紙の本
ロバと中東を旅する稀有な旅行記
2024/05/09 16:27
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投稿者:flowerofzabon - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者は1989年生まれで、いわゆる旅に取りつかれた人である。本書ではイラン、トルコ、モロッコをロバと共に旅する。いずれも客人へのホスピタリティがあるとして旅行者には評判いい国だ。しかしイランでは、アフガニスタン人への蔑視に嫌気がさし、警察とのトラブルもあり旅は終わる。トルコでは黒海沿岸の町から西部のイズミール近くまで2カ月旅している。トルコではアフガニスタンの羊飼いの評判が良いからなのか、アフガニスタン人似の筆者もまあ穏やかに旅を終えることができた。最後はモロッコ。2度目のロバとの旅。前回の旅の友のロバとの再会を目した旅だったが、それは叶わなかった。
ロバの生態は初めて知ることが多く、そこは本書ならではの特徴だが、基本的には人生や旅をめぐる随想を積み重ねながらの紀行で、典型的な旅行記である。旅をシェアさせてもらっている読者としては、四の五の言わずに、へー、と楽しむのが正しい態度だと思える。それにしてもロバで旅できる国はいい国のような気はするな。
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淡々としているが読みやすい文章で、最後までスルスルと読めた。タイトルにある”スーコ”との旅が思っていたより後半で短かったのは意外だった。
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ロバを連れて歩いて旅をする。
ロバは現地で買い、旅し、売って、別れてくる。
道中のドタバタも面白いが、なんといってもロバとの関わりのところが面白い。愛着が深まっていく様子もなんだか嬉しい。
でも、ロバは置いてくる。売る前に、この人で大丈夫か、重労働はさせないか、とか気を揉んでしまう。でも、別れてくる。
「
旅に限らず、人生は出会いと別れの繰り返しだ。私たちはそんな当たり前のことを忘れがちになっているのかもしれない。別れたくない人とは、SNSでいつまでも繋がっていられる現代において、人々は別れ下手になってはいないだろうか。
」(p.201)
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Twitterでロバと旅する様子を書いていた人。2023年夏現在は、日本をロバと旅している模様。 目的があっての旅ではなく、そういう意味でも本として読むよりは、Twitterのつぶやきで様子を知る方が向いているような気がする。 タイトルのスーコは、本書終盤、モロッコの旅の相棒で、途中までは別のロバとの旅。
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ロバと共にあてのない放浪の旅へ。
イラン、トルコ、モロッコでの、ロバとの出会いと別れ、
人々との関わりを綴った、旅行記。
・はじめに
第一部 イラン 第二部 トルコ 第三部 モロッコ
・おわりに
スーコはモロッコで旅を共にしたメスのロバ。
トルコではオスのソロツベ、イランでは名付けなかった。
名付けたことで愛着が湧いてくる様子には、
歩きたいという気持ちを与えてくれたロバの相棒感が増している。
ロバと歩いたことで出会う、人の情けや助けとトラブルや危険。
直に接するその国の厳しい事情、アフガニスタン人のこと。
現地でのロバの実情にも触れている。
ロバといつまでも歩いていたい。でも別れはやってくる。
長らく共に歩いたロバを人に託するときの想いは、切ない。
実は、ロバについては関心があって調べていたのですが、
物語や絵本ばかりで、馬の本に添え物的に載っているだけ。
もっと生態を知りたいと思っていたので、
この旅行記で写真や文に現れる生態を知ることが出来たのが、
大変有難かったです。
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イラク、トルコ、モロッコをロバと旅する。
都度パートナーは変わり、そのたびにその個性に翻弄される。旅の終わりには別れの寂しさも。
にしても、トラブルはあれど、出会う人々の優しいこと。
旅人をもてなす心が素敵だなと思う。
様々な土地を訪ねてみたくなる。
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イラン、トルコ、モロッコをロバと一緒に歩いて旅するお話し。
なかでもトルコ編で出会うロバとの道中が面白く、行く先々のトルコ人がすぐチャイに誘ってくれたりするフレンドリーさに温かさを感じる。旅っていいな、と。
裏表紙のロバのアップがなんとも愛らしい。読みやすさもあって即読了。
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「旅先で出会い、なんの見返りも期待することなか手助けしてくれたすべての人たちに心からの感謝を捧げます」(p.202)
という締めくくりにあるように、イラン・トルコ・モロッコそれぞれで親切な人の多さがまず印象的だった。
