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「本丸目付部屋」の主人公の妹尾十左衛門が、好きである。
上司と部下に慕われるこの妹尾氏読みたくて、ついつい読みあさる。
上司にしたいNO.1ではないかと……
3話からなる。
最初の「書院番組頭」
自分の地位が、危なくなると同時に、その人物を妬み、嘘で固める。
妹尾の息子もこの様な者の配下におり、ひどい修練をさせられていた。
ブラック企業のような感じなのか?
上司が、変わった途端、笙太郎の滑舌の良さに、こちらもニンマリ!
「中奥勤め」
腹違いの兄弟の弟がしでかした、切腹未遂。
いつも、小さな失敗に、精神的苦痛を感じていたのか?
兄弟同士、分かち得なかったこだわりが、溶けた瞬間までは、良かった!良かった!のだが、……
お沙汰になると、采配が難しい!
この時代、お家が、絡んで来るから。
上様も、素敵だ!
この一件に係わった荻生氏に、御文が届けられる。
上司たるものの部下と心通わす行為の文である。
「小伝馬町牢屋敷」
冤罪である。
その罪をかけられ、折檻を何度も繰り返され、気をうせるまで、傷め付けられるのに、無実を訴える。
この折檻には、目付まで、連絡が行くはずが、おざなりになっていた。
冤罪はならず、犯人は見つかった。
お裁きも、各々下ったが、妹尾も『遠慮』のお咎めを受ける。
しかし、それは、忙しい妹尾を休ませる口実であった。
どれも、殺人事件とかでなく、上司たるものの心構えのような話である。
潔さ、優しさが、伝わって来る話であった。