0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に新九郎と愚息コンビ登場。懐かしい。
それに光秀、そして…
信長の命で武田の金山と毛利の銀山を探る旅は波乱続き。
やはり毛利領内の銀山を巡る暗闘が面白い。
山の中にあれほどの街を作った毛利家の実力!
もしもの話だが、地味の薄い甲州の武田家ではなく銀山持ちの毛利家に信玄公が生まれていたら歴史はどうなっていたか。
想像するだけで面白い。
四人の旅の話から彼らの隠し事を見抜いた信長の聡いこと!
そしてそれで今後の光秀の扱い方を決めた。
これが後の乱の芽になるのか…
皆にとって運命が決まった瞬間だった。
土谷の正体はあの人物。
あれほどの能吏の家が絶家ではなく徹底した断絶に追い込まれてしまうとは。
あんな処遇をされてしまうとはよほどの事があったのだろう。
どうにも憎めない彼だけに寂しい気持ちになってしまった。
金と銀の流通、価値の違い、兌換率…
今までにない視点で戦国時代を見る事ができる良作。
投稿元:
レビューを見る
もともと歴史は苦手なのだが、垣根作品は現代を取り上げている頃から読んでいて好きなので、今も読み続けている。
歴史小説になってから、明智光秀を取り上げることが多いように感じることから、作者は相当に明智光秀に傾倒しているように思う。
今回は光秀と以前よりの友垣である愚息と新九郎との三人が織田信長の命を受けて、武田家の金山と毛利家の銀山に潜入する話である。
これまでの時代小説と少し違った毛色の話だと思った。
武田の金山の潜入の際に出会った武田信玄の家来である土屋十兵衛とひょんなことから同道することになる。
この四人の道中が意外に軽妙に描かれながらも、ハラハラドキドキする場面もあり、歴史小説ではあるが面白く読めた。
最終章での信長と光秀とのやりとりは緊迫感があったが、何とか光秀がその場を乗り切れたのにはホッとした。
だが信長はやはり炯眼の持ち主であったのだと、つくづく思わされた。
土屋のその後については最後に詳しく書かれていて興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
こちらのブクログの新刊情報で垣根先生が歴史物の新刊を出された…程度の認識で図書館に予約を入れたもののすっかり忘れて最近になって割当てされたので取りに行ってみたら、なんと!愚息と新九郎が出てくるではないですか!え?同じ世界??ホント?と半信半疑ながらに読み進めましたが「光秀の定理」のスピンオフです。よくぞ出してくれました垣根先生。この二人と光秀の掛け合いが面白いのですよ。また読めてとても嬉しかったです。
ただ何分「光秀の定理」を読んだのが結構、前なので前作との時代関係を首を捻りつつ読んでましたが、前作の半ばくらいの頃ですね。
信長の命でこの三人で「武田の金」と「毛利の銀」を調べにいくという正にタイトル通りのストーリーなのですが、武田の金を調べたところでまだ半分も進んでなかったので??と思いましたが、毛利編の方が断然面白いですね。元就と毛利の両川のキャラがとてもよかったです。今度はこちらの題材で本を出していただけないだろうか。。
「光秀の定理」の半ば頃の時代に起きていた話という設定なので愚息や新九郎が調査に失敗してウッカリ死んでしまったらどうしようという心配もしなくてよいので淡々と読めてしまう分ちょっと残念だったような。。あとは毛利の銀の調査で山道や旧街道を辿る(隠密なので表街道は通れない)のですが巻頭に地図があるもののザックリしすぎててどうせ地図つけるなら、もう少し分かりやすくして欲しかったです。
あとこちらの本で旅の道連れになる土屋十兵衛という人をわたしは知らなかったので知ってたらもっと楽しめたかな…と思います。
投稿元:
レビューを見る
いつもの垣根先生より疾走感は少ないかも。視点がよく入れ替わるのでちと読みにくい。ゲストの仲間は、ああ、あの人かと納得しました。夢枕獏先生のjagaeと並行して読んだのでそれぞれの信長観が楽しい。
投稿元:
レビューを見る
ストーリーの面白さを挙げるとしたら、光秀と新九郎と愚息、それから信玄の家臣の土屋ら4人の行く先々での掛け合いかな。
物語の舞台となる金山銀山の描写もイメージできるし、話の軸となる金と銀の流通のしくみも学べてページを捲る手が止まらなかった。
垣根作品はやっぱり面白い。
投稿元:
レビューを見る
新九郎と愚息、久しぶり!
