紙の本
思い出に生かされたり、殺されかけたり
2023/10/10 23:11
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰と過ごしたかっていう切り口で自分の生活を振り返るエッセイ。自身が壊れるほど多忙な美容師見習いの時期を乗り越えて、恋人との安らかな今の暮らしを手に入れるまでのなんやかんやを、本人から居酒屋で聞いてるような、ちょうどいい温度感の文章が癖になる。
特に好きだったのは「たらふくのロマンス」。
恋人と夜遅くにラーメンを食べに行くだけの話なんだけど、短編小説のように輝かしい思い出だし、互いを自分なりのやり方で思いやってるのがすごく良い。思い出に生かされたり、殺されかけたり、それが続いていくのが生活なんだろうな。
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「家族と暮らした頃があり、寮をのぞんだ春があり、ひとりで暮らした部屋があり、ふたりで踊った夜があり、三人で食べたマスカットのタルトがあります。
みんなのパジャマ姿が、私はいちばん好きでした」(P182)
シンプルなあとがきに生が垣間見られてとても心地良い気分になれる。
冒頭の詩(これが生活なのかしらん)の表現もけっこう好き。帯に書いてあるとおり、小さな特別さが文章から醸し出されるように伝わってくる。
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これが生活なのかしらん
かたりたくなり酒がある
むつかしい むつかしいよと
ままならなまま大人になって
これが生活なのかしらん
ふっとひらけた場所にでる
生きていること
ほのおかしくて
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唐揚げZINEがとっても面白く、世代も近かったのですぐにファンになりました。小原さんの待ってたエッセイ2弾!よみはじめはなんだかこそばゆかったのですが、どんどんページを繰ってしまって無二のおもしろさでした。「へえそれで?」「えっえっ!」「ふーん」というような、居酒屋で対に座る小原さんに今までのはなしを聞いてるような、スンとその場に居合わせてるような不思議な親しみ感。うまく言い表せないが、唐揚げのときとは少しちがう読みごこちがしました。冷静にでき事を観察しているところが、なぜか心地よくてあっという間だった。
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小原晩さんの本は、誰にでも書けるようでいて、誰にも書けないような、そんな筆致が読んでいて心地よい。流れていく日常の中で、わずかにひっかかるものを捉えて書くのがとても上手く、自分のなかの似たような思い出を彷彿とさせるような文章。それが小原晩さんの魅力なのかもしれない。
あとはやけに食べ物の描写がうまい。お腹が減ります。あと小原晩さんの喫茶店での描写は必見だと思う。前著「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」にも喫茶店の描写があった。いつか行ってみたい。
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Amazonのおすすめにずっと出てきていて、表紙がとても気になったので、ポチって積読してた本。
ふと今はこういうエッセイ読みたいかもと思って手に取ってみた。
自分の感覚に絶対うそはつかないぞと決心しているような文章で、気取りのなさから、小原さんが感じている不安や嬉しい気持ちがほんわかといい匂いで漂ってくる。
おおさかに行きたくなったな。妖精というエッセイが一番好きだった。思いやりしかなくて、泣きそうになった。
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3人暮らしが1番すき。でもラーメン2杯目に行ける愛も素敵。
各々すきなことしながら楽しく暮らせるのってなかなか難しい。誰と生きるでもこうありたい。
追い詰められてる日々の「あと⚪︎日」「⚪︎人」とカウントダウンする気持ちに共感して、終わりを意識しないとだめになりそうなときは黄色信号だと肝に銘じた。頑張りすぎも良くない。
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SNSでよく見かけたので気になっていた本。
不思議な世界観。頭の中の世界と、現実を行ったり来たりしているような。
少しづつ味わいたくなるような文章だけど、一日で読んでしまった…!
時折はさまれる詩や短歌もすき。
唐揚げ本の方も読んでみたいな。
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一人暮らし、三人暮らし、寮暮らし、と、暮らしのしかたで章立てされたエッセイ。楽しいときもしんどいときも、始まりも終わりもぜんぶが等しく描かれていて、そうやって生活は続いていくのだなあ、と思う。生活は決してきれいなものではないが、そう悪いものでもなかったりするのかあ、と思う。目に浮かぶ食べ物の描写、温度を感じる擬音語が、小原さんの生活をありありと思い浮かばせる。「なのかしらん」というタイトルも秀逸。生活というのは、こういうものなんだろうか、こういうものでよいのだろうか、という、宛先なく空中に浮かぶ問い。でも、その答えはすぐに出す必要もなければ、出さなくってもいいかもしれない。得体の知れない、ままならない生活そのものを面白がっている「ん」の役割、おそるべし。いろいろ分からなくなったときはこの本を手に取って、もともと生活なんてのは分からないもんなんだ、と再確認したい。冒頭の詩もすごく好き。
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文章が面白くて一気に読める。
労働や住まいといった生活に関するささやかなエピソードがとっても面白く描かれている。
ただ、読んでいてこの作者の方の生活や人生をもっと知りたいと思ってしまうからこそ、抽象的な表現やバラバラな時系列で書かれていることに物足りなさを感じてしまった。
そして、読み終わってから作者さんが1996年生まれと知ってびっくり。同い年!?とは、とても思えない表現力と感性。
Instagramも覗いてみたけど、イメージ通りの写真と文章。自分の世界があって、生活を大切にしている方だなと思った。
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ずっと気になってた小原さんの本。ホウプが好き。怒涛の出張話は一気に読んでしまった。
どこか余白のあるような柔らかい文章が好きです。
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皆自分のこととなると、他人は気にしていないようなちいさな部分でも気になるのに
周りの世界のちいさな部分は流してしまう
でもこのひとは、例えば高校時代に好きだった教師がよく飲んでいた缶コーヒーの銘柄とか、同居人のパジャマとか、待ち合わせした相手が金髪で木の下で寝てたからすぐわかったとか、そういう自分の周りの世界にある「ちいさな部分」を憶えている。それを流さずに自分ごととして感じているからなのだろうか。
このひとと、おそらく同じような感性で生きているだろう穂村弘との対談をこの前観たら、穂村弘はこの本の「ちいさな部分」を切り取って素晴らしいと誉めていた
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三人暮らしが一番楽しく読めた。
「すべてがどうでもよくなったときのペヤング」は心強いお守りだなと思った。
『火をつけて』は切ないな。
そして『寮暮らし』は辛かった。
そんな小原晩さんの暮らしのエッセイが面白かった。
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感想
時々信じられないことが起きる。だけどそれは実際に起きている。信じられないほど煌めくこともある。恐ろしくなるほど沈むことも。でも楽しい。