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良い人生とはなんだろう、自分は幸せに生きられているんだろうか?
どこか哲学めいた、けれど誰しもがぶつかるそんな問いや惑いを秘めつつ、とりあえず毎日つつがなく生きている人々の人間模様を、「ヒュナム洞書店」という町の本屋さんを舞台にして描いた作品です。
韓国の小説ですが、登場人物が置かれている環境は日本にもなじみ深く感じられるものばかりで、彼ら彼女らの感情に寄り添い合うように読めました。さながら、彼らが読書クラブで椅子を囲んでいる、その輪の中に自分もいるかのような、さりげないリアリティを感じさせる作品です。
彼らはそれぞれ思い悩んでいたり、過去や現在の苦しみを抱えたままでいたりする。それを全部他人にひけらかして助けを得るのではなく、あくまで日々の会話や、本からの示唆や、ちょっとした出来事で、自分自身で少しだけ足を進めたり、ささやかな決意をしたりする。そんな(作者の言葉を借りれば)「ゆるやかな連帯」の持ち方が、お仕着せがましさもわざとらしさもなくて、良い人間関係の描きかただなと感じました。
何も決めなくていい、悩んだままでいい。今は過去に泣いているだけでいい。お互いを好きなままでいましょう。おだやかな決意や思いやりが、そうっと心に響くようで、ひたすらにやさしいお話だと思いました。
どんな国の、どんな世代の方にも、響く小説ではないかと思います。読めて良かった、とても好きなお話でした。
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閑静な住宅街に書店を構えた何やら訳ありな主人公、この書店に集まる登場人物たち。
年齢も性別もばらばらだけれど、常に、将来(就職)のために今を我慢して過ごしてきたり、常に準備して生きてきたり、その果てに、これでいいのか?と思うようになった人たちと、現代の町の本屋さん。
登場人物がみんないい人たちで、それぞれがお互いに少しずつ傷を癒していく過程が描かれる。
全てに愛を感じるわ。
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後味の良い本でした。
登場人物の誰かに自分を重ね合わせてみたり
自分を肯定出来る誰かの言葉に出会えたり
ゆっくり流れる時間のなかで
しばし休憩場所に身を寄せるのは無駄なことではないと教えてもらえたり
……
そこに気の合う仲間が見つけられたらなお素敵なことですね。
でも何か続けていたことをやめる決断をするのはやっぱり勇気がいりますね。
自分の心を柔軟に!
40もある短い章に分かれていているので
ゆっくり言葉を味わいながら
一つ一つの章読むことをおすすめします。
この本がこんなにしっくり心に落ちていくのは
まさに訳者の牧野美加さんの力でもあると思います。
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とても好きな物語だった。
分厚い…と最初思ったが、登場人物や語り口調も良く、穏やかな気持ちで読み進めることができた。ほっとする本だった
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―「いい人が周りにたくさんいる人生が、成功した人生なんだって。……」
(p.320)
韓国の架空の町"ヒュナム洞"にある本屋さん・ヒュナム洞書店を舞台に、書店主のヨンジュやカフェコーナーのバリスタ・ミンジュンやそこに集う人々を描いた小説。
登場する人々はさまざまな苦しみ、辛さ、悩みを抱えながらも、お互いに限りない優しさや思いやりをもっている。読んでいてこちらまで穏やかな気持ちになれる。
また、作家の方は元々エッセイストでこれが初の長編小説だそうである。
そのためか、 "小説"というよりかは、登場する人々が、日常の出来事について・本について・人の生き方について・人について・丁寧に丁寧に考えたことを綴ったエッセイや哲学書にもみえる。
だから、読んでいるこちらも丁寧に丁寧にゆったり読みたくなる本だった。
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かなりのボリュームだったけど、読み終えてよかった。自分にとって、初めての韓国の小説。
本好きな人間として、心にヒュナム洞書店があればいいな。
評価をするとき、自分にとって最高、また読みたいと思った本は星5つにしている。
これ、映画化されたら観たいなぁ。
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バリバリの働き虫の女性が
同じ働き虫の男性と離婚し始めた書店
初めは2年でやめてもいい予定だった
やがて書店にやって来た
就活に失敗したアルバイトの男性
離婚に至るコーヒーバリスタ
会社員の作家
などなど
店主の女性は持ち前のアイデアで
人が寄ってくる本屋へと
変えていく
自分自身も閉じ籠もっていた殻を
