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こんなにも真っすぐな青春を描いた小説は久しぶりだった。周囲の同級生→友人・仲間となる子たちのセリフから、主人公の人となりが自然と浮かび上がってきて、とても魅力的な青年が浮かび上がる。眩しい1日をわくわくしながら体感した。
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高校2年の修学旅行。自由行動の1日をめぐって僕の叔父さんに会いに行くというミッションを3班の男子たちで成し遂げる。協力してくれる女子やそう仲の良いわけでもない男子のぶつかり認め合う様子がいかにも青春。
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素敵!!爽やか!!
登場人物みんながとても素敵であんなクラスがあったら幸せだろうなぁ。3班のらみんなも先生もなんて素敵なんやろう。
一緒に修学旅行に行って一緒におじさんを待ってる気持ちになる位引き込まれる。
松くんがまた素敵で、松くんのお母さんも素敵。
落ち葉の描写が綺麗過ぎて、本を読みながらもキラキラした光が見えて本当に幸せなった。
やっぱり素敵な本を読んだら元気になるなぁとほっこりしました。
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乗代雄介さんの小説は本作を入れても4冊しか読んでいない。
それでも『それは誠』がいちばん好きとハッキリ言える。
高校二年生の修学旅行の思い出を綴る佐田誠。
自由行動の予定を決めるとき
「音信不通になったおじさんに会いたい」という思いを
同じ班の皆に伝える。
誠は同行してくれる(?)という男子と、おじさんのアパートを目指す。
P91
疲れた友達を休ませるため大きめの公園に立ち寄る。
そこで出会った園児の何気ない様子を乗代さんは綺麗に切り取る。
私の頭の中でカシャカシャと映像が映し出され素早く消え去っていく。
まったく私の語彙力の無さといったら...。
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読み終わると、とても好きだった。
序盤は“なんだか面倒だな、、”と感じてしまう言い回しも多かったけれど、高校生たちの関係性の変化と共に徐々にそのような表現が削ぎ落とされていく。
多様性なんてわざわざ声高に叫ばれずとも、他を知り共感し受け入れていくことはできるんだ。
私たちも高校生の素直さを見習わなければ。
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不器用で人との関わりが苦手な主人公が、修学旅行で同じグループになったクラスメイトとの関係を通して、自分自身の過去と向き合い、何を感じるのか。
思春期ならではの潔癖さや不器用さがなんだか懐かしく、まぶしかった。
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高校の修学旅行で、東京に行くことになった佐田誠たち。友だちがおらず、目立たない佐田の主張に班員たちが示すさまざまな姿が興味深い。
ただ、高校の出欠は結構シビアなので、そんなに休めるのかなという現実的な疑問は……野暮なのだろう。
饒舌体というのか、切れ目のない文体は苦手なので、読むのが辛かった。途中でやめようかと思ったほど。『旅する練習』の著者なので、なんとか読んだ。
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「旅する練習」が大好きで感動して、読むのは2作目の乗代さんの作品でした。
スタンドバイミーみたいな、高校生の冒険。さわやかで、楽しい小説!
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高校時代は勉強しかしなかった。と思おうとしてきたが、やはりいろいろなことがあった気もする。そんなことを思う読後。
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芥川賞ものだけに導入部分が、ああ、文学小説だなと読もうというエンジンがかからなかったが、内容は難しいながらも文面は知的な表現で癪に障ることなく登場人物の生活感を感じさせてくれた。主人公の設定がよくわからず、文中の登場人物も、”お前こんな奴だっけ?”みたいなことを言われており、ほんとそうだと思った。ちょっとぶっ飛んでない?
