悪口を研究した、珍しい切り口の1冊です。
2023/10/13 22:21
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
言語研究が専門の著者が、悪口を様々な角度から分析し、研究した成果を新書化した1冊です。
なかなか、悪口をテーマにした書籍は世に出回っていないのではないでしょうか。その点からも、当書は実に切り口の珍しい書籍と思います。悪口をテーマに新書1冊刊行できたことに驚きました。読んで視野が広がりました。各項、スモールステップ式で読みやすいです。
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悪口とは何か?言って良いのか?悪いのか?受取方、場面、国、状況によって様々な変化がある「悪口」を紐解きます。家庭や職場、学校など悪口を聞かない日はないのかもしれせん。学術寄りではなく平易な表現のため中学生以上であれば問題なく読めます。
時には悪口がコミュニケーションを円滑に進める事もあり、全てが悪いとは言えません。ですがやはりこのご時世で悪口を平然と良しとするのは慎むべきです。かく言う私も日常的に悪口を言う癖があり、戒めに読んでみました。
昨今のSNSに関する誹謗中傷に関する事案についてもう一歩踏み込んだ記載が欲しいなと思いました。
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ちくま新書が冒頭を読み始めたきりずっと積読になっているので、まずはこちらでお近づきになるといいのかもしれない。執筆はむしろこちらの話のほうが先だった模様。
けっきょく悪口というのは誰かのランクを下げ平等さを危うくするものであり、信頼関係が十分築けていればそれは人間関係の潤滑油にもなりうるが、そのためにはさまざまなコミュニケーション上の配慮とテクニックが必要だということ。
弱いものを踏みつけるためではなく、強者に抵抗するために悪口を言うべきだし、悪口を言ってしまう人というのは、優劣や存在のランキングにとらわれてなんとか自尊心を保とうとしているかわいそうな状況にある人だというまっとうな結論に落ち着いた。
もうちょっと言語学的な発見があるといいなと思わなくもないけど、社会的心理的な要素の方が圧倒的なのだし、「嘘つき」「詐欺師」のようにすぐには変わらない特徴として名詞でラベリングしてきめつけることは、一時的な行為の描写「嘘をついた」「間違ったことを言った」と比べても悪口・差別と結びつきやすいというようなことを知るだけでもずいぶん役には立つとも思う。(この14章の部分だけでも、小学校高学年か中学ぐらいで国語の教科書で扱ってほしい)
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悪口ってなんだろう?
相手のランクを下げて溜飲を下げる。悪口と笑いは似て非なるもの。わかるようでよくわからない。
ただ、権力者が自分がランクが上と勘違いして横暴を働くような時は、悪口を言おう。これはよくわかる。小さな声でも、それをやめてしまえば世の中は酷いことになるから。みんな平等なんだよとこの本は言っているんだろう。
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誤字があったから星1つ。
悪口はなぜ面白いのか。それは自分が無能であることに、自覚がある人が他人のランクを落とすことで優越感に浸れるから。こうやって人は同じようなランクの人たちがより集まるようになったのだろう。
権力者を引き下ろすイコライザーとしての悪口は多いに歓迎というスタンス。でも会社では自分に不利益しかないよね。
悪口は人間の性でありうまく付き合うしかないというもやついた結論。一貫して悪口はこういうものという説明。悪口を言われないようにするのは無理でも、それとうまく付き合いストレスを感じないようにする具体的な方法までは書かれていない。
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前著『悪い言語哲学入門』は、少し読むことが難しく、「どこからが悪口?」という問いに対する答えがよくわからなかった。その点、さすがちくまプリマー新書では、高校生が読めるようにできているだけあって、私にも理解でき、たいへん興味深く最後まで読むことができた。SNS隆盛の時代、本書の存在意義は高いと思われる。
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悪口って何だと正面きっていわれたら、
スパッと答えるのは難しいよ。
それに答えてるっことがすごい。
生徒よ、読みたまへ。
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『会話を哲学する』のマニピュレーションと、『世界はなぜ地獄になるのか』を読んで、人は人と比べて優位に立つことで満たされる?人を下に見たいから、昨今のSNSでの異常な叩きや見下しが蔓延してると感じたのが思い起こされた。
イコライザーの悪口辺りを読んで、
ウィルスミスの第94回アカデミー賞での司会者への平手打ちの騒動時の興味深いヤフコメを思い出した。
その人の主観で語られているから、本当かどうかわからないけれど欧米では、セレブリティを馬鹿にするのがごく当たり前にある、と。
