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たった10ページの短編小説
2001/01/22 13:55
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:remi - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷崎潤一郎の初期の短編を集めた本です。本書には、表題作の「刺青(しせい)」、「秘密」など7作品が収められています。
「刺青」は、たった10ページの小説ですが、「谷崎らしさ」をよく感じられる小説です。
清吉という刺青師は、腕利きとして知られており、多くの人間に刺青を施してきた。そんな彼の夢は、自分の理想とする女に刺青をすること。しかし、なかなかそんな女には出遭うことはできない。ところが、ある日、理想の女が偶然清吉のもとを訪ねてくる。「刺青」はそんなストーリーです。
ちなみに本書は、「新潮文庫20世紀の100冊」に選ばれています。
入門編
2016/07/17 00:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷崎潤一郎の初期作品が収録された短編集。
収録されている作品の中でも、「刺青」・「少年」・「秘密」の3作は、「春琴抄」の土台とも言える耽美的で倒錯した世界観の萌芽を感じさせます。他の作品は谷崎作品の独自性がやや薄いかなと感じました。
上記3作を気に入ったらぜひ「春琴抄」を読んでください。より濃密な読書体験ができると思います。
ややマニアックでついて行けない部分もあります
2016/02/18 13:52
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投稿者:crest - この投稿者のレビュー一覧を見る
刺青の方は彫師清吉が偶然刺青を施すに完璧な足を持つ女に出会いその女を説得し自分の魂を込めた刺青を彫るという、いわば画家が最高のキャンバスを見つけ一心に描き上げるといったようなものでしょうか。絵画でなく刺青であることで何かしらマゾヒスティックなモノが感じられる作品です。秘密の方はひょうんなことから女装、そしてかつて関係を持った女との再会、密会を重ねるも相手の素性を知りたくなりついに暴いてしまうことで関係が終わってしまうというかぐや姫を彷彿とさせるストーリーです。男女の中に秘密はスパイス、暴いてはいけませんよね。
美の極致
2002/04/16 21:23
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投稿者:ゴンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
自然主義流行の当時、谷崎の小説は軽視されていた。SMやレズビアン、更には盲目の少女と奴隷青年、と。結局のところ、当初は変態扱いされていたのである。
ところが時代が一気に「売れ筋」を求めたとたん、谷崎は瞬く間に文壇の中心へと躍り出たのである。
『刺青』。この作品は谷崎の処女作である。題名からして痛々しさを想像させられるが、しかしその肉体的恐怖がいつの間にか耽美なものへと変わっていく点に、読者は圧倒的なまでのカタルシスに遭遇するだろう。
谷崎の多くの作品は、当時では志賀直哉、あるいは最近では町田康がそうであったように実験小説である。結局、伝統を学び、そして伝統を「壊した」者こそが最後には勝つのだろうか。
耽美にして妖艶
2001/03/02 13:33
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投稿者:7777777 - この投稿者のレビュー一覧を見る
谷崎潤一郎の初期の作品を集めた作品集。
「刺青」という作品は彼の一番最初に書いた作品である(発表されたのは二番目だが)。そして、彼が第一作にして独自の妖艶で耽美な世界を構築していることは驚きである。
特に「刺青」は単行本10ページと短いながらも、主題や文体ともに異様な世界を作り出している。