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南部鉄器、岩手山、盛岡八幡宮、チャグチャグ馬コ。
読んでいる間、澄んだ空気や風が感じられる、
そんな盛岡で繰り広げられる父と子の物語。
無口な南部鉄器職人の孝雄、72歳。
弟子で息子の悟、38歳。
父親に対するわだかまりを心に抱え
素直に父と話をすることができない。
ただ、古くからの職人、健司は
おしゃべり好きでお人よし。
工房の雰囲気を明るくする。
そんな工房で、孝雄の独断により
問題を起こした少年、春斗を預かることになる。
悟は突然のことに戸惑う。
自分とはまともに口も聞かない父親が
なぜ見ず知らずの少年を預かることにしたのか。
春斗の登場で徐々に変わっていく父と子の関係。
補導委託をすることにした父親の心の内は
父の過去が明らかになる中、あぶり出される。
スナックのママと健司のやり取りが面白い。
ママが言う。
「人なんてさ、どんなに話し合ったって、
100% 分かり合えることなんてないんだよ。
近くにいる人のことは近すぎて見えないこともあるからさ」
「近すぎて見えないって、老眼かよ。
そうそう、話した方が相手のことが分かる」
と、ダジャレを重ねる健司。
もうひとつ、いいなと思ったのは、
悟が春斗の父親に啖呵を切るところ。
「あなたは春斗くんの応援団に過ぎない。
応援することと、味方をすることは違う」
応援団は結果が出ないと怒ることがあるが
味方は寄り添い続ける人だと。
タイトルは、ある高齢会長の言葉に由来するのかな。
「物事には風というものがありましてね。
仕事、人生、時代にいろんな風が吹く。
立ち向かうために必要なものは何だか分かりますか」
回答は、やめておきますね。
とても心温まる物語でした。
でも、柚月ファンとしては、敢えて言いたい。
もう少し読者を信用して
最後の説明は端折ってほしかった。
そして、やはり柚月さんには
エッジの利いたミステリーを書いてほしいな。
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「検事の本懐」「虎狼の血」「盤上の向日葵」「慈雨」「暴虎の牙」など。柚月裕子さん。「風に立つ」、2024.1発行、406頁。読売(夕刊)2022.4.15~2023.4.15連載。「補導委託」がテーマ。
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限りなく不器用な父・孝雄と、その息子にして根は心優しい悟が、最後にわかりあう、、というお約束のエンディングに向かって物語が淡々と進むのだが、とても読みやすく心に響く内容でした。さすがの新聞連載作品、さすがの柚月裕子。
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親子、家族の再生の物語。(ひと言で言ってしまうと)
父親で南部鉄器の職人の孝雄に子どもの頃からほっとかれて愛情をかけてもらわず育ったと反感をもってる息子の悟。
”あんな辛いめにあいたくない”という理由でこの職人になった孝雄にどんな辛い過去があったのか、
それと非行少年を一時的に預かる”補導委託”という制度も初めて知った。
その問題を起こした少年、春斗もどんな悪いことをしたのか興味津々だったけど、錆びた自転車を塾に遅れそうになって乗ってしまったり万引きだったり(親に期待に応えられず)
(犯罪は犯罪だけどね)だった。
孝雄の辛い過去は後半、友人のこととして語られるけどだからって自分が幸せになっちゃいけないなんてことはない。
悟も孝雄の不器用な愛がわかってよかったし、なにより春斗が自分の決めた道(動物にかかわる仕事)に邁進しようと決意し断固反対していた弁護士の父親も折れてくれてめだたしで良かったよ。
チャグチャグ馬子(100頭の馬にあでやかな衣装を着せて滝沢市から盛岡市まで行進するお祭り、付けた鈴がチャグチャグと鳴ることからこの名称になったとのこと)も秋田の”ババヘラアイス”も初めて知った。
一度食べてみたいな。
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犯罪を犯した少年が補導委託される場所が職人の町工房。ん?どこかで読んだような…と思ったら、いとうみくさんの『夜空にひらく』だった。
『夜空にひらく』はあくまでもYA向けで、こちらの方が一般書で大人に向けた小説。
無口で仕事一筋の南部鉄器職人の父とその息子の関係性と万引きを繰り返していた少年が、心を開くまでの物語。
エンディングは読む前からなんとなくわかるんだけど、柚月さんの文章力に引き込まれどんどんと読み進められた。
母娘って、良くも悪くもおしゃべりで仲良かったり、悪かったりなのに、父息子ってお互い無口で何を考えてるのかわからずに、一方通行が多いような。
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岩手を舞台に南部鉄器を作る職人の親子、そこに補導委託で預かる事になった少年。彼らと職人達の話で展開する、再生の物語。少年の親を除き、登場人物が皆んな善人。過去に苦労し、脛に傷持つ人々が次世代を応援したいと言う思いが少年だけでなく職人の息子にも奇跡を及ぼす。宮沢賢治のグスコーブドリが下敷きの物語らしい。
柚木氏らしく読ませてくれたが、ミステリーを期待してたので⭐︎3で。
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柚月裕子の新境地的な作品でしたが、ある軽犯罪を犯した少年を一時的に預かることになった職人一家を中心とした話ですが、一緒に生活する中で、少年も変化して逞しくなっていく様やぎくしゃくしていた職人一家の親子関係も、少年の更生に合わせるように雪解けしていく様が素晴らしく良かったです!最後の展開には、思わず涙が出ました!
