ほぼ起こっていること
2024/08/09 17:12
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実世界とリンクするような社会派ミステリー。初めての著者さんだったが徐々に文体にも慣れてきて、とても面白かった!
本作は8050問題を中心に社会問題がさまざま扱われており、うーむと唸りつつ読んだ。フィクションだけれど、隣で起きていてもおかしくないストーリー。というかもうほぼ起きているな、各所で。
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
微妙だったかなぁ
1人の人間の人生をたどっているだけで、
物語性は特になかったかも。
ただ誰かの人生を見させられた。みたいな感じ。
ルポ物的な、、
物語性あるものを求めてたからちょっと違ったなぁ
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ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリー。
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葉真中顕さん初読みにして最高傑作に感じた作品でした。いまだかつてない心理描写ミステリーだと感じました。読み始めてなんともない展開がだんだんと心躍らせるストーリーになってきました。引きこもり、ホームレス、つながりなどあった驚く展開にびっくりです。刑事奥貫綾乃の経歴がいまだかつてないダークなイメージで出てくることが一風変わっていました。始まりのプロローグの言葉とラストの言葉がつながっていくことへの発見、そして最後の「一九七四年六月十三日のことだった」の意味を考えて読み終わりました。あなたもぜひぜひこの最高傑作を堪能して下さい。
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葉真中さんの作品はいつも私の心をヒリヒリさせる。福祉職のため「ひきこもりの息子が」という相談を本当によく受ける。親御さんの気持ちを思うとつらいが、息子さんも辛いであろう。それを誰にも言えない。言いたくない。心の中の叫びが聴こえた。
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随分久し振りと思っていたら、2年ぶりの新刊。
今作は、「引きこもり」がテーマ、
オタク、親子、年金、様々なキーワードが絡まり、
切なくてやるせない、どこかで救われないかと期待するが・・・ずっと救われず沈んだまま。
重く苦しくて、読み切るのにチョット手こずってしまいました。
そこが葉間中顕さんらしく、納得の作品なのでした。ちなみに、最後は少しホッとします。
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男性の手記パートと女性刑事の現在パートが交互に語られる。
男性パートはそれぞれの時代を自分と照らし合わせながら読み、現在捜査中の女性パートは、6月下旬から七夕までと読んでいる時期がぴたりと一致したため、同じ空気感(というかほぼ蒸し暑さ)を感じながら読んだ。
男性は就職氷河期世代であり、厳しい就職活動を経てブラック企業に入り、身動きが取れなくなりひきこもりに至るまでの過程があまりにもリアルで痛々しい。時代が違えば別の人生があったのではと、思わずにはいられない。
しかし、主人公の女性刑事と男性が対峙するクライマックスは、「絶叫」でも感じた、“生きる“ことへ圧倒的な熱量が伝わり、まさに自分の鼓動も速くなっていった。
葉真中顕さん、また胸にずしんとくるすごい作品だった。
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ホームレス老婆が殺されて遺体が焼かれる
犯人は現行逮捕
48才の引き篭もり男
自宅では父親が殺されていた
刺した後が10箇所以上の惨殺
同年代の女刑事、バツイチ、子供虐待しかけた
犯人の動機、殺された老婆は誰
男は高校時代はオタク
三流大卒、就職氷河期。圧迫面接で就職したブラック企業を3年。バイト先でミス。そこから引き篭もり。母が癌で死ぬ。父も死期がせまる。自分を殺しにきた。逆に殺してしまう。もう一人殺さないと死刑にならない。ホームレス老婆を殺そうと公園へ。知らない女が老婆の首をしめていた
老婆は溺愛していた長女が引き篭もりになる
研修詐欺にかかる。グルになっている闇金に手を出す。年金を奪われる。パート先を解雇され
ホームレス。ネットカフェを利用。次女が偶然見つけた。次女は母に全く相手にされてなかった
早くに家を出ていた。名乗ったが忘れられていた
殺してしまう。
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ホームレスが燃やされる事件が起き、ある男が容疑者として逮捕される。男は引きこもりで、同居の父親も殺したと供述する。
◇◇◇
これは意外な結末だった。知らず知らずの内に「引きこもり」にレッテルを貼りつけていた。人を殺すような人間には思えなくて違和感があったのも、「引きこもり」ならやりかねない、社会への逆襲のつもりだったのだろうと思い込んでしまっていた。
草鹿は元々真面目な性格だったのだろう。社会で頑張ろうとしていたし、置かれた環境がここまで酷くなければ、引きこもりにならずに生きていたかもしれない。
終盤、草鹿の真相が分かるにつれ、彼の状況が憐れで仕方なくなる。親に殺されそうになることの絶望感は計り知れない。
ホームレス事件については、言葉もない。私は家族というものに少々幻想を抱いてる節があって、家族同士で忌み嫌うという話がどうにも理解できないというか理解したくない。
でも決して犯人を糾弾する気はない。家族から自分の存在を認められなくなったら、誰が自分のことを覚えていてくれるのだろう。
最後、奥貫刑事の草鹿の気持ちを分かろうとする姿勢に胸が熱くなった。
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面白かった。長年引きこもりの生活をしてきた男と自分の娘を愛しきれなかった刑事の心情が事件の流れにそって交互に語られていく設定が読みやすく引き込まれてしまい一気に読んでしまいました。
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中学時代のいじめ、就職氷河期に入社したのは超ブラック企業。
容疑者が、どのような経緯で自宅に引きこもり、犯罪を犯すまでに至ったかに引き込まれた。
8050問題、どうすれば解決できるんだろう。答えがわからないしやるせない。
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テーマ自体は8050問題、引きこもり等アップデートしたものであるだけに、読んでいて辛い気持ちになる。
気分が落ち込むようなテーマであり、次は気持ちが晴れ晴れでとする明るい作品を読んでみたい。
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2024/03/23リクエスト 10
表紙が
天童荒太 永遠の仔
を思い出させる。
『絶叫』『Blue』の刑事・奥貫綾乃がホームレス殺害事件を追う。
そのホームレス殺害、実の父親殺害の容疑者、草鹿は18年引きこもり。父親殺害の動機が
「自分の余命幾ばくもない、これ以上面倒を見れないから殺されてほしい、すぐ追うから」と言われたこと。
そしてホームレスの南市子を殺害した薬師寺葵。二人姉妹で姉だけを溺愛され、妹である自分は無き者にされていた、そして
「あんた誰」と言われ、それで殺害した。
かけがえのない自分の子ども、それなのにこんな感情になってしまうことは双方不幸。
団塊世代、団塊ジュニアでなくても誰でも谷間に落ちてしまうことはあるだろう。
時代のせいだったり、置かれた環境だったり、体調だったり、必死で生きようとしていても手を差し伸べられることがない。
読みながら、気持ちの置き場が無くなり、何度も中断した。
私が草鹿でも、葵でもおかしくない。
いつそうなるか、わからない。
読み終えても、思考が追いつかない。
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犯人と同世代として、全編に亘るあの時代の悪いところを煮詰めたような記述は実に苦しく読み進めるのは辛かった。タイミングや小さな選択ミスによって、誰もが、犯人を含めたこの物語の誰かになる可能性があるような気がした。
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現実に起こった出来事及び社会問題を背景とした物語。現在35歳以上の方は、出てくる内容がしっくりくるのでは、と思いました。
個人的には無敵の人、善意を装ったビジネスの描かれ方に特に惹かれました。