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『物語 ストラスブールの歴史』(内田日出海、2009年、中公新書)
フランス北東部に位置するアルザス地域のストラスブール。現在では、EUの欧州議会がおかれておりEUの政治都市となっているこの街の歴史はどのようなものであったのか。それはフランスとドイツの領有争いの歴史でもあった。
本書は中世から現代までのストラスブールの歴史を詳細に記述している。
(2009年11月26日)
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ストラスブール。
名前は聞いたことがあっても、どこかよくわからない方が
多いと思う。
フランスの端っこ、ドイツとの国境にある辺境の小都市だが、
欧州全体から見ると中央部に位置し、
EU議会の議場があり、本書の副題にあるように
「ヨーロッパの中核」と言える、ユニークな都市である。
ドーテの「最後の授業」の舞台となった、
アルザス・ロレーヌ地方の都市、というと
2大国の間で揺れ動いたストラスブールの歴史のイメージが
湧く人もいるだろう。
本書はそのストラスブールの、中世における都市形成から
現代までの歴史を地域経済や2大国の政治状況・文化的対立等を
中心に記している。
で、新書の割には結構内容が詳細で、学術的側面が強い。
都市の歴史の概略を知るにはちょっとマニアックな感じ。
よくも悪くも学者の書いた本。
あと、「国家の辺境、ヨーロッパの中核」って副題は
言いえて妙であり、いい副題だと思う。
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[ 内容 ]
世界遺産にも指定された旧市街をもつストラスブールは、ケルト人の集落に端を発し、ローマ→ゲルマーニア→フランク王国と西ヨーロッパの典型的な文明を経験した。
その後、ドイツ、フランスによる争奪が繰り返されるなか、ルネサンス、市民革命、ナショナリズム、世界大戦など、ヨーロッパ史を象徴する出来事をすべて体現する。
寛容と自由、排他主義と戦火―もっとも壮麗にヨーロッパ史を生きた都市の歴史を鮮やかに描く。
[ 目次 ]
第1話 都市の起こり―ケルト人のまちから「シュトラースブルク」へ
第2話 ドイツ的自由のなかの都市共和国―司教都市から神聖ローマ帝国自由都市へ(九八二~一六八一年)
第3話 フランス的趣味、ドイツ的流儀―フランス王国自由都市の時代(一六八一~一七八九年)
第4話 フランス国家のふところ―「マリアンヌ」とナポレオンの時代(一七八九~一八七一年)
第5話 ドイツ「占領」と自治(喪失と再生)―「ライヒスラント」首都の時代(一八七一~一九一八年)
第6話 揺れ動く魂―再フランス化と再々ドイツ化(一九一八~四五年)
第7話 ドイツからの解放、ヨーロッパへの開放―再々フランス化の時代(一九四五年~)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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新書にしては珍しくページ数が多め。
それと物語の割には覚える項目が多いので
難易度は高めとなっています。
ドイツとフランス、イタリアと目まぐるしく支配された都市。
そしてそのたびに順応していかねばならなかった苦労。
もちろんそれはあの2つの大戦の時も例にもれませんでした。
この本中にはユダヤ人が出てきます。
ナチスが台頭する以前からやはりその職種ゆえに
差別を受けていたようで都市のメインエリアに住むことは
許されなく、滞在にも時間制限が設けられていたそうな。
そしてWW2でも悲惨な状況となります。
ある学術職に就いていた人もその一人で
そういったたぐいのユダヤ人でないのにかかわらず
戦況不利になったドイツ軍に銃殺されてしまいました。
その詩が切ないんだよね…
帰ってくることができなかったから…
ただし、今はEUの議会がおかれている
主要な都市ともなっています。
(2つのうちの1つ)
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図書館で借り読んだ本。
ストラスブール、シュトラスブルク。
フランス的、ドイツ的、
ケルト的、ゲルマニア的。
町のルーツとは、アイデンティとは。
アルザス、エルザス。
中央集権的、地方自治的。
ライン川を中心に発展し、地理的に東西南北をつなぐ地域。
現在は、EUの中心地のひとつ。
新書でこのボリュームはすごい。