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初めて知った「補導委託」という制度。問題を起こした少年の引き受け先となった盛岡の南部鉄器の工房を舞台に、職人気質の父へのわだかまりを抱えた息子の心の変化を絡めながら、少年の更生の道のりが描かれる。
子供に苦労をさせたくないという親心と、親の期待に応えられず息苦しさを覚える子供の心。どちらの思いもわかるだけに一概にどちらが悪いとも言い切れないのが難しいところ。
全ては「何が幸せか」に行き着くんだけど、幸せの形も人によって違うから難しい。
テーマはいいんだけど、悟の父親に対する拗ね具合があまりにも子供っぽくて辟易だし、春斗の父があまりにも簡単に懐柔されたのが小説だな〜っていう印象。
元々春斗は非行少年というほどのワルではなかったから、本当にタチの悪い子を委託された時はこんなに上手くはいかないだろうなとも。
健司と八重樫の口喧嘩も鬱陶しかった。
柚月裕子作品としてはまあまあかな。
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登場人物の心の動きが少し不可解なところがありました。達也の掌返しも不自然。予定調和という感じです。新聞連載小説と聞き、さもありなんと。
でも最後まで一気に読ませる筆力はすごいと思いました。
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目に見えるものが、全てではないですよね
でも、言葉に、しないと伝わらないのも、事実で…
今の世の中、相手の顔色を探りながら会話しないといけないし、言葉にしたからといって、良い訳でもなく、難しいです
ただ、家族は、探りあうのじゃなくて、楽しいこと、辛いこと、共有しあうのが、いいのかな〜と思います
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補導委託先という制度(犯した少年を更生させるために一般事業で少年を預かる)をこの小説を通じて知れた。エピソード内の東北の南部鉄器職人の経営判断も面白かった。登場人物のキャラクター設定がきちんとしていてリアル感たっぷりで楽しめた。重い内容だが楽しく向き合えました。
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家族の関係性について、とてもリアルな物語で引き込まれた。
終盤は考えさせられる場面も多く、本を閉じて自分の家族のことを考える良い時間がとれた。
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最初は分かり合えなかった孝雄と悟、そして春斗と達也次第に打ち解けていく…孝雄の過去が明らかになり本当の想いがわかった時、感動がグッと込み上げてきた
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大好きな柚月裕子さんの新作なので期待して読んだが、今回はちょっと期待はずれ。一番入り込めなかったのは、悟の言動。こんなもどかしい人いる!?と思わずにいられなかった。
非行少年を預かることになった(そもそも、非行とも思えない)南部鉄器工房を営む孝雄と悟の親子。今まで父から愛情を受けたことがないと思っていた悟は、他の子の面倒を見ると言い出した孝雄に納得がいかない。
孝雄が預かることになった春斗が人として成長していく姿や、孝雄と悟の歪みが変化していく様子が描かれていく。
個人的には孝雄が語った耕太の話が良かった。不器用だけど、しっかりと愛情を持っている孝雄はカッコいいと思うが、やはり自分の気持ちを伝えることは大切だなと思った。
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久々の柚月裕子さん
いつも読み応えのある作品を
しっかり書かれている印象
なのでこちらも腰を据えて読まなきゃ!
…と思っているとなかなか手が伸びず
ご無沙汰でした。
でも久々に読むととてもよかったー!
補導委託を受け入れる、ある家族の物語。
補導委託というのは
問題を起こした少年を、
更生を目的として一定期間預かる制度のこと
少年を預かることで、
元々あった家族間のすれ違いも
少しずつ変化が見られていきます
家族それぞれの想いが
丁寧に描かれていて
後半は知らぬ間に泣いておりました。
すごい大きな事件があるわけじゃないけど
人と人とがきちんと向き合うことで生まれる
心の動きがよく描かれていました。
この本を読むと
『幸せ』とはなにかと
考えさせられます
自分の過去の経験から
子どもには同じ経験をさせたくないと思う孝雄と達也の気持ちもよくわかります
でも子どもには伝わってなくて、、
もっと関心を持って欲しいと思う悟と
好きなことをさせて欲しいと思う春斗くん
二人の気持ちもよーくわかる。。
子どものことを思う親の気持ちは間違ってないのに、すれ違ってしまう。
それはまさに
『なにが幸いで、なにが不幸と思うかは、
人それぞれだ。』からでしょう。
親の思いも、子の思いも
きちんとわかりあうために必要なのは
話し合いでした
バーのママが言っていた
『思ったことはできる限り言葉にしないといけない。
気持ちなんて、それでやっと自分が言いたいことの数パーセントが伝わる程度なんだから。
しかも、それが近くにいる人だったらなおさら
近すぎて見えないこともあるからさ』
ということでしょう。
とても納得してしまいました。
また
『あなたは春斗くんの敵ではないけれど、
味方じゃない』
『俺から言わせれば、
あなたは春斗くんの応援者にすぎない』
という言葉はとても考えさせられました。
私は子どもの応援者になってないだろうか、、
子どもの気持ちも、
未来の可能性も考えて、
味方でいる。。。
子育てって難しいです。。
うーがんばろm(._.)m
盛岡は行ったことがないですが
行ってみたくなりました(*´-`)