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有吉佐和子もこれまで未読の作家であった。人に勧められて読み始めたこの旅行記で、有吉は1960年代の活力にあふれた時代を体現する人物だったんだと認識した。文化人類学者の畑中幸子の「ニューギニアまでおいで」の一声でまだ未開の地であったニューギニアまで行ってしまう有吉のパワーは底知れない。帰ってきてから何で止めてくれなかったのだと友人知人に訴えたそうだが、きっと行く前なら引き留めても「大丈夫」と受け入れなかっただろう。また事前に現地の様子を調べておかなかったことを帰ってから悔やんでいたようだが、きっとこの人はインターネットで簡単に調べられる現在でも、どんな土地か下調べしないで突入していたように思わせる。「華岡青洲の妻」のドラマをテレビで見て有吉佐和子に関心を持てなくなっていたが、いやいやどうして自身と畑中さんを物語として描き出したこの1冊で、傑出した筆力をもつ作家であったんだと思い知った。
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スピン創刊号にて中島京子さんが手に入りくい絶版本で
紹介していた時から気になっていた本。
河出文庫から復刊していたので購入した。
私が生まれるより昔の話で、そんな時代にニューギニアの奥地にお友達の人類学者の畑中さんに誘われて
軽い気持ちで行った有吉さん。
それが行くだけでバーガラップ(私は壊れた)状態になってしまった、凄まじいジャングルの強行軍。
そんな有吉さんと畑中さんのニューギニアでの日常が面白い。
この機会に読めて良かった。
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ニューギニアの大自然と文明とは隔絶された民族とに出会う大冒険のエッセイ。
民族たちの力強さを感じるとともに、文明に生きる我々との隔絶も感じる。その隔絶の中で、コミュニケートして共に生きるには上下の別を厳しく言わないといけない面もあると思われる場面も多々描写されてる。安易に平等に、情をかけると、舐められてあちらの論理で豚三匹と交換されてしまうかもしれない。異文化と接するには、異なることを主張することも必要かと気付かされる。
されど彼らの生き方、文化に対して、我々の文化文明が優れているとは言えないし、文明人気取りする我々の価値観で彼らを測ることができないのも事実だ。それは余計なお世話だし、ほっといてくれと思う。けど、文明と接触することで彼ら自身も毒されていく(変容せざるを得ない)し、また、資源を巡って経済的に、資本主義により蹂躙されることも生じてしまう。
所謂西洋先進諸国の人権基準とは異なる価値体系にある人達の権利を守ることはできるのか。押し付けることなく、異なる価値体系の中でも接触しない距離感を保ち共存することができるのか。その課題へのアプローチは、自然保護の考え方に繋がる気がする。
距離を置き手付かずのままおく保全
介入して手を入れて支援する保護
利用しながらいい距離で付き合うこと 里山
利用全面で取り込むこと
そして一方的な収奪
どの距離を拒み、どの距離を選ぶのか。適切な関係性を維持できるかが課題になりそうだ。
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今はどうなっているのか気になった...
海外に行くことが当たり前になる前こんなにフットワーク軽く行動していて勇気もらえました!
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女二人のニューギニア滞在期
想像を絶する過酷さに最初は驚きの連続だったが、徐々になにが起こっても「まぁニューギニアの奥地だしな…」という思考になっていった
40年前に書かれた文章とは思えない程、いきいきとしていて、読んでいて本当に楽しかった!
