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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
豪邸に暮らす高齢姉妹の死をきっかけに、二人が歩んだ険しくも愛おしい波乱の生涯をたどる。それぞれの思い描く「幸い」が重なるところまで懸命に生きた姉妹の人生の物語。
姉妹の死、福祉課職員の青年の記憶、ミステリアスな雰囲気に始まり、ゆっくりと解き明かされる謎に、小説であるのに「事実は小説より奇なり」と思わされるリアリティと納得感と意外性が二人の人生の中にあった。淡々と熱を蓄えながら少しずつ周りを照らし照らされていく姉と、朗らかにひたすら日々を熟していく妹の、対照的に見えて共通する静かな強さに心打たれた。
ほんの少しの表現が物事の見え方を一瞬で変化させ、正解がわからなくなる。誰かのハズレは誰かのアタリで、それは選ぶ前には教えてもらえない。辛い出来事を人のせいにする事と、それをしない事でそのものを否定する事と、救いの形の違いを深く考えさせらる作品。
「廊下を二往復」
目を閉じて想像したら幸せな気持ちに満たされた。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争がなければ、姉妹の人生は全然違ってたんだろうけど。
なるようにしかならないっていうか、そのなかでどれだけ頑張るか。
自分が納得できればいいよね。
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時代を遡り、現在へともどってくるという物語展開。
老齢の姉妹が豪邸で亡くなることから物語は動き始める。
徐々に姉妹の過去が見えてきて姉妹を軸に物語は進んでいく。
ミステリー?と思いつつ読んだけれど、2人の女性の大河物語だった。
戦後、親を失い身内を転々としてきた過去を持つ姉妹。
異なる道を生き、たどりついたのは姉妹2人きりでの生活。
姉妹での生活にたどり着くまでの2人の日々は、人生いろいろだと思わせるに十分なもの。
幸せというのは人それぞれで、感じ方も人それぞれで…
それは姉妹であっても違って…
いろいろな事を思いつつ、姉妹に思いを馳せる。
淡々と静かに語られる、そんな物語で、生きていくということについて考えさせられた。
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知らない作家さん
読める機会に恵まれたので
読んでみた
だんだん深堀りされていく
姉妹の歴史と
ともに動いていく心の描写が
いちいちなんだか切なくなった
どんな話なんだって聞かれると
読んでしばらくたっちゃったので
おいなりさんがおいしそうな話
って言っちゃいそう
ずっと覚えてそうな情景は
ふんだんにあるんだけど
ひとつのお話として
心に刻まれたかというと
そんなことはなかった
情景を覚えてる本って
後々、すんごい読み返したくなるよなぁ
いつかのその時のために
おいなりさん、豪邸、サクラは
この本だぞと残しておく
星は3つ
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戦争孤児の姉と妹。親戚の家をたらいまわしにされる間に形作られていった二人だけの決意。
でも二人きりの家族の長い長い時間は、それぞれの時間とそれぞれの意味を積み重ねていく。
誰にも邪魔されない、誰にも気兼ねしない、二人の夢を詰め込んだ大きな家。
そこでの暮らしを夢見て、その夢を実現するために耐え続けた二人が最後に手に入れたものは…
現在と過去と、そしてその途中を行き来することで明らかになっていく二人の人生。
誰かのために生きること、誰かと一緒に生きていくこと。
苦しみや悲しみを乗り越えていく強さは、どこから生まれてくるものなのだろうか。
お互いがお互いを思い合うことって本当は誰のためなんだろう。
相手のために我慢することって本当は誰が耐えていることなんだろう。
優しさが、思いやりが、純粋でまっすぐなはずのその思いが小さないき違いで絡まっていくこともある。その現実が切なくて苦しくて。
誰かのためにがんばっていることが、本当は自分のためかもしれない。それを認めることはある意味とてもつらいこと。それでもかつて同じ夢を見ていた二人なら、きっと分かり合えるはず。
そんな二人の物語を、優しく温かいだけで紡がない菰野江名のシリアスな目を、私は心底信じる。
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装丁の雰囲気とは違い、読み応えがあった。戦争で両親を亡くして、苦労する姉妹の人生が描かれる。自分も妹が居るせいか、桐子の生き方は理解できたが、百合子に関しては、本当に幸せだったのかなあと、穿って考えてしまう。
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つらい幼少期を過ごしてきた姉妹が、二人で思い描いた家に住むという夢に向かって進んでいく。
お互いの思いやりから、それぞれの夢が変化していく様子があり、夢の家に幸いはあったのかな?
