記者の良心と熱意に頭が下がります。
2023/09/19 17:29
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投稿者:かめ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
素晴らしい本でした。酒井氏の記者魂と良心と熱意にただただ敬服するとともに、遺骨収集の現在の状況も知ることができ、大変勉強になりました。「遺骨収集はこれから益々世間の関心事ではなくなる」という記載もありましたが、少なくも私個人は、先の大戦で沢山の方たちがどのように戦って、どのようにお亡くなりになったのか、知る義務があると考えているので、常に読書を通して勉強していきたいと思っています。この本は、ルポタージュにとどまらず、著者をはじめ、関係者すべての方たちの真摯な人柄、戦後に向き合った人生も伝わり、胸を打ちました。酒井記者の取材をこれからも応援しています。
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投稿者:あー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネットニュースで度々掲載される著書の一遍。それをきっかけに興味を持ち、手に取りました。
硫黄島について知っているようで知らない、それがどれほど恥ずかしいことか。
貪るように読みました。
戦争はいまだ終わらず。
物質的にとても裕福な時代になりました。
でも精神は?
先の大戦の数多い悲劇のひとつ、硫黄島決戦、いまだ本土に還れない方たち、それを必死に連れ還えようと動いてくれる人たち、知らされていなかった戦後日米の密約など、ここまで頑張って取材公開してくれた著者に感謝です。
後半から俄然面白くなる
2024/08/04 17:11
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般人は「激戦地で、荒れ果て、人の住めない島」「玉砕の島」といったイメージを抱きがちな東京の硫黄島。そこには、戦死した兵士たちの遺骨が今も眠る。
本書はそんな硫黄島の取材に執念を燃やしす北海道新聞記者のリポートなのだが、前半と後半で随分、印象が変わる。
前半は、著者がなぜ硫黄島に興味を持ったか、一般市民がなかなか上陸を許されない硫黄島にいかにして4回も上陸を果たしたのか、上陸した硫黄島がいかなる状況だったのか、などが、著者の個人的なライフヒストリーを交えてつづられる。
硫黄島の現状は興味深いものの、この前半は読者にとっては知らない人である著者の自分史的なところがあるためか、なかなか気持ちが入らず、読むのに時間がかかった(難解なのではなく、どんどん読む気が起こらなかった)
が、後半から俄然面白くなる。
硫黄島戦死者の遺骨収容作業はなぜこんなにも進んでいないのか。上陸を重ねた著者が、日米両政府の公文書を読み込み、硫黄島の戦後史からその謎をひもといていく。硫黄島の問題が、遺族だけの問題ではなく、日米関係や国際社会の問題となり、過去ではなく現在の問題となる。
後半は大変読み応えがあった。構成上の問題かも知れないが、硫黄島の歴史(日米関係史でもあるのだが)は、もっと広く知られるべきだと思った。
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途中で挫折。新聞記者が書くノンフィクションだけあって、どうしても事実の羅列になってしまい余程関心がないテーマでないと正直しんどい。
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「戦争はまだ、終わっていない」。
読んでいて泣けてきました。
「硫黄島」と聞くと、映画(渡辺謙さん・二宮和也さん、イーストウッド等)を想起出来る人は多いと思うのですが、では「硫黄島の戦いのその後」について考えている、或いは考えた事のある日本人はどのくらいいるんでしょうね。。
この本に出てくる「国の不作為(収集作業の怠慢)は、トップ(歴代政権の代表)の意思の問題」という言葉は重いと思いますよ。
この本の著者は北海道新聞の記者。ただ、仕事とは関係なく「政府派遣の硫黄島遺骨収集団のボランティアとして4回渡島」しているようです。
この本はその時の遺骨収集の体験とか、「戦死者2万人のうち、未だ1万人の遺骨が行方不明」という現実について独自に調査したルポ的内容。
平和ボケしているお気楽なたくさんの日本人に読んで欲しいかな
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TBSラジオ「session」に、著者の北海道新聞記者・酒井聡平氏が出演していたことをきっかけに読んだ一冊。
祖父が戦時中、硫黄島の隣の父島にいたことを知り、祖父の戦友たちを見つけたいという思いで、並々ならぬ執念と行動力で遺骨収集団に加わる様子を読み、このような人、このような記者がいるのだと驚かされる。
当時の硫黄島を知る人や、遺族へのインタビューは貴重な話ばかりであり、戦後80年を前にこのような活動や記録することよ大切さを改めて知ると同時に、私たちも「知る」ことを続けなければならないと感じる。
「忘れてはいけないことは 決して忘れてはいけない」
本書の最後に紹介されている、酒井氏の座右の銘という、高木いさお氏の原爆詩の言葉が、今戦争について考えること、読むことの意味を教えてくれる。
