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はじめの一文が群像めいていて、挫折する人があるならばきっとそこだろうとは思います。一文一文を線香花火のようにいつ終わるかもわからない細い調子でもってずるずる引っ張ることで、『ですますである、だ、過去形の〜た』のように文末が非常に単調になりがちとなる現代口語の致命的な弱点を見事に克服している細雪の文体は、僕にとり驚異であり、およそこれ以上はないと思わせる無二の作家はこの谷崎潤一郎をおいて他に考えられません。
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たとえば男一人、女三人でドライブに行くと想定しましょう。運転するのはもちろん男です。助手席はこいさん、後ろに幸子と雪子を乗せましょう。さあ出発。芦屋をでて、とりあえず西へ西へと走らせよう。女たちは始終おしゃべりです。中巻に、庭から蜂が飛んできてみなできゃッきゃするシーンがあります。ああいう感じで、うわさ話をし、ぐちをこぼし、人物批評をしたり、世相を語ったりします。男は、黙々。ときにつられて笑い、ときに聞かなかったことにしたり、基本は聞き流して、ハンドルに集中。。
こういう読書をさせてもらうことは、なかなかありません。その意味でも貴重な作品だと思います。また、四姉妹の物語として味わうのもいいですが、私は幸子と貞之助の、ある夫婦の物語として読んでしまいます。私は女ではないので、女たちの会話の中心にズカズカと入っていくわけにはいきません。貞之助が物語の説明をしはじめると、妙な安心をおぼえます。
上巻なのに中巻の例をだすのはおかしいですが、都合がいいので先ほどの蜂のはなしといきましょう。
「あ、来たで来たで」
わあッ、わあッっと云う声を挙げて、…
「何やねん、お母ちゃん」
五人は蜂と鬼ごっこでもしているように、…
「何やねん、あの騒ぎは」
「お春どん、何やねん」
「蜂に追いかけられてはるねん」
「何と云う派手な…」
五人が一とかたまりになって駆け足の練習でも
しているように握り拳を両脇に附けながら走って~
さて、蒔岡三姉妹のドライバーに任命されたその男、はなしをふられるとどうももじもじしてしまう性質なのか、ついつい、「何やねん…」といってしまいます。そのくせ、このドライブをもっとも楽しんでいるのでありました。。
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谷崎って女?女なの?
なんでこんなに女のことわかってんの?姉妹とか女ばっかの家族の雰囲気とか!
上・中・下とあって長いから読むのめんどくさいなーと思いながら読み始めたんだけど、谷崎大先生の女描写に驚愕しながら、あっという間に読んだ気がする。
さっすが文豪はちげぇや!ってかんじ。
蛍狩りでの雑魚寝のエピソードがあったのですが、ほんと風流で美しくって、ちょっと汗ばみながら、ウウンやぁね、誰の腕よ・・ンもう!てなったりするのがね…イイよねー。ウン。
タイトルは細雪だけど細雪が降るようなシーンはありません。
でも細雪って雪がつく言葉の中で一番きれいな音だよね。
それから加山又造の絵の装丁も、すっごくイイ!
谷崎大先生はなんか美についてエッセイを出されていて、それを読んだ人たちはたいてい日本の美ってスバラシイ!私たちこんなすばらしい日本の美を忘れません!みたいな感想をもつんだけど、それはこっちよんで感じろや!!!
あと、本読む前に日常で思うだろ!
って、エッセイをよんだ人のレビュー読んだとき歯がゆく思った。
エッセイの300倍美しいっつーの!!!
