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連続失血死の犯人と思われた、まさに吸血鬼といった様相の者はポルフィリン症とのこと。
毎度このシリーズは医療者として推理バトルする気持ちで読んでいますが、このポルフィリン症で腹痛や精神症状での救急搬送され精査されている場面、非医療者がみても青白いほどの貧血であれば、検査上もそれなりに貧血のはず。そこそこちゃんとした医者が診ている風の場面であるにも関わらず、貧血についての精査はふっとばして、消化器精査ののちにIBSなどを疑ってますという流れは無理があるのでは。ポルフィリン症を診断できないのは普通だが、貧血を本当にプロブレムに挙げてないのはご都合すぎるかな。
刺青、血液を混ぜて、とのことで、なんらかの血液感染症が大きく関わってくることは序盤から推測された。
ポルフィリン症の彼はあくまでも利用されており、事件の根本はHTLV-1によりALTを発症し余命幾許もない病院理事長が、かつて母乳感染させてしまい、HAMを発症してしまった娘のような存在のためにHTLV-1抗体を一生分集めていた、と。
まあそんなもんかなって感じで、今回はそこそこ。
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長編の新刊。
例によって読みやすい文体。医療の観点からの謎解きは今まで以上に読んでいて楽しい。
非情な犯人に絶望と後悔、そして本当の「地獄」を理解させる…という結末も個人的にはよかった。鷹央がやったことは一種の脅迫ではあるが、犯人にふさわしい結末だと思う。実際には脅迫を実行に移していないわけだし。
警察側の後処理は大変だろうとは思うが…
気になった点は会話のテンポやセリフ回し。
よく言えば平易で読みやすいが、悪く言えば漫画やゲームなどのテンプレートのような気がしなくもない。小鳥遊と鴻ノ池のノリツッコミなどの会話シーンで特に感じた。
表紙イラストをいとうのいぢ氏が手掛けていることもあり、そういった創作物に慣れている読者が多いと思うが、医療やミステリーものとして初めて読む読者は混乱するかもしれない。
また今作ではなく過去作で鷹央がアスペルガーを自認していることが明らかになったが、それ以降の作品で空気の読めなさや常識のなさが目立ったように感じてしまった。天才キャラ=非凡ゆえに非常識、というキャラ設定は鉄板だが…障害だと明言されたことが足を引っ張ってしまっている気がする。
取り留めなく書いてしまったが、今作も良い作品だった。
次作にも期待。
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知念実希人さんの天久鷹央シリーズ最新刊は、新潮文庫NEXではなく実業之日本社文庫から刊行された。既刊作品もすべてリニューアル刊行されるという。
都内で相次いで見つかった3体の遺体には、共通点があった。いずれも首筋に2つの傷跡があり、ほぼすべての血液が抜き取られていた。まるで「吸血鬼」に襲われたように。警視庁捜査一課の桜井は、早々に鷹央たちに頼るが…。
3人の被害者はいずれも外国人で、特異なタトゥーを入れていた。腕が立つ小鳥遊と鴻ノ池が一緒とはいえ、新宿歌舞伎町のヤバそうなタトゥースタジオに乗り込むかよ。不運な店主から見れば、鷹央の方がヤバいに違いないが。
前作も生命の尊厳を踏みにじるような内容だったが、本作も然り。日本という国の恥ずべき現状。未だにこんな事例はあるのだろう。フィクションながら怒りを覚えるが、この時点ではもっと酷い真相が待っていることを知らない。
鷹央の無鉄砲さは毎度のことだが、今回はさすがにやりすぎな感がある。鷹央はともかく、小鳥遊と鴻ノ池が医師生命を絶たれたらどうするのだ? その筋の専門家でも雇えばいいのにと思うが、どうにか目的を達するのはお約束。
謎に食いつきつつ、目の前の患者を救うという医師の本分を忘れていない点に、救いを覚える。そんな鷹央だけに、真相を読み解いた瞬間の心理や如何に。シリーズ史上、最も許せない相手ではないか。何しろ、その相手とは…。
もちろん、こんな疾患名はピンと来ないが、鬼畜の所業なんて言葉では生温い真相だった。日本という国がここまで腐っていないことを願いたいが。医学的にきっちり暴いたところで、鷹央にも警察にもできることはない。
あれやこれやで、知念さんは新潮社と決別したのだろうなあ。シリーズの末永い存続を祈りつつ、これからも現役医師作家・知念実希人を応援する。
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医学とミステリの融合は海堂尊氏の開拓分野.海外からの技術実習生制度という社会問題を主軸にするには的が外れ,キャラ萌えのラノベにするにもちょっと違う.それらの融合分野で読書の敷居を下げることが目的とするなら,食指が動かない.