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小笠原諸島にある硫黄島は1945年2月19日に米軍が上陸、日本軍との地上戦となった島だ。本土の防波堤となるべく戦った日本兵士たちは3月26日最後の総攻撃を仕掛け、壊滅した。
著者は若手の北海道新聞記者だが、祖父が小笠原諸島の防衛を担う部隊に所属していた。祖父は幸運にも生還したものの体の消耗がたたり、56歳で病死、父も著者が10歳のとき、47歳の若さで急逝している。遺児となった著者は戦争で家族を失った人に強烈なシンパシーを抱き、祖父の履歴書から硫黄島報道に執念を燃やすようになる。
そして、硫黄島に計4回渡り、うち3回は政府派遣の硫黄島戦没者遺骨収集団のボランティアとして渡島した。
「硫黄島の戦い」では守備隊2万3千人のうち、2万2千人が死亡したが、今なお1万人の遺骨が見つかっていない。
その背景には、硫黄島が日本に返還され、自衛隊基地として使用しながらも米軍が使用することを認めている理不尽さがある。過去には核兵器を隠す秘密基地として、島民帰還が不許可となり、今もFCLP(米軍の空母艦載機による陸上離着陸訓練)が実施されている。
著者は遺骨収集に関する報告書など日米の機密文書を徹底的に調査、硫黄島に詳しい人、歴史を知る人などの取材にも精力を注ぎこんだ。その半端でない熱量に圧倒され、感動的な箇所も多々ある力作になっている。
滑走路の下にある遺骨を求めて熱風が吹き上げる穴の中に入るという危険、灼熱の中での作業を30分も続けるというボランティア精神はとても真似できない。サウナですら10分も入っていられない自分が恥ずかしくなった。
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ずっと帰りを待っている遺族にとっては、遺骨はただの骨ではなく、肉体であり魂でありその人そのものなのです。決して蔑ろにしてはいけない忘れてはいけない、戦った人たちの魂。
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筆者の強い熱意・想いがひしひしと伝わってきた。
現在の硫黄島の状況、遺骨収集の取り組み、なかなか報道されない中、貴重なノンフィクション。
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ミステリー小説好きだけどこれは現実のミステリー
信じられない量の資料を忙しい仕事の合間でよくこんな華麗にまとめたなぁと感心してしまう
ジャーナリズムがすごすぎる
おかげで僕は本を読んだだけでこんな貴重な情報を知ることができた
今度は硫黄島の手紙と父親たちの星条旗観よう
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「硫黄島では一万人が未だに見つかっていません。見つからない理由の一つとして挙げられるのが『風化』です。」
物理的な遺骨の風化と、居住が認められていないことによる記憶と記録の風化、そして、米軍による現在までの支配と日本政府の忖度ーー。
色んな条件が重なって遅々として進まない現状。そんなこと言ってる僕自身も「硫黄島は住むのは無理な過酷な環境でしょうがない」という思い込みがあったし、そもそも読むまで「いおうジマ」だと思ってた自分を恥じる。
戦後を終えるためには僕らが知ること、忘れないことが重要だと痛感。
著者のこの島への執着、執念、情熱に、脱帽と敬意。個人的な意志もあろうがただただ仕事人としても尊敬。
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戦没者2万人のうち1万人が行方不明という太平洋戦争屈指の激戦区硫黄島。遺骨収集に執念を燃やす新聞記者の戦い(描く。筆者は本書が初著作。
筆者は北海道新聞の記者。遺骨収集にかける思いは伝わったくるものの、自分には文体が合わなかった。
どうも合わなかった。
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新聞記者による遺骨収集参加の体験記(ノンフィクション)であるが、硫黄島の戦後史を知る上で大変重要な研究書でもある。著者の執念、情熱に心打たれる。おすすめです。
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故安倍元総理が確か硫黄島の滑走路で跪き、地面に手を当てて黙祷なさった。
違ったっけ?硫黄島じゃなかったかな。
このところ遺骨帰還の話をそういえば聞いてなかった。
こんなにハードルがあったのかと、それすら知らなかった。小笠原諸島返還の時の米国との色んなしがらみがあったのか。
いずれにしろ、誰がもはや戦後ではないと言ったのか。
色んなところで、我が国は、全く先の大戦を総括出来ていない、終わらせていれないことが分かる。
かの民主党政権も、そこだけはきっちりやってたんだってことは、これは驚いた。完クソだと思っていたのですみませんでした。それ分かったのもよかった。
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北海道のローカル紙時代に抱いた個人的興味を、ブロック紙に転職して10年以上かけて取材し、これまで記者が上陸したのは若干1名程度に限られる硫黄島に複数回上陸し、最後は天皇陛下に硫黄島の所感を直接質問するという、、、興味関心が人をここまで動かすのかと。凄まじい熱意を感じた