光秀とのドタバタ道中。やっぱり面白くてあっという間に読み終わってしまった。。
投稿元:
レビューを見る
タイトルから勝手に想像していたのとは違って、戦国ドタバタロードムービー的な物語だった。ちょっと軽すぎるというか、展開が間延びしてしまっている感があり、ここもっとサラッと進めてほしいなと感じる場面が多々あった。が、メインどころ4名のやりとりはなかなか愛嬌があり、その魅力で最後まで読み切ることができた。結末はご愛嬌か。
投稿元:
レビューを見る
信長から命じられたのは、武田の金と毛利の銀を調べ、地力を知ること。命じられたのは明智十兵衛光秀、愚息(一瞬、名前と思わなかった笑)、新九郎の3名。
最初は詐欺まがいの博打をやっていた愚息と新九郎が光秀と馬が合うのか不安ではあったが、最後にはバディか?と思うほどの仲になっていた。人は自分が持たないものを持つ者と惹かれ合うというが、光秀と愚息・新九郎がまさにそれにあたるのかもしれない。
途中、土屋十兵衛が同行するとなったときは、3人の度量の広さに驚いた。敵意はなさそうとは言え、土屋は完全に武田の者なので、いつ裏切られるか分からないのに。でも何だか憎めない人物だし、現代でこういう人物がいたら上司に気に入られそう…等と思った。
読み終わって思うと、土屋はこの旅に必要な男であった。凡ミスにはヒヤヒヤさせられたが。土屋がいなければ毛利の兵に追われることもなかったんだけどね。光秀たちの逃亡劇は緊迫感あり、友情ありで興奮させられた。
一連の報告を信長が受けるシーンが何なら一番緊張した。下手を打とうものなら、首が飛んでしまうだろうし。よくあの場で嘘を交えてもっともらしく報告ができたと思う。
信長が全て気付いていて、光秀という人物の評価を述べたところあたり、後の光秀の謀反を匂わせていてうまい!と思った。
毎回、時代小説を読んで思うのは、自分の圧倒的な日本史への知識不足。史実に忠実に書かれている訳ではないだろうが、最後に「大久保長安」と出てきたときに、なんか聞いたことあるな…くらいの感想しか出てこないのが悲しい。それでも本書は面白かった。
投稿元:
レビューを見る
兎角、戦国時代小説は戦力や戦術・武器・権謀術数・兵糧を中心にした話になりがちだが、それらを支える経済力を読み易く面白い冒険奇譚として描く小説はあまりなく、本書はそういう意味でも貴重な作品。「光秀の定理」「信長の原理」を上梓された著者とすればスピンオフ作品の位置づけにもなる。信長の命で甲斐金山、石見銀山の偵察を任された光秀たちのロードムービー的小説で、甲斐金山で土屋十兵衛といえば後の大久保長安だが、光秀と協力して石見銀山を探索して国力をはじき出す様は、戦描写にも引けを取らない面白さ。このストーリがどこまで史実に基づくものかは不勉強で不明だが、さもありなんと思わせる思わせる説得力は十分。大久保長安は、腹黒い策略家で金の亡者として描かれることが多いが、ここでは剽軽で興味の対象に邁進する少年のような人物像になっているのも興味深い。足利尊氏(極楽征夷大将軍)で直木賞受賞し、独自視点での歴史小説大家となった著者の面目躍如たる受賞後第1作。
投稿元:
レビューを見る
信長、光秀、信玄、毛利を描いて、全然歴史の教科書みたいな史実の流れを追うのではなく、自分も甲斐から石見銀山まで旅をしている様な感覚で、ハラハラしたり、生き生きとした登場人物が出て来て面白かった。信長の鋭さも、今私のいる会社を思いながら読む事が出来た。
投稿元:
レビューを見る
明智光秀と倭寇あがりの僧愚息、剣術使いの新九郎が武田領内の金、毛利領内の銀を探ることを信長に命じられる。そこに土屋十兵衛という男が加わる。四人の個性が絶妙で、ばかばかしくもある話を読者に楽しませてくれる。
投稿元:
レビューを見る
信長からの密命を受けた明智光秀、盟友二人と共に敵方である武田の金、毛利の銀の産出量を調査すべく旅にでる
盟友二人も個性的で頼もしいし、武田の土屋さんもかなりの変わり者
果たして調査は上手く行くのか
その後の流れも
投稿元:
レビューを見る
緊張感もありながらサクサク読めて面白かった。武田が金山、毛利が銀山を持ってて栄えてたことも知らなかったので勉強になった。懐かしの2人にはワクワクしたし、あの人が実在した人物なのには驚いた。
投稿元:
レビューを見る
満足のできる一冊でした。著書の歴史小説には毎回数学的な楽しさがあり、それが他の著書と異なる部分だと思う。ミステリーということではなく数学的なロジックある謎解き。それが面白い。最後、土屋が甲斐に戻るまでの描写があっても良かったかなぁと思う部分が若干のマイナスポイントではあるが全体的には十分に合格ラインを超える一冊です。
投稿元:
レビューを見る
描かれるストーリーは100%創作、嘘であろう。荒唐無稽もいいところ。でも面白い。
ただ暴かれる事実はおそらく真実か。石見銀山の価値は甲州金山全ての価値の2-3倍という。
主人公は光秀達でも信長でもなく長安と言っていいだろうか。この人はもっと小説に描かれてもいいと思うがなぜあまり書かれてこなかったのか。
冒頭モンティーホール問題がまたしても描かれる。愚息の生業の術だから仕方ないとして、しかしこの問題は不思議だ。直感としてはどうしても信じられない。