ゾクリよりもクスリ
2024/10/02 08:34
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
幽霊が身近にいる藤本タツキのチェーンソーマン的な世界観でしょうか。リシェが提唱したエクトプラズムのようなファンタジーの味わいも。
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『いろいろな幽霊』
奇妙なゴースト短編集。なんと100の物語が収録されている。バリエーションに富みどの話も飽きずに読めた。「あなたの靴が好き」はある日自分に向けられた不思議なメッセージが現れる話。「数」は生後間も無く聞こえてきた数字を唱える声に関する怖い話。
この本では非常に色々な幽霊が登場します。その1つひとつの描写がとても自然なのでまるで本当にあるかのように感じます。冒頭の一文がまず面白い。魔法のランプを描く「願い事」もお気に入りの話です。
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カバーのイラスト一つ一つが各章のタイトルの下に添えられている。35までは順番通りなのに36で突然カバーにないマークが登場し、カバー裏や見返しからも合致するマークを探す羽目になる。
カバーの下にもマークが描かれているかもしれないけど図書館の本なのでカバーを剥がす事ができない。残念。
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一編二ページほどしかない、バラエティに満ちた幽霊ショートショート集。幽霊物語なので一応ホラージャンルだけれど、怖いばかりでなく、ユーモラスだったり可愛かったりもします。そして「幽霊」というものの概念の多様さも読みどころでした。幽霊の方が自由で幸せに思えることもあったりするし、人間以外の幽霊も登場したりして。「幽霊文字」にはびっくりしました。あったら面白いけど。
お気に入りは「遊び方」「ミラ・アムスラー」「十三回の出現」「陽射しがほとんど消えて部屋が静かなとき」「およそ八十グラム」。このあたりがやはりホラーらしくて好きです。なんともいえずぞくぞくしました。
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100編の幽霊の物語。日本の幽霊のじめじめと暗い感じとは違って、からりとしたイメージ。生と地続きのようなあちらの世界。あちらなのかこちらなのか、自分もひょっとすると幽霊の世界にいるのかもと思えたり。
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幽霊とは?という命題に対して、さまざまな角度からの答えとなる物語を100個敷きつめたような短編集でした。
ときに感傷的に、または哲学的に、視点や距離もばらばらにたった2ページの物語を繰り返す。どこか執念的でさえあるこの積み重なりそのものが、どこか空恐ろしく感じさせる幽霊という存在の寄る辺なさ、つかみどころの無さを示しているかのようにも思いました。
全編を通して思うのは、人は死んだらそれで終わりでなく、幽霊という別の個体となってどこかで漂っているかもしれない、人の見える世界がすべてではない、というような作者の視線の奥深さでした。空想やファンタジーではなく、現実に実は寄り添っていたら面白いよね、こんなふうに、と差しだされた短編たちのように感じたのでした。
とても素敵な物語たちでした。
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幽霊譚というよりブラックユーモア的な感じ。何しろ短い! ほとんどがが2ページ。 内容に関する索引まであるのが、気が利いている。
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『幽霊たちがとり憑いていたのは家ではなく、最初から人間だった。だから人間がウィルスに最初はぽつぽつと、やがて百万単位で――屈服すると、幽霊たちは家を出て、頑丈な者、孤独な者、幸運な者、生き延びた者の周りに集まるようになった。死者の世界は生者の世界とぴったりくっついている。静かで落ち着いたとなりの王国から、幽霊たちは伝染病の広がりをながめていた。幽霊にとってそれは湖に降る雨のようだった』―『十二 集まり』
誰のお薦め(レイ・ヴクサヴィッチの「月の部屋で会いましょう」を岸本さんと共に翻訳していた繋がり?)だったか忘れてしまう位には図書館での人気があって漸く手元に回ってくる。二頁弱の短篇とさえ呼ぶのが憚られる短い掌編がずらりと百篇並ぶ。各々のタイトルに付された小さなイラストは原著にもあるものなのか。本の表紙に並べられたアイコンのようなそのユーモラスなイラストが一味出している。
『睡眠中は現実だと思っていた夢から覚め、夢の意味をはらんだ平凡なものを通じて、結局のとこあれは現実に起きたに違いないと理解する、というプロセスを男はくり返している』―『三 手斧、数本の燭台、針刺し、シルクハット』