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表紙に違和感が無かったため気付かなかったが、よく見ると出版社が変わったのね。
既刊もこちらに移行するようで、その際掌編が追加されて完全版になって刊行されるらしい。
嬉しいんだか苦しいんだか。
このレーベルで刊行順に読むと順番が滅茶苦茶になることは正しく理解した。
長編の方。
タイトル通り吸血鬼が犯人であるかのような事件が起き、診断知識と推理力・行動力で解決する流れ。
メインの症状は医学知識が無いとどうにもならないが、周辺事象は医学素人でも推測できる感じかもしれない。
完全版どうするかな…。
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地元が舞台、そして前々から気になっていたシリーズだったこともあり即決。
さくさく読み進められた。
登場人物のキャラクター性がしっかりとしている。コミカルなやり取りが◎
技能実習生の問題は知ってはいたけど…せっかく日本に来てくれてる方々の末路がこの物語のようでないことを願いたいです。
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「吸血鬼連続殺人事件」
肌にコウモリが描かれて。
どれだけ劣悪な状況で働かされているとはいえ、それを告発したとしても現状が改善され働き続けることが出来るかどうかも怪しいと思うと言い出せないだろうな。
犯人だと思われる姿を見てしまったというのに、連れ去れることもなければ口封じもされることなく放置されているのは重症な情報は得られてない自信でもあるのだろうか。
「水晶の吸血鬼」
身体と共に心も蝕んで。
家族を養うために海を渡ってまでやってきたのだから、何がなんでも稼いで仕送りを続けなければならないという縛りが逃げるとう選択肢を消してしまったのだろ。
意思の疎通が出来て精神的にも安定していれば早い段階で可能性を見出せたかもしれないが、錯乱したままの状態で答えを見つけ出すには少し時間が足りなかったのだろう。
「血に溶けた罪」
罪を償うために集めた。
最期の告白を誰かが態と口にしない限り真実を知る術などないが、彼女が生き続けている限り治療という名の遺物である罪が身体の中を巡り続けているのだろうな。
病魔に冒されて終わりを迎えるから誰も司法解剖などしようとしないだろうが、もしそんなことをするとなったら身体中から消えたものに気付かれて最悪な結末を迎えるな。
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吸血鬼の原罪/知念実希人
天久鷹央シリーズ書き下ろし。
血を抜かれた吸血鬼連続殺人事件に統括診断部が挑む!
ほんとに読みやすく面白い。
小鳥と鴻池、鷹央の掛け合いも良い。
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天久鷹央の新刊でめっちゃハッピーな気分で読み始めた!!そして期待を裏切らない内容!!!!
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鴻ノ池が統括診断部の研修医になってて、ちゃんと物語の進みを感じる!そして、鷹央や小鳥遊、鴻ノ池の絡みが面白すぎて、1人、笑いのツボから出れなくなった!!
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結末もちゃんと予想通りとはいかなくて、、、
ほんとに最高の一冊だった!!!!!
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贖罪の仕方には
様々な方法があるわけだが・・・。
罪に罪をかぶせても
罪を罪で拭っても
決して前には進めない。
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今年もこのシリーズの季節がめぐってきた。
今回は古風?に吸血鬼殺人事件だ!
身元不明の遺体からは
血液がすべて抜かれていた。
第一発見者の男の証言で明らかになった
犯人と思われる男の風貌。
青白い肌に闇に光る犬歯、腕にコウモリの刺青。
続けて同様の事件が発生して
世間は「吸血鬼のしわざでは」と噂するが。
で、桜井刑事たちがこの不可思議な謎を
鷹央のもとに持ち込んできたため
警察ではやらないような
アクロバティックな操作方法で
少しずつ解決に近づいていくのです。
裏にある社会的問題が鍵。
語り口は軽いけど、中身は重め。
鷹央ちゃんが積極的に「家」を出る変化
小鳥先生も気になっているようですね。
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首筋に2つの傷痕があり全身の血液を抜かれた遺体が立て続けに見つかった連続殺人事件。どう考えてもオカルトでしかあり得なさそうな事件をともすると飛び道具的な設定も用いながら最終的には医療ミステリーの枠に収める手腕が見事。今作はかなり巧みに、しかも多くの伏線が張られている。「我々は警察や名探偵ではなく医者」というシリーズに対するある意味でメタなツッコミ台詞が伏線に化けるラストも綺麗な締め方。
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天久鷹央シリーズ第14弾は長編。
3つの場所で次々と変死体が発見され、被害者の首には二つの傷跡、そしてほぼ全ての血液が抜かれていた。
犯人は伝説の吸血鬼なのか、それとも…。
今回は推理小説としては割と展開が読めてしまう内容でしたが、診断がまた難解すぎてちんぷんかんぷんでした。
14冊も話が続いていることもあり、個人的には推理を楽しむというよりは鷹央、小鳥、舞のトリオのやり取りを楽しんでいます。
また続きが楽しみです。
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1年ぶりの新作、14作目になるが、相変わらず見事。ちゃんと医療ミステリーになってるんだよな~ いつも書いてるが、実写化して欲しいなあ、このシリーズ・・・
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まるで吸血鬼に殺られたかのように血を抜かれて死ぬ連続殺人が起こり、捜査一課の桜井から相談を受ける鷹央。死体に共通するタトゥーから地道に細い糸を辿っていくと…。
外国人技能実習生の闇から始まり、おお、まさかこんな結末(病気)にたどり着くとは!しかし、このあたりの病院、ヤバい。あと、鴻ノ池と鷹央がレストランでワイン飲んだら請求ヤバそう。
いつも通り、テンポ良く読めました。中高生にもオススメ。この本は多少シリーズ読んでいれば飛ばして手を出しても大丈夫。