電子書籍
味わい深く切ないエピソード
2018/10/03 23:53
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『御手洗潔と進々堂珈琲』は御手洗シリーズ第27作目の『進々堂世界一周 追憶のカシュガル』を改題したもので、「進々堂ブレンド1974」、「シェフィールドの奇跡」、「戻り橋と悲願花」、「追憶のカシュガル」の4編が収録されている短編集です。語り手は兄弟を目指す予備校生のサトル。京大傍の珈琲店「進々堂」に通い、世界一周の旅を終えた若き御手洗との思い出を語ります。「進々堂ブレンド1974」ではサトル自身の甘酸っぱい失恋譚が語られ、それに対する御手洗のコメントにサトルが救われる、というような内容です。その他3篇はすべて御手洗の体験が語られます。「シェフィールドの奇跡」では障害者に対する社会の在り方を問い、学習障害を抱えた男の子が重量挙げの選手になるエピソード、「戻り橋と悲願花」では第二次世界大戦で日本軍に徴用された朝鮮人たちの悲哀と【風船爆弾】にまつわるエピソード、「追憶のカシュガル」ではシルクロードの街カシュガルで御手洗が出会ったパン売りの少年と路上生活をする老人のエピソード。老人が語るのは第一次世界大戦後のカシュガルが世界中のスパイで溢れていた頃の、舞姫への恋心と仲良くなった日本人アキヤマへの嫉妬と、その悲しい結末。どれもミステリー色が一切ない追想ですが、味わい深く切ないエピソードです。
紙の本
ミステリ小説ではありません
2015/09/29 19:01
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投稿者:いちごジャム - この投稿者のレビュー一覧を見る
お馴染みの御手洗シリーズだと思い購入して読んだのですが、中身はミステリ小説ではありませんでした。
若いころ、京都で学生生活を送っていた御手洗がいつも通っているカフェで知り合ったサトル青年に、自分が世界中を放浪して見聞きした体験談を語った短編小説集です。
物語の最後に何かオチがあるのでは?と期待しつつ読んだら、そのまんまだった、、、と言う結末にちょっとがっかりしました。
御手洗が出てくるだけでいい、と言うファンの方なら読む価値があると思いますが、何か謎解きが絡んだ物語が読みたい、と言う方にはお勧めしません。
電子書籍
島田先生の作品大好きなのですが、、、
2018/11/26 11:14
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投稿者:monica - この投稿者のレビュー一覧を見る
眠くなりすぎて、全部読めませんでした。ミステリーの要素は全くなく、過去の旅行で出会った思い出話を淡々と聞かせるだけです。史実に基づいて書かれているのかも確かでなく、あとがきも確かなかったので、どの様な目的で書かれたのかよくわかりません。
紙の本
さようなら御手洗潔
2015/06/01 23:25
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投稿者:くりんぐりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずいぶん前のことになりますが、好きでした。御手洗君と石岡君のシリーズが。
昔はずいぶん年上だった二人が、どうやら同年代になってしまい、時の流れを感じてしまいます。
アトポス以来、久々に読みました。
そして、後悔しました。思い出は思い出にしておけばよかったと。
御手洗潔って、ものすごく左の人だったと初めて知りました(過去の作品でもそういう描写があったのかもしれませんが、気づきませんでした)。
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御手洗の語る旅先の思い出はどうにも素直に信じられなくて。でも、「追憶のカシュガル」だけは別だった。
人間の欲望の涯にある究極のものは、宗教と戦争ではないだろうか。
この物語だけは、息を止め思考をやめて、一気に読み通した。アキヤマへの追慕、老人への憐憫と敬意、アジアが背負った歴史への悲痛な嘆きと怒り。そんな純粋なものだけに満たされた濃密な時間だった。
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御手洗潔の口を通して語られる色々な「差別」の話。
サヨク臭を包んで
最後は必ず、ちょっとイイ話風にしている。
御手洗潔が見て聞いた話として書かれているが正直、不快である
知的障害(IQ50)で差別されるが見直され上手くいく話
戦時の皇民化教育を受けた朝鮮人が騙される形でで日本に来て
日本人に暴行される日本を恨んでいたが、日系人もアメリカで差別されてたから「少し考えが変わりました」とかいう話
ムスリム社会の老人なのに、なぜか疎まれている話
御手洗は何処でも優しい人ですが、こんな思想を語らせるために
書いて欲しくなった
