現代フランス・ミステリ作家が挑む、南海の楽園の『そして誰もいなくなった』
2023/07/04 22:20
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家になる夢に強くこだわる語り手クレム。
養殖真珠で富を得た夫人。
人気ブロガーのおばあちゃん。
パリ警察の主任警部。
陰のある謎めいた女。
5人の女がゴーギャンやジャック・ブレルが愛したポリネシアの島に集った。女たらしのベストセラー作家PYFの創作講座に参加するために。
だがPYFは、「最も読者の興味を引く発端は行方不明だ。生きているのか、死んでいるのか? 死んだなら殺人者は誰か? とね」 そう言った翌日、行方不明となってしまう。ポリネシア独特のタトゥー模様を刻んだ石と、参加者の一人の原稿を残して。そして参加者が一人、また一人殺されてゆく・・・・・・
大胆なトリックもさることながら、それを成立させるための綱渡りめいた技巧がミステリファンを唸らせる逸品。
裏表紙のあらすじはうっすらネタバレ気味なので、先入観無く楽しみたい方は読まない方がよいです。
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CL 2023.7.10-2023.7.13
そういうことか!まんまと騙されましたね。違和感がないわけじゃなかったけど、そこは思いもつかなかった。
謎解きどうこうよりもこの仕掛けでしっかり楽しめた。
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超推し★5 今年の本ミスの目玉!南の島に招待された作家志望の女性たち、そして誰も… #恐るべき太陽
■きっと読みたくなるレビュー
おもろいーーー! 鬼★5
本格ミステリーの括りなら、今年の海外ミステリーはこれだわ、決定。
いやまて、ホロヴィッツやスワンソンの新作も、自由研究完結編もあるから早計ですね。でもそのくらい素晴らしい作品でした。
クリスティの名作『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品は無数にありますが、その中でも指折りに優れた出来栄え。深みのある環境設定や小道具、登場人物とその背景。会話や行動の中にあふれ出る疑心暗鬼、不安、圧迫感がエグイ。
特筆すべきは、やっぱり謎解き部分なんだけど、元祖クリスティの名作を初めて読んだ時と同じくらいの衝撃だった。完全にオマージュの域を脱している。小手先や捻りじゃなく、元祖と正面で戦えてるレベルです。
物語のプロットもワクワクが止まらねぇ
ベストセラー作家に南の島に招待された作家志望の女性五人。彼女たちは、作家からレクチャーを受ける。
「小説の冒頭で効果的なのは、死体が発見されるよりも、行方不明になること。そのほうが読者の疑問が広がるのだ」
その後、彼女たちは島で創作を続けていくのだが、その筋書き通りにベストセラー作家は行方不明になってしまって…
こんな展開、続きが気になるっつーの!
さらに島に点在する彫像の謎、タトゥーの意味、過去の事件などの要素も入り交じ、物語は混沌を極めていく。次々と事件が発生し、登場人物の不穏な動きと細かい心情の機微も見え隠れしていく。そして少しずつ捜査も進行していく中、作家志望の女性たちの隠されていた真相も明るみになっていき…
ねっ、面白そうでしょ!
ここまでたくさんの魅力を書いてますが、なんとメインディッシュについては何も書いてないの。後は実際に読んで、楽しんでほしいです。
なお本書は重々しい本格ミステリーながらも、少女マイマ(16歳)の活躍で、調子よく読み進められるんですよね。無邪気で元気、セリフや行動も天真爛漫。でも捜査には真剣なところが可愛い!彼女の役割は物語をうまく中和させています。
謎解き、エンタメ、重厚感。さらに文芸的にも優れているし、小説としても綺麗。
ミステリーへの愛情もめいっぱい感じられるし、ラストの爽快感&納得感もバッチシ。圧倒的に推せるミステリーでした。
■ぜっさん推しポイント
これまで謎解き小説としての魅力を語りましたが、実はメインの登場人物である作家志望の女性五人の描写がまた素晴らしいのよ。本格ミステリーだと、強烈なキャラクター付けや背景を入れ込んだだけの場合がありがちだったりします。
でも本作は全員の個性がめっちゃ豊かに描かれているし、さらに作品を執筆する場面もあって理解も感情移入もしやすい。ひとりひとりの過去も未来も目に浮かんできて、すっかり彼女たちのひとりひとりの魅力に引き込まれてしまうんです。
読み応え、読みどころ、チャレンジ精神が満載の作品ですので、本格��ステリーファンは死ぬまでに読めっ
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けして油断はせず、むしろめちゃ警戒して読んでいたつもりだったのだけど、やられた。そんなわけないだろうと確認したけどそんなわけありました。もちろん普通のクローズドサークルものとしても楽しいです。
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普段からとても騙されやすいたちなので、『黒い睡蓮』では完全にやられて星5つつけた記録があるのですが、今回はすんなり見抜いてしまい驚けませんでした。
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真相がわかってしまえばたくさんの違和感やヒントのようなものが散りばめられている。途中でそれに気づいても物語にうまく溶け込んでいて大胆な仕掛けに気づかない。久々に気持ちいいほど騙された。作家志望の5人がベストセラー作家とともに集まり、作家の出す課題に取り組む。そこから失踪、殺人が起きていくのだけど展開と構成の上手さに驚いた。もう一度読み返したくなる仕掛け、面白さの一冊。