破り 表現することは目覚める
韓国の学歴社会の凄まじさ
就職の困難さが感じられた
人との繋がりを考えさせてくれる
そして人の考え方の多様なあり様も
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かつてこれほど、読んでいる途中でフレーズをメモした本はない気がする。
私は次の本、次の本、とどんどん新しい本を求めてしまう性分だが、この本を読んで一冊の本とその本について考える時間をしっかり取ってみたいと思った。
ヒュナム洞書店の店主のヨンジュはこう言う
「本で読んだいい話を、本の中だけにとどまらせたくはありません」p339
私はこの本を、本の中だけにとどまらせたくない。
たくさんの人に読んで欲しい。きっと、誰もが自分の心に染み渡ることばを見つけるはず。
本、そして本屋、という空間の素晴らしさを改めて感じた1冊だった。
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とても良かった。
大きな山場や急展開などはないが、ゆっくりと流れる時間の中で、登場人物の心情がとても細かく書かれていた。
過去の自分にも重なることも多く、登場人物と同じくモヤモヤした感情になりながらも、前向きに進んでいく姿が良かった。
またいつか自分の人生について悩んだときは、この本を手に取りたいと思う。読むたびに刺さるポイントが変わりそう。
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町の小さな本屋さんが舞台の小説。
特別な事件や問題が起こるわけではないけれど、少しずつ集まっていく店員や常連の魅力が詰まった作品だと思いました。
生き方や考え方についてスッと楽になるような、ヒントをくれたような優しい小説でした。
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こんな本屋さんが近くに存在して欲しい
登場人物それぞれなりのハッピーエンディングストーリーなのも読後感が良い
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2/3くらいまでは良い話だけどほんわか良い感じで終わりまですすんでいく感じかな(自分が苦手なヤツ)と思っていたが、最後の1/3で急激に話がすすんでいく。
日本異以上に学歴社会化・エリートの差別化がすすんでしまった韓国を舞台にそこからはずれてしまった人々の物語。
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街の本屋さんとそこに集う人たちの過去や現在との向き合い方がアンニュイな雰囲気と共に綴られている。
本とコーヒー…その描写により何となく読んでるうちにコーヒー飲みたくなる。
本と同じでそこにいる誰かが答えを提示するのではなく、それぞれとの関わり合いの中から自分で答えを見つけて決断していく。
誰も押し付けがましくないのが読んでいて心地いいという感想を生んでいるのかもしれない。
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「どんなことでもいったんやり始めたら、何よりも、心を尽くすことが大事だ、小さな経験を丁寧に積み重ねていくことが大事なんだ、って」
書店の店主や客にはそれぞれ悩みがあり、お互いが会話を通して相手の考え方を聴くことで自分を見つめ直し、少しずつ1歩を踏み出していく姿が描かれています。私は本編だけでなく、あとがきからも好きな言葉に出会いました。
忙しかったり時間に追われることが当たり前になっている今こそ。ヒュナム洞書店に立ち寄り、心を安らげてみてはいかがですか?
と、オススメしたくなる1冊です。
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自分のせいではない胸の痛みを知る人達。
でも、その痛みを人のせいにしない人達。
生きていける「筈」や生きる「力」を丁寧に否定しながらもその可能性を伝える書。
競争競争常に走り続け無ければ生き残れない国風は知っていたが、ミンジュンが友人とボタンの穴について語る場面や、母からの電話の場面は吐くほど胸が痛くなった。スタート前から未来を感じない。
ヨンジュはある意味成功者であり、成功地点から未来が見えなくなったのだろう、だからミンジュンの状態を会話なくとも分かるのだろう、サンス、ミンチョルに対しても同じだ。
結婚しない、出生率、ママにならない事にした等、隣国でありながら、広く世に響く内容を突き詰めず、広く世に広がる生きにくさの視点で描かれたのが凄い。
読み手を俯瞰位置に連れて行く技法というか、突き詰めていながら、スタイルは突き詰めて無い、でも突き詰めている、この妙!!!
ベストセラー的な内容なのに、「あなただけに伝える」姿勢が素晴らしく温かい。
奇しくも本書はベストセラーになったので、ヒュナム洞書店では買えない。