これを読んでニューギニアに行きたいとは思わなかったけど、有吉さんがヨリアピを訪れたのが今から55年前だし、今現在この地がどうなってるのかは気になる
調べてみても出てこないから、もうなくなってしまったのかなぁ
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ニューギニアという日本とまったく異なる文化、環境のなかで逞しく生きる畑中さんと、それに衝撃を受けながらニューギニア生活を堪能?する有吉さんのお話。
自然も人も圧倒的に強くて過酷!!!こんな世界が同じ地球上にあって、今も存在し続けていると思うと不思議な感じ…
有吉さんの書きっぷりがコミカルで軽やかで、未知の世界について気軽に楽しく、だけど臨場感をもって知ることができて、有吉さん本当にありがとうと思いました。笑
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面白かったけど、、、
抱腹絶倒のエッセイという口コミで読んだけど、そのようなシーンは無かったかなぁと思います。
著者の表現力には脱帽も、他の本に比べて読み進めるのは遅くなってしまいました。
(そもそも私が海外旅行とかあまり行かない人間というのもあるかと思います)
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1985年に刊行されて一度は絶版した本。女二人の破格なニューギニアの冒険が、どれも想像を絶する。またまたと呆れて笑いながら聞いてしまいそうな武勇伝は、まじめに誇大なしの実際の体験だ。文明化された潔癖すぎる社会とはかけ離れた世界。今はどうなってしまったんだろう。文明化されない変わらないでいてほしい気持ちは、関わりのないところから無責任に考えるエゴだ。それにしても作者ともう一人の方の女、人類学者の畑中さんの強さには惚れ惚れする。おもしろい本です。
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今の生活を考えると、ここまでの体験は到底できそうもないが、もしも体験することできたら自分の常識が全て覆されるのだろうなと想像し、羨望の心持ちもある。でも過酷すぎる自然や苛烈なウイルスによる攻撃は遠慮申し上げたいな。まずは少なくとも異文化や異質なものに関心をもち、触れていくことで、自分の幅を広げていきたいと思う。
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和歌山市の記念館を訪れて以来、有吉さんの作品を少しずつ読んでいる。
今回は紀行文で、知った時には旅行エッセイ好きの血が騒いだ。文化人類学者のご友人 畑中幸子氏に誘われニューギニアの奥地ヨリアピに足を踏み入れるというもので、ハラハラ引き込まれること間違いなしだ。
有吉さんたちの文字通りに歩んだ旅路自体には正直そこまで驚かなかった。辺境作家 高野秀行氏によるハイレベルな珍道中に慣れてしまっているせいで、驚き飽きていたのである。
(意外と合理主義な)高野氏のことだから移動手段はもう少し楽な方法を模索するだろうけど、有吉さんが戦慄したシシミン族への密着取材なんかは絶対「いいじゃないですか〜」と目を輝かせるだろう。
でも体力的に厳しい有吉さんからすればたまったもんじゃないし、高野氏目線から外れるとやっぱり普通にしんどい。現に、2日かけて山々を越えたせいで足にダメージを受け、1週間の滞在予定が1ヶ月になっている…。ゆるい表紙絵からは想像がつかない武者修行っぷりである。
しっかりしたイメージの方が参っている様子は、それはそれで面白かったけど笑
「ニューギニアだなんて、あんなところは、私たちは戦争だから[中略]いやいやながら行ったところですよ。[中略]私が知ってたら、絶対お止めしましたね。私はまた外国とばかり思っていたものだから」
早速ネタバレに入ってしまうが、ニューギニアからの帰国後有吉さんはマラリアに罹病してしまう。上記は贔屓にされていた呉服屋さんが入院中の彼女にかけた言葉である。
ヨリアピにはさすがに旧日本軍も踏み込まなかったが、やはり海側ではまだその当時の記憶が色濃く残っているという。
「外国」という点においても、数学者 藤原正彦氏が「戦後しばらくは『外国』といえばほぼアメリカを指していた。皆何かとアメリカに憧れていた」と述べられていたのを思い出す。
そう考えると有吉さんのニューギニア行きは、新しい時代の象徴のように映って見えた。
「私らの国、あれ、ちょっと狭すぎるな、そう思わへん?」
6−10歳まで、父親の転勤に伴いインドネシアで暮らしていた有吉さん。