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ミシェル・ビュッシ初読。
これまでに「黒い睡蓮」など3作翻訳されているが、評判の高い本作でビュッシデビュー。
ポリネシアの孤島に、創作活動として集まったフランスの有名作家と作家志望の女性5人。
作家が行方不明となったことを皮切りに、順番に殺されていく作家志望の女性たち。
あたかも「そして誰もいなくなった」のように。。。
とんでもない作品だった。
フランス作家の作品のため、信頼できない語り手など色々想像しながら読んだが、まさかそこを逆手に取られるとは。。。
ちょっとした違和感の数々は誰にでも感じとれると思うが、まさかここまでの大仕掛けだとは思いもよらなかった。ん?と思ったところは全て説明できる仕掛けとなっている。いや、本当にとんでもない仕掛け。
事件の起きなさっぷりが若干の中弛みとなるが、それを超えた後に待つ衝撃はおすすめです。
可能なら読み直したい。意外にも読後感も良し。
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今年1番のミステリーかもしれない程圧倒された。
舞台となる島に配置される彫像や熱帯の植物達が不穏な空気を醸し出す。島にやってきた5人の作家志望の女性がまるでクリスティの本の様に次々と殺される。文章の上手さについつい読み入って気がついたらすっかり騙されて読了。心地よい騙され方だった。マイマちゃんの活躍が可愛い。
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大人気ベストセラー作家の指導のもとヒバオア島に招待された作家志望の女性5人。
それに同伴者でもある夫が1人と娘が1人。
課題を出した作家がほどなく失踪することから物語は始まる。
意味があるのかどうなのか謎めいた石像があるこの島で、同伴の娘であるマイマが好奇心をうちに秘めながらも同じく同伴者の夫である憲兵・ヤンと探り出すが、次々と死人が出て…。
登場人物の個性も特徴がありつつ、掴みどころのない雰囲気に誰が怪しいのか、何が本当なのか疑心暗鬼になる。
特定できずに進んでいくのにもどかしさを感じながら最後まで騙される。
よく考えれば仕掛けがあったじゃないか…と思うのだが、いや参ったな、、である。
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メモを残しておらず、なぜこの作品を手に取ったのか忘れてしまった・・・あまり海外作品は積極的に自分で情報収集して読んだりはしないので、きっとブクログのユーザーさんのおすすめか、お気に入り書評家さんのおすすめなのだとは思うけど苦笑
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品とのこと。
叙述ミステリー自体が読み慣れていないので、そもそも見破れるわけがないのだけど、、すっかり騙された。
トリックが分かってから読み返すと、そう言えば違和感たっぷりだったよな、と思い当たるのに!
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違和感を置き去りに読み進めていたら最後に全部綺麗にしてくれた
ありがたい
歯止めが効かなくなった人間が何よりも怖いよ
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なんとなく怪しくて、途中何度もあれっ?となるけれど、まんまとミスリードに乗ってしまってました。
種と仕掛けが巧妙でした。
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ああ、こういう作品を読むと海外ミステリの沼により深く落ちてしまう。
「そして誰もいなくなった」を念頭に置いた、南国を舞台にしたミステリー。
途中、ややストーリーが停滞しているように思ったけど、その間にも伏線はもりもり描写されていた…。
読み終えてすぐなのでこれから再読して見逃した伏線を回収するつもりだ。
「そして誰もいなくなった」を下敷きにしているにしては完全な「孤島もの」じゃないし、主要人物以外の人物にも犯行は可能では?というのはちょっと気になったが、真相が分かった今は、とりあえずその疑問をおいておくことにする。
とはいえ、この作品はラストであっと驚く真相に出会える。
この本そのものもそうだ。
同じタイトルがしつこく章の頭に出てくることや、こまごまとした違和感にもきちんと理由がある。
ミステリーを読んだなあというカタルシスが楽しい作品でした!
さ、付箋を用意して再読再読…
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最近選んだ本がたまたま主人公が犯人のものばかりで正直お腹いっぱい
もう少し違う展開を期待して最後まで読んだが、やっぱりクレムが犯人だしエロイーズとかヤンも好きになれなくて何とも言えない終わり方だった
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タイトルとあらすじに惹かれて読みはじめた作品。
物語の中で感じていた違和感、ミステリーをあまり読まないながらに私がたてていた仮説に近くとも遠からずな結末に大変満足した。
個人的には、この本を翻訳語として読むことに意味があるなと思った。