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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてのフォトストーリーと銘打たれたこの本『彼女たち』は
文を書いた桜木紫乃さんと写真を担当した中川正子さんの
類まれな心がふっとほどけるような一冊だ。
文でいうなら短編というよりショートショートというべきか、
それとも三篇の詩のようでもある。
三篇の物語は小さな喫茶店で交わって、だとしたらこれらは
連作短編だといえる。
そして、多くの言葉で語られないものを中川正子さんの写真が
そっと風のように寄り添う。
あるいは、喫茶店に流れる静かな音楽か。
そんな丸ごとがこの本といっていい。
「だいじょうぶ。わたしたちにはいまを乗り越える力がある―。」
本の帯のこの一文は、本文では少し違っていて、
70歳の誕生日を喫茶店で迎えたケイという女性が
他の席にいる女性にむけて、ふっとつぶやく。
「だいじょうぶよ。あなたたちはいまを乗り越える力があること、」
そして、こう続く。
「わたしは知っているの。」と。
70歳のケイなればこそ、いえる言葉だろう。
桜木紫乃さんの文章を読むか、
中川正子さんの写真を見るか、
お二人の作品を交互に楽しむか、
この本は何度でも読者を誘ってくれる一冊だ。
お気に入りの喫茶店の片隅で読みたくなる一冊でもある。
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投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すべての写真が美しく、とても好みの雰囲気。
静かで優しい文章も心地よく、何度も見返したくなる。
プレゼントにも良さそう!
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今回始めて、フォトストーリーというジャンルに対して、自由なイメージ創出を阻害して楽しみが半減するのではないか、との疑問がわいてしまった。確かめるために読みたい
#彼女たち
#桜木紫乃
#中川正子
23/10/13出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3M0RMFB
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直木賞作家・桜木紫乃さんと、人気写真家・中川正子さんのコラボによるフォトストーリー。
「ジョンとイチコ」
「モネの一日」
「夕暮れのケイ」の三話収録。
一話目の『ジョンとイチコ』はイチコが飼っていた愛猫・ジョンの視点で描かれる。
ひとりぼっちを選んだイチコさんへと向けられる、ふうわりとした温かな目線。
心が通い合う、かけがえのない存在に安心感を覚えた。
仕事と子育てに疲弊した女性を描いた『モネの一日』からは、やるせなさが伝染し一緒に深呼吸したくなる。
最終話はイチコとモネを見守る店主・ケイの視点で語られ優しい余韻が続く。
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綺麗な本です。
この本を読む時は、安心感が手の届く先にある時が良いかな。
例えば、心許せる人の隣りで。飛行機の中でも、電車でも、部屋でも。
自身の弱さと、でも、なんとかなるかって、
そんなバランスが感じられたりするかな
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癒されたい、孤独を感じる、イライラする…心の操作不全に陥った時に読みたい一冊。頁を捲ると妙に落ち着く。ミルクコーヒー片手に、言葉を想像し、ボ~ッと写真を眺めて心をリセット。
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これは、とても丁寧な作り方をされている本だなと感じられ、単行本サイズの広々とスペースを取った写真と、メッセージとも受け取れる、一ページ毎に間隔を空けた、少ない文体で手軽に読める短篇小説とのバランスも絶妙な、桜木紫乃さんにとって、『Our Stories』な物語は、今を精一杯生きている、そんな『彼女たち』に贈る、新たな視点をそっと教えてくれるフォトストーリーです。
『なつかしいものなんて、ひとつもないの』
『だまって言うことをきいていたら、胸が苦しくなってくる。
本音と建前が透けて見えるのは、つらいんだ』
三つある内の、一つ目の物語は、誰も彼女の心の中に興味の無い環境で暮らしてきた、ひとりぼっちの彼女が、そんな彼女に目を留めた人のアドバイスにより、『なんのために?』でも『誰のために?』でもなく『自分のために』生きる自由を手に入れ、その後、同じくひとりぼっちの猫と出会うことで、彼女の心の内に芽生えたのは、果たして・・・。
『どんなでこぼこ道も、ひとりで歩く。
喜びも失敗も、ぜんぶ自分のものだ』
二つ目の物語は、『今しかできないこと』に囚われた彼女の物語。
『楽しいことを考えるのが苦手になったのは、子育てのせいじゃない。
わかってる』
『仕事も恋も結婚も、
今しかできないことを選びつづけてきたのに。
どうしてこんなに疲れているんだろう』
『「助けて」なんて言えない』
何年間も、ただ通り過ぎるだけだったお店にふと入ってみたくなった。
そして、いつもと違うことをやってみることで、心にちょっとした余裕が芽生え、これまでに無かった別の見方が頭の中に浮かび上がってきた。
『今しかできないこと──いいえ』
『今したいことは、なに?』
最後の物語は、七十歳の誕生日を迎え、最愛の人に先立たれた彼女は、現実の過酷さに必死なあまり、甘えられない彼女たちにささやかな、言葉は無くとも確かに伝わる、心の休息をそっと与え続けてゆく。まるで、それが彼女自身の心にも与え続けていることを、彼女自身、実感しているかのように。