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大阪の四姉妹の物語。
最近の小説は下手に伏線ばかりで、このような純粋な物語性に若干最初はなれなかったが、次第にどんどん引き込まれた。当時の様子や美徳がわかり面白い。
Nov 2010
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おもしろかったのですね~、これが。
「細雪」というのは国語の授業で名前だけは知っていました。
だけど昔の文学ってやつだし、読みづらくてきっとおもしろくないだろうと思って、今まで手に取ったこともありませんでした。
だけどいざ、手にとって読んでみると……。
おもしろい。
鶴子、幸子、雪子、妙子の4姉妹の話で、主に幸子と貞之助夫婦が、妹たちのことを心配したり世話をやいたり、という話なんだけどおもしろかったです。
なんか自分というものがないような雪子にイライラしたり、妙子はさすが末っ子だなぁと思ったり。
結婚するにも家柄が…とか家長の許しがないと…とか、昔の結婚は大変だ。
しかし谷崎潤一郎という人、この名前と「細雪」というタイトルの印象からもっと繊細っぽい人を想像してしまってましたが、写真は全然違いますね。
どうしても似た名前の谷川俊太郎さんを想像してしまうからか。
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キンランドンスな大阪弁と、育ちの良いお嬢さんたちの、まったりだらだらモードが不思議と心地よい。しかし最後下痢ってのがなあ・・・。
幸子=わたし 雪子=しず 妙子=カト
(2005.1読了)
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昔の時代の4人姉妹のお話。お見合いやら家柄などと今よりもだいぶ面倒だったのだなぁと感じましたが、昔の言葉遣いがとても心地よく(難しい言葉もありましたが)、自分の知らない時代を端っこだけでも知れた気になりました。時間がまったりと流れていくのがとても心地よかったです桜をみんなで見に行くシーンが好きです。
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大阪の言葉で優しく生き生きとした世界が広がっている。着物や関西の地域名がたくさん出てくるのでとても楽しく読めた。季節の移り変わりや心情を細やかに表現されている。何度もゆっくり読み直したい本。
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日本の小説の中で優れた大長編(そこそこ量がある)、と言われて私が思い浮かぶのがこれ。なんとなく谷崎を敬遠していた時期もあったのだが、これ読んでみてすごい、と思い、他のものもどんどん読んでいった。
小説10冊選んでくれ、と言われたらこれ入れます。
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大阪の旧家の四姉妹が繰り広げる、四季折々の物語絵巻。
この作品を読んだころ、私は「名作って、読まなきゃいけないのかなぁ」なんて考えていた。
というのは、高校の図書室の先生と仲良くなって、彼女に名作をもっと読むことを薦められていたからだ。
そこで漱石とか三島とか、ちょびっと読んでみたのだが、どうにものめり込めない。
怠け者の私は、「ああ、やっぱり私には早いんだ」と単純に考えて、名作からしばらく離れていた。
ところが、ちょっとした偶然から(?)私の敬愛する作家である恩田陸氏が「自分の中で面白い小説」とかいう本を3冊紹介しているのを読んで、その中にこの『細雪』が挙げられていた。
そんなわけで、名作素人の私はいきなり、上中下巻の大作の『細雪』を手に取ったわけである。
この本は私が今まで抱いていた「名作」のイメージとは、全く違う本だった。
まず、会話が全部関西弁というところからして驚きのはずなのだが、名作初心者の私はそんなことには全く気づかず、一文がとにかく長いことにびっくりした。
それまではなんとなく、名文と言うのは贅肉のない簡潔でストイックな文章のことだと思い込んでいたのだ。しかし、この本ではゆらゆらとしかし不思議にたおやかな文章が、取り留めなく語られている。それが不思議と心地よく、姉妹の会話がそのまま耳に聞こえてきそうで、面白かった。
また、人間の機微や心理描写など、じれったくなることを細々と書かない乾いた語り口にひかれた。私は基本的に、アンニュイな湿っぽい雰囲気が苦手なのである。
というわけで、この本は初めて「名作も面白いんだ」と思うことが出来た、私にとっての記念の本なのだ。
名作だからのめりこめなかった、というのではなく、新刊でも自分に合う合わないがあるのと同じように、名作にも相性があるだけなんだ、とこの本が気づかせてくれたのである。
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昔の小説ですが、とても読みやすいと思います。まだ中下は読んでいませんがスラスラ読めるので、かなり厚いけれど楽しみです。
四姉妹が性格がよいのがいいのかもしれません。読んでいて、読み終わって気持ちいい小説です。
個人的には雪子がかわいくてお気に入りです。
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◆物語の世界に誘われて◆
まず著者の文章の美しさに魅かれる作品です。主人公の4姉妹が蘆屋の上流階級という設定によるところも大きいでしょうが、ゆったりとした関西弁のやりとりの中に、自然と惹きこまれていきます。
映像化されたことも多い作品ですが、花見の場面など、是非自分でその世界を創造してみてください。
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谷崎潤一郎の小説はまずハズレないね。鶴子、幸子、雪子、妙子、美しき四姉妹の家族ドラマ。関西を舞台に古き良き日本の情景に思いを馳せる文学作品。登場人物がみんないい!美しい!早く続きが読みたい。
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水村美苗つながりで再読。最初に読んだのはもう20年以上前のことなので細かい内容は忘れているけれど、阪神間の有閑マダムみたいな話で、大好きだった記憶が。再読してもやっぱりすごくおもしろくて、なんてことはない家族や結婚の話が、なんだかジェーン・オースティンみたいだなーと思ったり。いかにも名作とか古典って感じではなく、大衆小説っぽい。そして文章がすごくするすると読みやすくて気持いいくらい。やっぱり大好き。ほかの谷崎の有名作品ってあんまり読む気がしないんだけど。
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谷崎潤一郎という文豪が、「細雪」という文豪の代表作が、とか色々言われているが、小難しとか難解ということは全くなく、素直にオモシロい!たしかに「上」「中」「下」と長いが谷崎の美文ですらすら読める。
最初にとっとと四姉妹の名前さえ覚えてしまえばこちらのものだ!読める!
あ、唯一、いかにもなお嬢様感(特に「雪子」の)が少しだけ鼻につくかも。それはそれでオモシロいけど。