紙の本
動的…ではない粛清の被害者の心模様
2015/06/06 21:19
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投稿者:アトレーユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
革命後のソ連の大粛清が題材。のわりにはグロテスクでなく。ソルジェニーツィンの作品の場合、運命はそのまま受け入れるしかない、その前提があって、その中での人の生を描く形で、ある意味、常に前向きなのだが。ケストナーはそこまで達観していず。どっちがいい、とかではないが。終わりかたがよかったなぁ。例えていうなら、大泣きしすぎて疲れちゃったあとに訪れる呆けた脳みそと奇妙な穏やかさ、みたいな、そんな静的な最後がよかった。
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2010年6月10日(木)読了。歴史や思想史を勉強し直してから再読したい。(解り切れなかった部分がある為)
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ニコライ・ブハーリンが肅清されるに至る第3回モスクワ裁判をモデルに書かれた小説。発表当時センセイションを巻き起こしベストセラーになったそうだが、さもありなん。単なるソヴィエト社会主義体制の暴露小説としてのみならず、イデオロギー論としても、思想小説としても、恐怖小説としても、エンターテインメントとしても読み応えのある作品。主人公ルバショフの最期はブハーリンよりも思弁的だ。
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スターリンの大粛清への関心からたどり着いた本。ルバショフ、イワノフら革命初期の知的階級と、グレトキン農奴階級出身のスターリンの申し子達との埋めようのないギャップ。ルバショフは昔の人。「罪」は既定路線なのにすぐ屈せず、全ての罪状に一つ一つ論駮していくのも恐らくそう生きてきたからなのだろう。イワノフ、グレトキン初め、周囲の人との関係性が変化するのも興味深い。ちゃんと読みきれたとはとても思えないので、何度か読み返す本。
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スターリン体制時の時代を舞台として、幹部クラスのポジションにいた一人の党員が粛清されるまでを描いた作品。
当時の社会情勢を知らずとも、尋問のシーンの執拗さには真綿で首を絞められるような陰湿さを感じて楽しめる。
ジョージ・オーウェルの「1984年」の尋問シーンは本書から大きく影響を受けたらしいが、読んでいて納得した。
「党は個人の自由意思を否定したが、同時に自らの意思による自己犠牲を強要した。党は二者間の選択をする個人の能力を認めなかったが、絶えず正しい選択をすることを要求した。党は善と悪とを区別する個人の能力を認めなかったが、罪と裏切りについて躍起となって語った」
ヒトラーもまだ生きている1940年に、全体主義の本質と矛盾を指摘したこの作品は凄いと思う。
そして、作中に一切、主人公の祖国の名前が出てこないところも流石。