ロバがいるからこその親切、逆に拒絶など、ロバを通した旅を垣間見ることができる。のんびりした紀行記録のような本かと思っていたら、意外と拒絶などマイナス面との葛藤部分も描かれている。
あと、表題のスーコ一頭かと思ったら、そうではなく、けっこう入れ替わりが多いのだなという部分には驚いた。
ロバ本は『プラテーロとわたし』以来となるが、文章から醸し出されるロバの生態にいずれも魅了される。面白かった。
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イラン、トルコ、モロッコをロバと歩いて旅をした。それぞれの地でロバを買っているのだが、トルコで初めてソロツベと名前を付けた。モロッコではスーコ。「ロバのスーコと旅をする」とあるが、「なんだかわかんないけど、ニンゲンとひたすら歩いたんだ」という雰囲気。そう、ロバが主役になっている。それほどまでにソロツベ、スーコに人格?ロバ格?を感じた。
ロバの鳴き声、「ヴァーピーッ」 「ブヒヒッ」
日本出発の日が2022年2月25日なのですね。予定していた日時なんでしょうが、ウクライナ侵攻の次の日。それにまだコロナ禍の最中でもあったのですが出国はできたんですね。行った先では皆普通に生活していた様子。
今は日本国内をロバと旅行中
https://twitter.com/taromar_u
2023.7.30初版 図書館
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イラン、トルコ、モロッコの旅行記。
ただロバと徒歩旅行したことが唯一無二ということ。
それゆえ他の交通手段で立ち寄る場所、道とは異なる場所、道、ロバの入手方法等についての記載があるのが特徴。
現地の人にお世話になりすぎな気がする
読了45分
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学生選書ツアー2023選書図書
【所在・貸出状況を見る】
https://sistlb.sist.ac.jp/opac/search?q=9784309031200
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コロナ前の話ではなかった!というところでまずびっくり。ロバのイメージがますます固くなる方向で、変わるわけでもないのにもびっくり。読んでてしんどくならない話の持っていき方が今風だなあ。
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ロバとの旅。だけれどその都度置いていかれるロバが可哀想。深夜特急を目指すなら己の力だけで自力で旅をしないと。
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飼った事がないロバについては、何とも言い難い。子供の頃は、ロバのパン屋があり、本物のロバが、ゆっくりとパンのケースの荷車を引いていた。本にして貰えないが、自分で荷物持って歩いた方が、合理的かと。
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のどかな旅の記録だと思って読み始めたら、存外に過酷で驚かされた。なにしろいきなりロバが死ぬ。筆者が命の危機に晒されるのも一度や二度ではなく、時には雨風に心折られそうになりながら歩く。まるで修行僧のような姿に「自分には、こんな旅路は絶対に無理だ……」と恐れ戦く。
それでいて、書き味はすっきりと読みやすい。
筆者は「ロバほど感情に素直な生き物はいない」と言うが、わたしには筆者もまるでロバのようだと感じる。旅路の最中で、嫌なこと、苛立たしいこと、不快なこと、面白いこと、ありがたいこと、幸せなことに筆者は出会う。人の好意にも悪意にも晒される。そのひとつひとつに怒ったり喜んだりし、しかしあっけないほどに気持ちを切り替えながら旅は続く。ロバの写真見たさに読み始めたのに、やがて筆者そのものに面白さを感じていることに気がつく。
奇しくも筆者とわたしは同年代だ。34歳(2023年時点)というのはとても微妙な年代で、若者ではなく、しかし老成というにはまだ早い。キャリアがある程度固まってくる年代だからこそ、人生のあまりの長さに挫けそうになる。そんな同世代の目からして、筆者の生き様はいかにも危なっかしい(筆者自身も度々不安を口にする)。同時に憧れる思いもある。自分がそうなりたいというわけではない(絶対無理だ)、旅人という生き方に対する畏敬の念に近い。
旅路はX(旧Twitter)にて今も綴られている。そこだけ聞くといかにもイマドキ風だが、実際覗くとわかるが結構内向きなのだ。今の時代、いくらでもマネタイズできようものを。その辺の不器用さに焦れったくなり、でもそれこそがこの筆者の持ち味だよなあとも思う。
見知らぬ旅人に一宿一飯を施すひとのことを、かつては不思議に思っていたが、この本を読み終えた今は少しわかる。旅行へは誰でも行けるが、旅人は誰でもはなれない。旅人になることを決めたものに旅人でない者ができることは、旅の無事を祈ることと、幸運にも出会えたならば一宿一飯をご馳走することくらいだ。お代はいらない。代わりに彼らの愛するロバの背中をひと撫でさせてもらえれば、それでいい。