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これからのメタバースの可能性を知ることができる本です。
メタ(旧フェイスブック)を始め、多くの企業が、メタバースの構築に力を注ぐようになっています。
ただ、実際に私達がそれを体感し、メリットを感じているという実感はありません。
しかし、今も使っているオンライン会議ツールや動画配信も、メタバースの一種であると著者は説きます。
これらの体験を通じて、メタバースはコミュニケーションのあり方を変えるものとして認識できそうです。
身近なところでメタバースを感じる視点を持ち、コミュニケーションをより良くするきっかけになる1冊ではないでしょうか。
【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
「リアル空間で使用するZoomやTeamsのようなウェブ会議システム、InstagramライブやYouTubeライブのようなソーシャルメディアもメタバース空間の1つと捉えられる。これらが、コミュニケーションを変えるパラダイムシフトのチャンスでもある。」
「メタバースは、しがらみを抜け出して新しいコミュニティをつくり出せる社会、住んでいる場所や身体的なハンディを飛び越え、誰もがフラットに力を発揮できる世界、なりたい自分を創造し、思いのままに生きていける社会など、『温かくやさしい社会を生み出すもの』。」
「メタバースは、『行ってみたい』『やってみたい』と考えていることを実践するハードルが低い。バーチャル空間のコミュニケーションを起点に、現実世界の接点が生まれることもある。現実の代わりを果たすミラーワールドではなく、現実を充実させる空間へと進化している。」
→オンライン会議システムや動画配信も、普及したのはごく最近です。以前の電話やメールといった文字、音声の情報だけでなく、映像という情報が、リアルタイムでも得られることで、「体験」の度合いが強くなっています。これまであまり会うことができなかった方とも、オンラインで顔を見合わせて話ができたことで、その後、現実の世界でのつながりが強くなる経験をされた方も多いのでは。
【もう少し詳しい内容の覚え書き】
・リアル空間で使用するZoomやTeamsのようなウェブ会議システム、InstagramライブやYouTubeライブのようなソーシャルメディアもメタバース空間の1つと捉えられる。これらが、コミュニケーションを変えるパラダイムシフトのチャンスでもある。
・メタバースは、しがらみを抜け出して新しいコミュニティをつくり出せる社会、住んでいる場所や身体的なハンディを飛び越え、誰もがフラットに力を発揮できる世界、なりたい自分を創造し、思いのままに生きていける社会など、「温かくやさしい社会を生み出すもの」。
・ChatGPTは、ウェブ上にある様々なメディアや個人の意見を人間のように編集して教えてくれるものと捉えたい。絶対の正解はないし、これこそが、これまでの人間とAIとの関係性を大きく変えた“あいまいさ”。
・自分たちがやりたいことは何かということについて、これまで人間同士でしかできなかった“対話”をChatGPTというAIとしてみると、自分らしい感覚や価値観に立ち返ることができ、暮らしがより楽しく豊かになる。
○メタバースは生活にどう影響する?
・メタバースの大枠的な特徴をシンプルにまとめると、リセットや一時停止が効かず、終了という概念もない「永続性」と、現実世界と同じようにすべてのユーザーが同じ時間軸で生活・体験をする「現実世界との同期性」。
・期待されているメタバースの可能性は、人数無制限での生活・体験、実社会と同じ概念で生まれる経済圏の存在、現実世界とのつながり、メタバースの世界同士のつながり(取引)、ユーザーの自由度、といったものがある。
・メタバースを空間の拡張だけでなく、コミュニケーションの拡張という視点で捉えると、提供できる価値が大きく変化し、ウェルビーイングを叶える大きな可能性を秘めている。
○メタバースはコミュニケーションツール
・従来のコミュニケーションとメタバースで実現するコミュニケーションの最大の違いは、伝えられるものがテキスト、音声、画像といった「情報」だけでなく、「体験・感情・感性」といった非言語の領域に広がる点。企業主導から、自由で多様性のあるものになるのもメリット。
・親子、上司部下といった立場にとらわれず、自分らしく対話がしやすいので、固定概念をリセットして、新たな関係性を育む世界が広がる可能性も高い。
○リレーションシップの再構築
・非言語コミュニケーションの少なさは、心理的安全性の妨げになることがある。オンライン対話ツールを繋ぎっぱなしにしておくことで、雑談が生まれるなどの新たなつながりが生まれることが確認されている。
・人生を楽しむためのキーワードは、基本「身体・脳・空間・時間」という4つの要素からの解放が有効だが、加えて「自分の解放」も大事。アバターを使うと、物理的な制約を取り払うと同時に、心理的な変化も期待できる。
・ボトムアップだからこそ魅力的なチャレンジができる時代が来ている。デジタルテクノロジーの最大の利点は、コスト面などでトライ&エラーが容易なこと。共感してくれる幹部クラスの「スポンサー」がいれば、ボトムアップで組織を変えるチャンスも増える。
○個の想いを世界へ発信
・メタバースは、戦争反対や環境問題、社会の課題に対し、個人が行動を起こすチャンスに溢れた空間。現実世界で勇気が出なくても、メタバースでは集団に属する必要がなく、アバターという分身の力も使える。
○メンタルの壁を超える
・脳の働きによって、同じものを見ていても、人によって見え方が違う。見ているのは現実ではなく、自分の脳内世界。セカンドライフでは、お互いの脳内世界を見える化し、伝え合うことが可能。共通言語を生み出すのと同じで、相互理解につながる。
・メタバースには自分らしく生き、新たな才能を開花させる力があり、現在進行系で多くの人が救われている。自分がつけている社会のタグを外し、まっさらな自分になれれば、まったく新しい人生が切り拓けるかもしれない。
○フィジカルの壁を超える
・メタバースは、「行ってみたい」「やってみたい」と考えていることを実践するハードルが低い。バーチャル空間のコミュニケーションを起点に、現実世界の接点が生まれることもある。現実の代わりを果たすミ���ーワールドではなく、現実を充実させる空間へと進化している。
○自由な組織運営と街づくり
・インターネット上でどこからでも参加できる分散型組織DAOのしくみが、人口減少に悩む地方の街づくりに希望を与える。行政だけでなく、住民や地域に根差した民間企業が積極的に参加し、自分たちの手で街を元気にしていく「新しい自治のあり方」が芽生えつつある。