あとがきのフォローが素晴らしい
2024/09/05 09:12
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても簡単に読めるのですが、書いている内容はとても深いと感じました。最初の方は、ややおふざけモードの方が強い感じで、軽めのところから。でも、最後の方は、権威主義・全体主義への懸念や対抗にまで、やさしい語り方で話が進みます。最後のあとがきでは、読んでいて過去の自分のしでかした悪いことを思い出してしまった人への、親切なフォローをしてくれています。やさしく書かれているのに、すごく考えられた本だなぁと思いました。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
悪いことの背後にひそんでいる楽しさについて、興味深く読むことができました。人間の本質に迫っていて、おもしろかったです。
紙幅は薄いですが、読み応えあります。
2024/07/21 21:00
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学・倫理学を専門とする教授の著者が、人間心理に潜む悪い言動を楽しむことについて専門的に分析し、解釈した1冊です。
頁数も1頁当たりの文章量も少ない構成なので、比較的紙幅の薄い新書になります。しかし内容は深く、読み応えのある内容に仕上がっています。いかにも哲学・倫理学的な話になっています。
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タイトルに惹かれてろくに中身を確認せずに購入してしまった本。著者ははっきり示してくれていたのに…これが"倫理学の「勝手口」"であると。
内容は大学の一般教養の初回の講義のようで、わかりやすく軽く読めて良い(20分程で読み切れる)。著者は何も悪くない。確認しなかった自分が悪いのだが、コスパは非常に悪い。
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自己チューはなぜ楽しいのか、いじわるはなぜ楽しいのかという、こどもでもとっつきやすいテーマから始まり、それぞれの章の中でカントやハイデガーなどの哲学・倫理学でよく扱われる思想家を紹介するという流れが、とてもよかった。それらに興味を持つきっかけになりうる本だと思う。
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タイトルに惹かれて手に取りました。内容は倫理学の入門書で、ホッブズやカントの思想をわかりやすく解説しています。善悪の議論が中心で、深く考えさせられる部分も多く、知的好奇心が満たされました。タイトルと内容のギャップはありましたが、倫理学の基本を学ぶには良い一冊です。
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版元からして比較的平明な文章になっているが、題材選びが筆者の他作品の中でもとっつきやすく優れているように思う。
文芸作品からの例示が多く、自分の関心領野としても適っていた。
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悪いこと、いいことにはどんな違いがあるのか。
それは、どう判断されるのか。
社会には様々なルールがあり、それに適合するか否かでジャッジされる悪いこと、良いこと。
タメになる。
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時代とともに、善も悪のニュアンスが変わってきてる気がします。
悪いことをしてるつもりはないけれど、迎合できないとき、自己中や空気を読まないの悪に分類されてしまうと思いました。
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優秀な同期に嫉妬で不親切にする、自分を馬鹿にした人たちに復讐する、クラスの暗黙の了解を破るなど、「悪いこと」をするとなんとも言えぬ快感がほとばしる!
「悪いこと」にスポットライトを当て、善と悪を中心に倫理学について解説した新書。
柔らかい語りかけるような文体なので読みやすかったです。
要所要所で海外文学作品から具体例を紹介しているので、それらの作品も読んでみたくなりました。(特に『レ・ミゼラブル』)
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分かりやすいタイトルを入り口に、ホッブス、カントからアーレントまで紹介していく。
これがけっこう分かりやすい。っていうか分かった気にさせてくれる。ボクみたいな素人にはありがたい。
でも、分かった気になるだけで分かってる訳じゃないことには自覚的でありたいね。
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テーマ設定はユニークだし
「カラオケで気持ちよく歌っているときにハモってくる人」みたいな若い読者に身近な例も悪くない。
ただ、各章で掲げたテーマが完結せず、議論が横滑りしていくイメージ。
各自が考えろ、なら
せめて主要文献を挙げてほしい
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全体的にもう一歩踏み込んで説明してほしいな、という感じで、倫理学に関する本を曲がりなりにも色々と読んだことがある人には、少し物足りない感じがあると思う。が、最後の第六章「反逆することはなぜ楽しいのか」の最後の最後、ハンナ・アーレントの話は、ものすごく印象的で、ちょっと唸ってしまった。
「一つのルールですべての人間を納得させることなんてできない。もしもそれができたら、人間は一つのルールでカバーできてしまうような、単一の存在になってしまう。それに対して、人間には複数性が備わっていて、誰もが他者と異なる存在であり、今まで考えられなかったような新しいことを始めることができる。私たちには、どんなときでも、既存のルールに異を唱え、それを刷新することができる。だから、人間は反逆するーアーレントはそのように考えました。」(p149)
人間の「複数性」を大切にするアーレントは、人間を単一の一塊のような人間と捉えることを批判した。だからこそ、個別の人間の違いに根差したルールの変更が絶えず行われることが大切だとした。
その後の反逆が起きたときの秩序の部分が面白かった。そういった絶えず行われる反逆のたび、どのようなルールにも正当化されない、ある種の無秩序になる。そういった無秩序状態のときに、秩序を保つものを、アーレントは「約束」だとしている。
拍子抜けするような単純な答えだけれども、いやに納得した。ルールも一つの約束である。とすれば、逆に言うと害を成すルールは、もはや一つの約束だったことを忘れ去られた約束である。誰が作ったのか、何のために作られたのか。伝統のまま、放置されたブラックルールは、そういった作られた経緯を誰も知らないまま残り続けて、誰かに不都合を生む。
そこにいる人たちと、再び約束を結び直す。悪しき慣習を変えていくことは、そういうことなのだという結論に、すごく心動かされた。
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タイトルの割に、悪事をはたらく際の人の動機や精神的状態の整理が深掘りされず、浅い議論のまま話題が展開されていくことに不十分さを感じた。
そもそも、悪事で人がワクワクするのは、そこに論理的な根拠があるのではなく、ホモサピエンスの精神的傾向であり、なぜそうした性質が生存し支配的になってきたのかを解き明かすべき対象であると思うが、浅い論理でこれを説明しようとしてしまっていた。
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■自己中は生物の本能。
■ショーペンハウアーはエゴイズム、悪意、同情という三つを、人間がもつ根本的な衝動として説明。人間が何らかの衝動に駆られて行為するとき、それは必ずこの三つのうちのどれかである。この中で道徳的だと言える衝動は、同情しかない。
なぜ人は他者に同情するのか。ショーペンハウアーは「同情は「私」と他者の区別そのものをかき消してしまう」という。