胡蝶の夢、のような話が始めの方にある。この「入れ代わり」ということが、実は本書を貫くテーマの一つであるように思うのだが、穿ち過ぎか。けれど読んで見れば解る通り、本書の中の人と幽霊は入れ替わるものとして描かれている。但し常に入れ替え可能であるとは限らない。どちらかと言えばその変位は不可逆的で、やはり、入れ代わり、と記すのが適している。
「いろいろな幽霊」という邦題の本書の原題は、The Ghost Variations。確かに、色々な、というニュアンスはあるけれど、読んでみると、むしろ変奏曲という意図が濃いことが理解される。つまり描かれるゴーストは、狼男であったり、フランケンシュタインであったり、ドラキュラであったりと種類が変わるのではなく、いつでも人の死後の姿。そして幽霊という日本語から連想されるものと同じで、その登場人物ならぬ登場霊物たちは、現実の人の世界に執着がある。その執着の程度のバリエーションが本書のテーマであると言えるのではないだろうか。
執着するということの裏には密接に倫理観が絡んでいる。そしてもちろんその倫理観には信仰が強く影響する。言わずもがなではあるけれど、作家ケヴィン・ブロックマイヤーの信仰心がどの程度篤いかは不明ながら、どの作品もキリスト教的ドグマが見え隠れする。それはすなわちこの一見ユーモラスな掌篇が妙に哲学的な響きを纏っていることを意味し、現実の世界に溢れている矛盾をアイロニカルに描いていることを理解させようとする意図も意味する。そのアイロニーの度合いが強くなると、厭世観に満ちて、まるで霊の住む世界の方が理想郷のようにも聞こえ始める。
『長年にわたる物々交換や誘惑によって、莫大な数の罪人の魂を貯め込んだため、それらは悪魔にとって少額硬貨に等しくなった』―『六十六 666』
例えば、百篇の中の六十六番目の作品のタイトルは「666」。ホラー映画好きならすぐにピンとくるだろうこのタ��トルは、新約聖書のヨハネの黙示録に出てくる獣の数字。この一篇には霊を扱う悪魔が出てくる。しかしこの悪魔は何とも人間臭い。しかも金融街で成功して成功にすら飽いている人のような描かれ方。霊が消費されるもののように描かれるところが斬新だ。また本書にはしばしば幽霊の幽霊、あるいはあの世のあの世というメタな概念が登場するが、これも昔からある、死んだ人たちの多くが天国に行ったら天国は手狭になるだろうな、という不謹慎だが素朴な疑問に答える逸話に過ぎないとは言え、それがまるで吟味されるように繰り返されるというのも新しく感じる。形式もさることながら、少し星新一と共通する捻りをそこに見い出すことが出来るように思う。であれば、これ以上あれこれと理屈をこね回すのは野暮というものであろう。
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文章は読んでいて心地よいのだけど、結局何なの?という話がほとんど。
以下はかろうじて理解できて面白かったもの
11.どんなにささやかな一瞬であれ
ラストが詩的
24.十三回の出現
ロマンチック
79.あなたの靴が好き
恐怖よりも知りたい「賞賛」か「侮辱」か?
主題の不完全な索引
狂気を感じる。嫌いじゃない
短い話なのに読むのに時間がかかった
疲れた
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幽霊を考えてみるそのことは世界のありよう組み立てること//幽霊譚はSFである/幽霊は物理的に存在する/幽霊は時間を気にしない/幽霊ごとに法則はある/人間でないものの幽霊もある(宇宙とか蚊とか音楽とか言葉とか)/幽霊とは魂である/幽霊とは皮肉な存在である/幽霊にも苦労はある/幽霊にも人生がある/幽霊は特に怖くない/幽霊は世界を変えることもある/生きていても幽霊にはなれる/幽霊は必ずしも死後に登場するとは限らない/幽霊は思索である。
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幽霊を題材にした100のSS。怪談ではないので特に怖いということはなくどちらかといえばSFとかファンタジーのような感じでさらっと読める。海外の本なので時々その感性はよく分からないみたいなこともあるけど概ね面白く読めた。13もうすぐ死ぬ人も含めたアワードにノミネートされて自分の死を知ってしまう話と96ポルターガイストしか起こせない幽霊が本の表題を使って意思疎通する話が好き。
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一編一編は短い短編集なんだけどものすごく読むのに時間がかかった。
いろいろな幽霊が読むごとに自分の体を通り抜けていくような不思議な読後感。
倦怠、諦念、切なさ、思慕、絶望などの埃っぽい感情の中に漂ってるような気がする。
ゾウたちと幽霊兄弟が好き。