代劇となっていましす?
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主人公が初老のオジサンで、剣が強いわけではなく、頭脳明晰というわけでもない。歳の割には、意外ともてるけど、どっちかというと小心者というところが、親近感が持てる。最終的に、大きなことを成し遂げたわけではないのに、なんか、凄い人物のように思えるのは、作者の筆力だろう。
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人生の岐路。あの時こうだったら、そんなことを考える。ただ今の自分があるのは、結局それがあったから。人と人のつながり、押し合いによって繋がる世界。そんな事を感じさせる本。
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書かれて事件は、大きな事件だが、大きな感情の起伏がなく落ち着いた感じで、話が進むのは、主人公の庄左衛門のキャラクターを反映したものだろうか。神山藩シリーズの次巻も、楽しみ。
神山藩のモデルは、加賀藩の支藩かな?
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終始穏やかな物語
それなりに山あり谷ありの人生だが
主人公の人柄のせいか
あまり物語の波を感じない
でも退屈せず読めてホッとした心持ちになれる作品
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帯に「神山藩シリーズ」第1弾と書いてありました。
また新たなシリーズ物に手を出すのはためらわれたのですが、借りてしまったからには読まねばなりません。
ちょっと気が重かったのですが、読み始めるとそんなことはすっかり忘れてしまいました。
2年前に妻を亡くし、跡継ぎもないまま息子も事故死。
仕事の合間に絵を描くことで、ゆっくりと死んでいこうとしている高瀬庄左衛門。
しかし彼は、そうするにはあまりに真っ当な人だった。
実家に帰した嫁は、庄左衛門に絵を習いに5日に一度ほど通って来るが、彼女の弟の不審な行動を止めたことから、ゆるやかに流れていた彼の人生が大きく変わる。
…のだけれど、ドラマチックに大きく転換するわけではない。
あくまでも庄左衛門のペースでじっくりと話は進む。
だからといって中だるみのようなものもない。
手練れの技だな。
第2弾は庄左衛門ではなく、別な人の話なのではないかと思う。
最初からシリーズを狙っていたというよりも、完成後にシリーズを考えたような。
というのも、庄左衛門の話で続くのなら、志保の出立も、宗太郎の縁談も、半次の過去も、もっと時間をかけて話を膨らませることができるはずだから。
この1冊でまとめようとするから、最後少し駆け足になったか、と思った次第。
でも、弦之助が庄左衛門の養子になりたいというのは、今後に繋がるかもしれない。
庄左衛門は老いていく。
いずれは半次も江戸に戻るかもしれない。
その時にシリーズの中核を担うの弦之助かな。
藩の政権争いに巻き込まれた庄左衛門は、自分の筋を通し、なおかつ余計な被害者を増やさぬために、あえて罪を被ろうとする。
そういう庄左衛門の潔さと裏表の寂寞を見守る人々が、そっと彼を支えているという構造が心地よい。
第2弾、絶対読もう。
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慎ましく己の信念に従って生きること。
日々の変化の中に幸せはあること。
わかっていても小さな喜びだけを燃料に生きていくことは自分にはできない。憧れつつも自分の業の深さを再認識した。
武士の矜持、日本人が忘れている日本の心を見た気がした。