紙の本
誰かの存在を無くそうとすることは、
2024/05/28 19:55
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
必ず誰かの協力がないとできず、その行動は自ずと存在を証明してしまうことになる。となると、やっぱりいつか存在してしまうんだ。ただ、無くそうとする努力には意味があって、なかなか存在が見つけられないことに繋がっている。この作品に描かれている彼は、愛情を感じることができていたのだろうと思う。その行動が世間一般的に、間違っていると判断されたとしても。
電子書籍
誘拐2つ
2024/03/13 12:39
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
誘拐事件が2つ発生し、一つは4歳児が帰ってこない。しかし、3年後、無事、成長し、帰宅します。ミステリーなのですが、泣かせるところもあったり、それぞれの事情とか、不自然な感じはしなかったです。
紙の本
誘拐コールドケース
2023/09/06 05:14
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
30年前の未解決誘拐事件。解放までの被害男児の「空白の三年」の謎。当時の担当刑事の死をきっかけに、無念と使命感を抱えた新聞記者が再取材を重ね、真相に迫る社会派ミステリ。
現在進行形の難しい局面に喘ぐ警察組織、ルールを逸脱する報道、ゴシップ好きの外野、ひたすら孫の無事を祈る夫婦。適宜、最善と思う決断を模索する緊迫感が伝わってくる作品。
これほどまでに年齢による体感時間の重みを巧く表したものはない。結局、正しさとは「自分以外の誰かの幸せを願う」事なのかもしれない。とても重く、でもその重さが心地好い。
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誘拐小説の中でも天下一品の作品、30年後当時担当記者だった門田のしつこいぐらいの調査は圧巻の
一言に尽きます。そして内藤亮の切なくて悲しいシーンでは震えてしまいました。読み出した止まらない感動作をあなたもぜひ読んでみてください。
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平成3年。
神奈川県厚木市に住む立花敦之という小学六年生の児童が二人組の男に誘拐されます。
神奈川県警に総合指揮本部LIがたてられます。
身代金は二千万円。しかし父の立花博之は700万円しか用意できないと言います。
そうしているうちに、もう一件誘拐事件が神奈川県横浜市で発生します。木島茂の孫の内藤亮4歳が誘拐され身代金は一億円です。
亮の母親の内藤瞳はネグレクトで育児をしていませんでした。
県警の責任者は中澤洋一ですが、内藤亮の母親の瞳の行方がつかめず内藤亮の顔写真が一枚もないのです。
祖父の木島茂が一億円を持って横浜中を犯人に言われるがままに走り廻されます。
県警はこれを二児同時誘拐として県警の捜査能力そのものを低下させ混乱に乗じて身代金を奪おうとしているとします。
しかし、数日後立花敦之のほうは倉庫内で無事保護されます。
そして木島茂が慌てて置いてきた一億円入りのバックは善意の第三者によって警察に届けられます。
二児同時誘拐事件は終わったのです。
そして内藤亮だけが帰ってきませんでしたが、平成6年、七歳の亮が木島家のインターホンを鳴らしたのです。
内藤亮は三年間の間誰かの手によってきちんと生活していました。
木島茂の妻で亮の祖母の塔子は亮がきちんとしつけられているのに気づき「やっぱり生みの親より、育ての親だね」と言います。
そして令和3年に話は移ります。
元刑事の中澤の通夜に弔問したマスコミの門田次郎は二児誘拐事件の被害者内藤亮が如月脩という人気画家になっているのを知ります。
そして『わかば画廊』に勤める土屋里穂もまた内藤亮を探していました。里穂は亮の高校の同級生でした。
二児同時誘拐事件の被害者、内藤亮は四歳から七歳の間誰の手によって育てられたのか…。
そして亮は、今どこにいるのか…。
以下ネタバレ含む感想です。これから読まれる方はお気をつけください。
亮を三年間育てた育ての親は、一体どんな人間だったのだろうかと思いましたが。亮の育ての親との関係には泣かされました。親子以上に(血がつながっていない分)本当の親子でした。
そしてまた、ラストシーンに登場するとあるものにも泣かされます。
亮と里穂もまた幸せになってほしいと思いました。
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横浜で起こった同時幼児誘拐事件。1人はすぐに見つかり、もう1人は3年後に祖父母の元へ帰って来る。
何故彼は返されたのか、それまで誰とどこにいたのか。定年間際の記者が追いかけ、その真相を明らかにする。
誘拐、虐待、画家と画廊、色んな要素が絡み合って面白く書かれていると思う。
画廊の女性目線の話は、知らない世界だけに興味深かった。
画家というのは、作品を世に出すだけではやっていけない職業なのか…
どの世界にも裏の事情があるにせよ、なんだか切なくもなった。
それと、虐待。
これもこの題材の時にはいつも思うけど、何故我が子を痛めつける事が出来るのか、胸が苦しくなる。
虐待された子がこの先の人生でどれだけの負荷を背負うか、想像しただけで辛い。
日本の性教育、もっと真剣に考えたらどうだろうと思わざるを得ない。
記者と刑事の関係性にも深い絆があるのだろうなと、それはそれで縦の繋がりを超えた人間と人間の繋がりなのだろうと、想像を膨らませた。
記者にとってはあの刑事は恩師のような存在でもあったのだろうなと。
複雑な人間模様の中での犯罪の話は、なぜか心に響くものだった。
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前半も面白かったが、後半になってやっと
作者が何を書きたかったのかわかった。
後半が面白かった。本屋大賞の候補になったのがわかった。
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今日購入して、半日で読み切りました。
塩田武士さんは、罪の声が私的にかなりの名著でしたが、こちらも読む手を止めることが出来ませんでした。
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小説のまだ冒頭であるにも関わらず事件の内容が簡潔に正確に伝わってくることに感動した。
短い文章の中に情報がぎっしり詰まっているのに読みやすく分かりやすい。
作者、そして主人公の両者から新聞記者という職業に愛情を持ち、追う取材対象者の人生に敬意を払う紳士でプロフェッショナルな心が感じられた。
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子供の誘拐の犯罪ものかと読み進めると、どんどん予想外の展開に。どうかどうかハッピーエンドでと願いながら読んだ。写実や画壇などなかなか興味深い話しもあり、とにかく素晴らしかった。
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めちゃくちゃ面白かった!!