血の繋がりの強さと、人の繋がりの面白さも読み取れました。
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人生のスタートから辛い姉妹だったが、二人共が幸せを感じられる人生と思えて良かった 最後も二人で良かった
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読み終えてから表紙の豪華な家と2人の老女と桜の木を見ると感慨深く、桐子の意識から始まる物語の冒頭を思い出して懐かしい気持ちにすらなる。とても好きな作品だ。強く真っ直ぐな桐子、優しく穏やかで歩調を合わせて歩んでくれる百合子、姉妹のどちらもすてきで読むごとに2人を好きになる。青葉と千絵との関わりも、姉妹が出会った人たちとの時間も振り返ると優しさと切なさを連れてくる。どちらか1人でも夢は叶わなかったし、夢を叶えた2人に穏やかな幸せが訪れて本当によかった。あまりに美味しそうな百合子のいなりずしを食べてみたい。
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2人だけで住む家を建てようと夢を持ち家を建てた姉妹の話
小さい頃戦争孤児となり親戚の家を回ってきた姉の桐子と妹の百合子
2人は1日違いで亡くなって見つかる
その2人の生涯
お互いの想い
ぶつかり話さなければわからなく別々でいろんなことがありながらも重ねてきた人生
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80歳の老姉妹が亡くなった。二人で暮らすに至った軌跡を20年ごとに遡っていきながら現在の結果というものに思いを馳せる。彼女たちはどちらが貧乏くじを引いたのだろう、果たして幸せだったのか?と問いかけるミステリーとも言える。
自分の家を建てるという目的にまっしぐらな姉のその性格で沢山の教え子たちを導いたところや妹の押し付けられたばかりで無い人生の夫との温かい時間など、しみじみ感慨深い。
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前作がとても読みやすく共感が持てたので、今作も手に取った。
大きな洋館に住む老姉妹がそれぞれベットの上で亡くなっていた。二人は戦争孤児として、親戚中をたらい回しにされ苦労しながら育ち、将来、大きな屋敷を建て二人で住むことを夢見ていた。
性格も容姿も似ていない桐子と百合子の姉妹。二人の人生が事あるごとに辛い決断をしなければならず、胸を締め付けられる思いがした。
実際、彼女たちのような人生を歩んだ方たちも戦後には大勢いたのだろう。
二人は最後には夢が叶えられて幸せだったのかな。
途中出てくる青葉親子の話も応援したくなった。
デビュー2作目だとは思えないくらい良作で、前作以上に惹きつけらた。菰野さんの今後に期待大。
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感想
人生の幸せ。他人が決めるものではない。例えそれが姉妹だったとしても。この世界には辛いこともたくさんある。だけどみんな光を目指してる。
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地域福祉課に異動になった青葉が、民生委員に紹介されたのは、大きな屋敷に住む80歳の元教師の香坂桐子で、妹の百合子と2人だけで暮らしているという。
紹介され訪れて2週間後に香坂姉妹の訃報が届き…
物語は、その後姉妹の人生を20年ごとに遡っていく。
戦争孤児になった姉妹が、親戚の家を転々としながら心に決めたことは、必ず2人で暮らせる大きな家を手に入れること。
性格も正反対の2人が辿ってきた人生は幸せだったのか…と。
幸せの定義は人それぞれだが、姉妹だけであちこちの親戚の家で肩身の狭い思いをし、大学まで出してもらった姉は教職に就き独身のまま…世話になった恩返しかのように妹が、障害を持つ洋次を世話するかのような結婚生活。
厳しくも真っ当なことを言う桐子を慕う生徒はたくさんいて、定年後も何かと相談にのっていたようで、愛想が良くて子どもも好きな百合子がいることもこの大きな家に人が来ていたのだろう。
青葉が最初に出てきたことにも繋がりがあったのだと。
そして、裏表紙のいなり寿司と桜にも…
最後には、この大きな家で姉妹で暮らせたことは幸せだったのだと思いたい。
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幸いって何だろう。
こんなに長いあいだ、ひとつの信念に向かって突き進めるものなのか。
最近、遡ってゆく物語に惹き込まれる事が多くて、今回も途中でえっとなり、前に戻ってそうゆう事かと納得。
桐子の強さと精神力、百合子の寛容さに救われた人々。
とても魅力的な姉妹のお話でした。