『だいじょうぶよ。
あなたたちにはいまを乗り越える力があること、
わたしは知っているの』
中川正子さんの写真は、まるで温度が手に伝わってくるような、ほのかに差し込む光の温かさが心地好く、普段、目にしている光景よりも抑えた色調には、思わずハッとさせられるものがあり、それは、あなたが普段見ている変わらない景色も、その時の心境によって、変わって見えることもあるんだよと言われているようで、そこには、心に余裕を持ちたくても、とてもじゃないが、そんな余裕なんか持てないと感じている、『彼女たち』に向けて、そっと差し出して共に寄り添ってくれるような、これまで閉じかけていた視界がパーッと開けていく、そんな新たな世界を写真から感じさせられた、ありふれた日常の光景は、こんなにも美しかったのだということであり、それは、『彼女たち』も同様だという素晴らしさへと変わってゆく。
そして、���後の『Our Stories Continue』に込めた桜木さんの思い、彼女たちの物語は、当然、これから先もずっと続いていくということであり、ものの見方に正解なんてないということを、心に留めて、これから先もずっと生きていってほしい。
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この作者は読みやすく、言葉が丁寧なので手に取りました。 ページ数も少なく、写真も入っているので30分もかからず読めました。 なかなかお洒落な本でしたが、写真と文の内容が合ってなく、少し残念かな
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写真が素敵。写真に合わせてテキストを考えたのでしょうか?こういうテイストの本好きです。好きな人が多いのでは。
更には桜木さんがこういうテイストの物語をつけるということもちょっと意外性があって良かった。素敵な温かい物語を紡ぎながらもピリッとするところや切なくなるところ苦みの効いたところを感じられるのが桜木調というか「らしさ」を感じて嬉しくなりました。
本書の写真家の方と桜木さんの対談?の記事をナニカで読みましたが、写真家の方のコメントが自信が透けすぎてて正直言うとちょっと嫌な感じだなぁと思ったんですが、本書の写真を見ると自信家なのもさもありなんと思わされてしまうセンスを感じました。言うだけのことはあるといいますか、むしろ芸術家というのはそのくらいでないと世に名を馳せられないものかもしれないとも。
元気が欲しい時、手元においてゆっくりまた味わいたい一冊でした。
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本を開くと
細い枯れ枝の向こうに広がる青空
そして”そで”には力強くて優しい言葉。
『だいじょうぶ。
あななたちにはいまを乗り越える力があること、
わたしは知っているの』
「写真絵本」というのがぴったりな一冊。
軟らかい日差し、温もりを感じる写真と
桜木さんのことば。
優しく背中を撫でてくれているようで
そっと背中を押してくれているようで…
こころに残るフレーズを2つ。
今しかできないことー、いいえ。
今したたいことは、なに?
つよく生きる彼女が、思い出と連れそう日々と
上手に手をつなげますように。
いつか「つよく」から「つ」が抜けて、
「よく生きる」になります。
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心に澄みわたる、文章と写真。心が落ち着きます。
(本文より)
今日、楽しかったことはなんですか。
なにかオモシロイことは、ありましたか。
今日食べた、おいしいものを教えてください。
初めて聴いた曲は、ありましたか。
どうか明日も、笑っていてください。
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いつもの桜木紫乃ワールドとは少し違う。
今日起きた楽しかったこと今日見つけた楽しかったことを思い起こし明日をより良く生きていきたい。
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‣ 「なんのためでも、誰のためでもなく、自分のために」
「自分のために?」
「そう、できることもできないことも、ぜんぶ自分で確かめるんだ」
‣ 今しかできないこと——いいえ。
今したいことは、なに?
‣ つよく生きる彼女が、思い出と連れそう日々と
上手に手をつなげますように。
いつか「つよく」から「つ」が抜けて、
「よく生きる」になります。
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「わたしたちには、いまを乗り越える力がある」
この本からのメッセージに、心の奥底ががじんわりと熱を帯びてきました☺️
必死になって突き進むことも、
少し立ち止まることも、
ただただ思いを巡らすことも、
どれもいまを乗り越えるためには大切なことなのもしれません。
自分に自信がなくて、へこたれそうになる日もあるけれど、
私も「彼女たち」の一人として、いまを乗り越えていきたいと思います✨
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3人の女性とミルクコーヒー。人生の苦味とやわらかな甘味が溶け合う。あたたかい。彩りを添えるなんでもない風景写真がじんわりと心に沁み入る。切り取り方の巧さ!写真家さんのことが気になりインスタ見に行くと、とても美しい人でした。
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体力ないときにちょうど良い量と写真
想像していたより文量少なかった
このカフェみたいなほっと一息つける身近な場所の存在価値は本当に高い