日常の中のちょっとした非日常を活き活きと描写される高校生の姿がまぶしい作品だった。
で、実際内容はどうかと聞かれたら、”やっぱり芥川賞はこんなもんなんでしょう”と締めくくる。エンターテイメントではない。
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主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれの何かを抱えて、なんらかのこじらせぶりがあるところを描くのが上手い。登場人物たちが少しずつ歩み寄っていくのを、保護者のように息を詰めて見守りつつ読む。挿入された宮沢賢治の話が、後から実際の話にリンクした時、泣けた。
芥川賞の選評で、「話を作った感がある」というのを読んだので、先入観ありありで読んでしまった。豊崎由美はこの小説を高く評価していてその選評に対してとっても怒っていたので、どっちかな?と思いつつ読んだ。そういう読み方は正しくないかもしれないが、こういう読み方もまあ面白いかなと思って。
で、読んでみたら、どっちもありでした(笑)
確かに、こう持って行きたい、という作者の意図を感じるんだよね。それは、前回も芥川賞の候補になった「旅する練習」にも感じた。確かにその仕掛けのせいで、最後には泣かされるんだけど。作者は、そんな気はないんですけどね、ってそっけない書き方をしてるところが、なかなか憎いというか、そこが鼻につくっていうか(笑)今回は、はなっから、たぶんここは伏線で泣かせるんだろうなと、わかって読んでたから、予定調和というか、そんな感じだった。
豊崎さんは、創作なんだから、そういう仕掛けはあるだろうと言ってた。確かにそれもそう。
そして、その仕掛けが鼻についたとしても余りあるくらいの出来でもある。
仕掛けはいくつかあるのだけど、その一つは、吃音で病弱な松くんの存在。種明かしに至る最後まで、この存在が効いている。
この松くんの存在感たるや!
(でも、松くんみたいな存在を持ってくるの卑怯だろうという見方もおそらくあるだろうと思う。障がい者を「善なるもの」として配置することに対して、安易じゃないかという見方もよくわかる。)
でも松くん魅力的で泣かされちゃうんだよね。
ということで、正月の読書小説の在り方について考えることができて、楽しめました。
この小説自体も好きですし。
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修学旅行が終わった翌日から、修学旅行の班決めがあった日にまで遡って始まる物語を紡ぐパソコンは、長いこと会っていないおじさんのくれたパソコンだった。
乗代さんの小説は第166回芥川賞(受賞作はブラックボックス)候補作「皆のあらばしり」に続き2作目だったが、この2作品を読む限りでは、ストーリーの終着地点まで綿密に考えられていて、ゴールに向かって書いているような印象のある作家だなと思った。選評でも指摘があったように、少々作為的すぎるところもあるなとは思いつつ、主人公佐田誠の、この年頃ならではの表面と本音がうまく書かれていると感じた。修学旅行で同じ班になった6人も、現実に存在する高校生の等身大に限りなく近いと感じた(もう社会人7年目になる自分にそれがわかるかは置いておいて)。
本人が自身の生い立ちについてさしてこだわっていないと書くことは本当であり嘘であるのだろう。
松が「佐田くん」を学校で一番やさしいと松の母親が話すシーンは印象深かった。
落ち葉を両手にすくって投げ上げる女の子も。
それは誠。強い男。
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溺れている人がいたら、一緒に溺れてやろう。
一緒に溺れてやろうって考えながら生きることは、どういう意味があるのか。
溺れゆく1人に、一緒に溺れてやろうって6人。
そこにあるのは優しさ?友情?
そんなたいそうなものじゃなくて、ちょっとした相手への興味と、自分への興味なだけかもしれない。
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高校2年東京への修学旅行。班行動。男子と女子。男の友情…だいぶ昔のことになってしまったけれどあの頃と今の子達の青春ってそれほど変わりないのかもしれない。なんだか泣けた。
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共に旅する友達でも他人でもない絶妙な距離感のクラスメイトたち。甘くて酸っぱいひそやかな恋心。家族と社会への諦観などなど、田舎の高校の空気感だったり、思春期の心の機微なんかが一人称の繊細な筆致で鮮やかに描き出されていて、ほうっと溜息が出た。たくさん小説を読んでいるわけでない自分でも、「上手いっ!!」と思った作品。
等身大でひねくれものの主人公のささやかな冒険が、軽快な疾走感を伴って語られるロードムービー。
自然に感情移入できて、だからこそ、主人公の小さな冒険が自分をどこか遠くへ連れて行ってくれるような気がしている。成長していく主人公と、ゆっくりと芽吹く確かな友情に強く胸を打たれる。
これ以上無いと思える青春の小説でした。