まごうことなき★5作品!
最初、なんか64みたいやな
と思いながら、速攻で没入
若干、ご都合主義なところも有りつつも
グイグイ謎が繋がっていくところが気持ちいい!
後半は、
角田光代先生の映画化もされた某小説
(ネタバレになるのでタイトル伏せます)
のパクりっぽかったが、
涙する
これで泣かない人いるの
というくらい
ピュアな恋愛要素もあったり盛りだくさん
これは誰の物語なんだろう!?
全ての人に物語があって共感してしまう
ガンプラのところも良かったな〜
松本清張のくだりとかも、どこまで計算しながら
書いてるんだろう
「中澤さんはまだまだ君に言ってないことがあるよ」
とか
人とのつながり
信頼関係にも感じるところがあった
どこを取っても面白い
脇役にでさえ共感してしまう
スゴい小説であった!
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『罪の声』も、それはそれは、凄かったけど。
何よりも「史実」という強固な裏打ちというか、真にせまる凄みや迫力があったけれど。
この作家に「誘拐」を描かせたら、ちょっと天下一品なのではないだろうか。
物語で描かれる「誘拐」には、ドラマがある。物語がドラマそのものを指していることが多いのだから、当たり前と言ってしまえばその通りだ。
横山秀夫『64』しかり、誘拐という犯罪の特性上、時間との勝負、被害者の主に家族の心模様、そして警察の組織的な捜査の描写によって、おのずと厚みが出る。そして、事件そのものがどんな結末になっても、読む者の心に強く影を残す。
本書は、前代未聞の「二児同時誘拐」が発生し、片方の児童は時を置かず無事保護され、もう一人はなんと3年の時が経ち、自力で保護者の元へ帰ってきたところで事件には幕が降りる。
とはいえ、それはほんの外枠の話だ。この物語の骨格は、「空白の3年間」に何があったのかを、事件発生当時は新米だった定年間際の新聞記者が、再度調べ直す過程で徐々に明らかになっていくところにある。
私は絵画に明るくないので、この物語のもうひとつの大きな要素である、写実画や日本画壇の事情はまったく知らない状態で読んだ。それでもなお、本書を通して、芸術家の孤独や苦悩、表現の奥深さのほんの一端には触れることができたのではないかと思う。
そして、「3年間」という時間の重みや濃密さ、『存在のすべてを』というタイトルの意味や鮮やかな終わり方にため息が出た。しばらく余韻が続きそうだ。
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読み始め、誘拐事件を追うドキュメンタリー風の作品かと思っていたら、徐々に雰囲気が変化していく。
後半からは、タイトルの意味合いが深く伝わってくる。
最後は胸が詰まり涙が流れてきました。
とてもグッとくる良い作品でした。
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表紙の写実絵画「THE-9」とタイトルに惹かれてサイン本を衝動買いしたのですが、塩田さんの作品はこちらが初でした。
この作品の始まりとなる「二児同時誘拐」は、実際に塩田さんが警察関係者に取材して「確かにそれは困る」と言われたとのことで、読者としても冒頭からの緊迫感は忘れられません。
その後、作中で言及されていく「存在」については、各登場人物の人生・物語毎に考えさせられ、涙しました。
相変わらず今の自分に都合良く解釈した感想なのですが、自分で体験して物事を知り、語ることができる人でいたい、そのような人を大切にしたい、そのことの大切さを子供に伝えていきたいと感じました。
便利な世の中になり、更にコロナを経て体感していたことを、この作品で改めて感じました。
そして、ホキ美術館に行って、生の写実絵画を見たいです。
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とても重厚な小説で、読み応えがありました。
20年前の誘拐事件を追う記者と、学生時代の出会いに思いを馳せ行動する画廊の女性の視点で話が展開しますが、登場人物がみな魅力的なので、終始興味をとぎらせることなく読了できました。
やるせない気持ちになる部分もありましたが、最後には人の想いの強さやひたむきさに感動し希望を感じる作品でした。