奥さんを思っての平手打ちだから、旦那さんとして見上げたもんだと暴力の非は絶対だけれど、大事な人を馬鹿にされたら誰だってムカつくんじゃないか、その気持ちはわかると思ったのが、欧米では馬鹿にされてもセレブリティは平気にしてろ的な、、日頃稼いで贅沢しているセレブリティを一般人がこき下ろせる機会を一般人は好んでる、みたいな風潮があるというコメントを見て衝撃を受けました。
住んだこともないし、体感したこともない、噂でしか聞いたことないけれど人権や倫理観とか、欧米は進んでいる印象があったので、そんな風に他人を貶めて快感を得るのか?と衝撃だった。
イコライザーの悪口の例に出てきたサン族の話は、理解できるけど納得できるかというと、もっと言葉の選び方があるんじゃないかと思えた。
唯一納得できるのは政治家(特に腐った政治家が目立つ日本だからかな)に対しての悪口は、等しいランクの人間なだけとわからせるのに(到底わかってくれそうにもない人が首相だけど)必要だし、政治家が偉いと国民が勘違いしないためにもあるべきものと思う。
『世界はなぜ地獄になるのか』を読むと、人の生来の脳のつくりとして、人と比べて快感を得たり、寿命が伸びる?逆にストレスで身体を壊すなど、そちらの方がごく自然に理解できて、この本の内容は若干の地に足がついてない机上の空論とまではいわないけれど、絵に描いた餅感を自分は抱いた。
人間って、頑張って理性とか倫理観持とうとしてるし、素晴らしい人もいるけれど、有象無象の一般人は、上記の通り他人を見下し悪口を言う人が目立ち、SNSが流行ってる様子を見るとかなり社会は毒されてると思うので、そこに切り込んでもっと刺激的な論理展開が見たいなと物足りなかった。
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とてもわかりやすく、「悪口」とは何かについてまとめてくれている。
3部構成で、第一部で筆者は「悪口はどうして悪いのか」と問いを立て、それは人を傷つけるから、とか悪意があるから悪いのではない、平等のランクにいるはずの誰かを、ランクが下の存在として取り扱うから(もしくはランクを下げようとするから)悪いのだ、と結論を述べる。
第二部では「どこからどこまでが悪口なのか」と問いを立て、軽口や批判との違いを明らかにする。第三部では「悪口はどうして面白いのか」と問いを立て、笑いとの関係性を元に、悪口が人間の本性にある種根ざしているものであることを指摘、また悪口が「良い使われ方」をするケースも例示する。
「学校」という極めて特異な環境下で長い期間、集団生活を強いられていく子供たちに是非読んでほしい一冊。
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悪口とは「誰かと比較して人を劣った存在だと言うこと」。人を傷つけるから、悪意を持って攻撃するから悪口は悪いのか?悪口について一歩引いたところから学問を使って考えてどんな現象なのか理解していく本です。
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考えてみれば、悪口の定義って分からない。同じ言葉でも使う場面、対象によって意味は変わる。相対的なものだしね。
ここでは悪意があるかどうかではなく「人を下の存在として扱ってしまう」ことを悪口としている。人はランク付けによって生きていることがよく分かる話だ。人を下に見て、安心を得るのだそうだ。人は比較することでしか判断できないってことか。
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悪口は人の存在のランキングを操作する。
悪口を言うことで、自分のランクを上げたり、相手のランクを下げたりできる。(だから悪いものである)
人を貶める悪口は言ってはいけないが、イコライザーとしての悪口は使っていこうという提案があった。
たしかに、人が皆平等に生きるなら、イコライザーとしての悪口は役に立つ時があるかもしれない。
最後の、悪口はヴァーチャルなものだから、存在のランキングは本来存在しないという言葉が印象的だった。
私たちが社会に居る中で、事実と主観が混じったものの区別はつきにくくなっているのかもしれない。
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#悪口ってなんだろう
#和泉悠
#ちくまプリマー新書
#YA
#読了
悪口を丁寧に分析して、悪口を言う側、言われる側、見聞きする側がどうすればよいのかと結論づける。パートIIの9、悪口ライセンスは納得したし背筋が凍るような気持ちになる。誰もが常にどの立場になる可能性を秘めているなぁ。
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悪口がどうして悪いのか、悪口の定義、悪口はなぜおもしろいのか、を見ていく一冊。
特にパート3の「イコライザーとしての悪口」「ヴァーチャルな悪口」が、納得と同時に新しい視点から悪口を見ることができた。
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・嫌だけど、自分もいつの間にか言ってる気もする悪口。本書は、「悪口とは一体何か?」という問いに答えます。私たちの周りにあふれている、一見悪口に聞こえないけどモヤモヤする言葉。本書を読むとその謎が解け、一歩引いて冷静に悪口を捉えることができるようになります。社会で暮らす以上避けられない、人とのコミュニケーション。読んでおいて損はない一冊です。
・"どうして悪口を言ってはいけないのか?
軽口やお笑いとはどう違うのか?
でも、悪口を言うとちょっと面白いのはなぜか?
まるごと1冊、悪口について考える、読みやすいけど根が深い新書です。"