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孔子とその弟子の曾子が記した「孝経」、曾子門下が師の教えをまとめた言行録「曾子」。
「孝とは(あらゆる)徳の根本であり、(すべての)教えがそこから生まれてくるものだ」。家族にまごころをもって接する。親を愛する人は、同じように人を愛することができる。親を敬う人は、同じように人を敬うことができる。家庭での人間関係がそのまま社会に出た後如実にあらわれるから、親と子の接し方こそが非常に重要。2000年以上前に書かれた書物だが、現代に重要な示唆を与えている。
曾子によると、孝は親に盲目的に従うことではない。親も人間だから、間違えることもある。だから、親のことを慮ってそれを真摯に伝えることも子の役割だとする。時に諌めることもありながら、けれど自身の体を授けてくれた親に感謝し敬う。そして、家庭という胎内から社会に生まれ出ると、そこでまた多くの人に生かされる。家庭の延長線上にこそ、社会はある。
人を愛し、敬うこと。相手を思いやる気持ちの重要性は、今も昔も変わらないだろう。
「曾子曰わく、忠は、其れ孝の本か。」
(曾子は言われた、忠(相手を思うまごころ)こそが、孝の根本だろう)