戦後も世界各国を歴訪されていて、ニューギニア行きも海外観光の延長線みたいに捉えられていた節がある。(下調べを疎かにされたのは少々!?いただけなかったが…)
紀行文も写真も残さない代わりに食への好奇心は旺盛で、ヨリアピでもしきりに大蛇を食べたがっていた。参っていながらも、人間その気になれば住めば都になるのだな…。
それは現地の通訳やポリス、シシミン族にも臆さない女傑 畑中氏に対しても言える。男性優位のシシミン社会に圧倒されないよう、決して自分を見失わなかった。
夫婦漫才みたくコミカルなやり取りもあった共同生活。
しかし東京で縮こまっていた「女二人」が、あの時代(1960年代後半)にジャングルの奥深くへ乗り込み見事に生き抜いていたことは、もっと語り継がれるべきではないだろうか。
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これは死ぬほどおもろかった。文句なしの5★!人類学者の畑中幸子氏に「あんたもおいでよ、歓迎するで~」と言われてほいほいとニューギニアの奥地に行ってしまい、大変な目に遭うという話し。1968年頃のニューギニアって、こんなんやったんやぁって思うけど、今のニューギニアも知らんけど。そう言えば1973年くらいに「ニューギニア高地人」って読んだ記憶がある。ペニスカップが衝撃的やったけど、有吉さんもそんな人たちとしばらく泣き泣き暮らしたんや(^^ )
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有吉佐和子さんの紀行文(と言ってもただの旅行などではない)です。恥ずかしながら、有吉佐和子さんのお名前だけは聞いた事がありましたが、読んだこともご本人のことも情報を持ち合わせておらず、、女友達との旅物語かなと思って読みはじめたら、すごく前の時代のお話で、しかもニューギニアかなりの未開の地であったようで…ジャングル3日かけて訪れるとか。
何もかもが知らない事だらけで、当時の背景、現地の暮らし、有吉さんの心持ち、びっくりするやらハラハラするやら。読みやすい文章であっという間に読了でした。
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今年も始まった河出文庫グランドフェア、すてきなブックカバー&トートバッグを入手するための2冊目はちょっと前から気になっていた有吉佐和子のニューギニア滞在記。
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面白く読ませていただきました。大きな出来事は起きず、一方で、とても大変な状況のはずなのに、そう思わせない所が良いです。
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1985年に朝日文庫から刊行された『女二人のニューギニア』の再文庫化になります。
著者の有吉佐和子さん(1931-1984)が、
ご友人で文化人類学者の畑中幸子さん(1930-)(当時、東京大学院文化人類学在籍、現在は中部大学 名誉教授)のフィールドワークを訪れた際の、壮絶だけども笑えてしまう滞在記になっています。
「ニューギニアは、ほんまにええとこやで、有吉さん」という畑中さんのお誘いに「じぁあ、行くわ。案内してくれる?」と大層気楽な気持ちでスタートしてしまったこの旅は、大変なものになります。
悲惨な状況が続くんですが、文章が面白すぎて何度も何度も笑ってしまいます。
のっけから、ニューギニア行きを止めてくれなかった周囲への不満がたらたらと。笑
道中・滞在記では、お二人のやりとりが生き生きとして伝わってきて、本当に面白いです。
とにかく大変極まりないんですが。
現地に行くため二日間ジャングルを歩き、疲れて三日目に「こわれてしまった」有吉さんを、迎えにきてくれたシシミン族の人たちに運ばれる描写など、最高に笑ってしまいますよ。
考えさせられることもしばしばです。
戦地だった傷跡も描写の中に出てきます。
また、白人はネイティブをバカにし、その白人から文明を取り入れた者が、また新たなヒエラルキーの頂点に立つようなところは、植民地時代から繰り返されているであろう人のエゴが感じられます。
「山野を自由自在に駆け巡っていた彼らが、文明という眼鏡をかけ、文化という靴をはき、贅沢というシャツやパンツを身につけるようになるのが、幸福といえるかどうか、難しいところだ。」と記されています。(ケン・リュウ氏の「紙の動物園」に収められた「結縄」にも感じた想いです。)
色々ありますが、たくましいに尽きます。
仕事などで疲れている時に読むと「まだ頑張れる!」という気持ちになれるかもです!笑