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何となく、色々と考えさせられる一冊でした。
差別だったり戦争だったり。。。
時間が経ったらもう一度読み返そうと思います。
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京都を舞台におこる日常の謎的なものを御手洗潔が安楽椅子探偵ばりに進々堂で推理する話かと思って購入したのでちょっと期待外れでした。何で若い頃の方が性格が丸いの御手洗。カレーパンセットは食べないの御手洗。タイトルで珈琲とあるのにミルクティ飲んでるのはなぜなの御手洗。
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進々堂ブレンド1974
シェルフィールドの奇跡
戻り橋と悲願花
追憶のカシュガル
の4篇。すべて「ぼく」に御手洗さんが語る形式。
ふたりが眼にしたくさぐさが御手洗に海外放浪の日々、出逢った人々を思い出させる。
もはやミステリでも何でもないが、御手洗の正義(弱者への「公平な」視点)(初期の奇矯さとは離れて)にぐっとくる。
これは作者の筆力。
そういう意味では「SIVAD SALIM」に近いのかも。
「数字錠」も思い出したりして。
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若き御手洗の物語。ミステリではないが、あの口調とテンポは居心地の良さを感じる。もっともこんな学生が近くにいたらどう感じただろう。
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『進々堂ブレンド1974』喉スプレーから想起される浪人生の初恋
『シェフィールドの奇跡』イギリスの知的障害差別を克服しようとした重量あげ金メダリスト
『戻り橋と悲願花』大戦下の日本で虐げられた朝鮮人姉弟の過酷な労働生活。希望と絶望、悲しみと恨みが鮮烈。物語をまとめる彼岸花の存在感もよい。
『追憶のカシュガル』侵略の時代を経たムスリムの街でパンを売る少年、路上に寝起きする老人の過去。浪人生が語る御手洗の昔語り、に登場する人々の告白、とマトリョーシカのような語りの連鎖。
総合的にみて差別や迫害の存在がテーマになっているかんじで物悲しい。探偵ではない御手洗を語り部に据えて、より自由に物語をしているような作品。
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京都の喫茶店「進々堂」で若き御手洗潔が語る物語(ミステリー)。
進々堂。京都大学の裏に佇む老舗珈琲店に、世界一周の旅を終えた若き御手洗潔は、日々顔を出していた。彼の話を聞くため、予備校生のサトルは足繁く店に通う――。西域と京都を結ぶ幻の桜。戦禍の空に消えた殺意。チンザノ・コークハイに秘められた記憶。名探偵となる前夜、京大生時代の御手洗が語る悲哀と郷愁に満ちた四篇の物語。『進々堂世界一周 追憶のカシュガル』改題。
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御手洗潔のシリーズ。若かりし頃の御手洗が京大そばの進々堂で世界放浪の際の思い出を語るという形。ミステリでもなく旅行記のような形式。歴史の出来事と、民族/国家の悲哀とを絡めて描いた作品。なかなか印象深く自分には面白かった。
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”御手洗潔と進々堂珈琲”島田荘司著 新潮文庫nex(2015/01発売)
(イラスト:toi8 2011/04発売 新潮社”進々堂世界一周 追憶のカシュガル”改題)
・・・進々堂。京都大学の裏に佇む老舗珈琲店に、世界一周の旅を終えた若き御手洗潔は、日々顔を出していた。彼の話を聞くため、予備校生のサトルは足繁く店に通う――。西域と京都を結ぶ幻の桜。戦禍の空に消えた殺意。チンザノ・コークハイに秘められた記憶。名探偵となる前夜、京大生時代の御手洗が語る悲哀と郷愁に満ちた四篇の物語。(公式サイトより)
・・・どの話もそれなりには読めましたが、”若き日の名探偵”で一冊丸々使っておいて、ミステリなしという構成ががびっくり(笑)
進々堂ブレンド1974・・・語り手のサトル君の思い出。
シェフィールドの奇跡・・・学習障害の重量挙げ選手の話。
戻り橋と悲願花・・・韓国人徴用工の話。
追憶のカシュガル・・・西域の老人が語る思い出。
あー、三話目と四話目で”御手洗(作者)ってそんな話を信じてるの?”というエピソードがあったのでマイナスに感じるところも多かったです。
御手洗(作者)の格が落ちたように感じるので熱心なファンの方は読まない方が良いかと。
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若かりし頃の御手洗潔の短編。世界を旅した御手洗の思い出を予備校生サトル目線で描かれている。追憶のカシュガルがやはり一番印象深く心に響いた。