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誰の決断も否定できないし肯定もできない、正解なんてどこにもない問題を突きつけられました。答えなんてないのにそのときの最適解を出して人生を選び進んで行かなければならないという苦しさがページを捲る手を止めるのに、心は急いて二人がどうなるのかを知りたがる…もだもだとした体験でした。
新夏も啓久も安易に忘れようとか気持ちに蓋をしたりせず、自分の答えを出そうと苦しみながら最後までもがいている姿は尊敬します。
どうして自分がなにを一番大切にしたらよいのか分からないのか、常套句ですが、失ってみないと分からないなんて人は愚かだと感じます。
愚かだと自認して大事な人を傷つけないように慎重に生きて行くのだとお守りをもらった気がします。
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8冊目の一穂ミチさん。本屋大賞ノミネートおめでとうございます。これで今年の本屋大賞ノミネート作品、10冊目。やっと全部読み終わりました。
基本的に本は図書館で借りて読む派なのですが、サイン本と出会ってしまい、しかも初回配本限定の書き下ろしショートショート『感情線』がカバー裏に収録されている上に、特製のクリア栞付き。装丁の雰囲気すごくいいですよね、好きです。その装丁デザインのクリア栞も素敵で、結局購入してしまいました。そして寝かせること約半年、やっと読めました〜。
カメラマンをしている30歳の新夏(にいか)は5年付き合った彼氏の啓久(ひらく)からプロポーズされる。しあわせの絶頂をかみしめていたその翌日、啓久が女子高校生のスカートの中を盗撮し、捕まったとの連絡が…。
あらすじを読んだときから、これはまた一穂ミチさん、正解のない嫌なところをついてくるなぁと。絶対読んだらモヤモヤするの確定だよねと。うん、予想通りでした。そして内容のモヤモヤとは反して、読みやすい上に先が気になってしまって一気読みでした。
社会的には大事になっていないのだから許されるべきなのか、、、
性犯罪であることに変わりはないのだから許すべきではないのか、、、
愛情は総合的に判断すべきだから目を瞑るべきなのか、、、
様々な価値観が提示され、どれも一理はあるかもしれないけれど、どれも納得はできなかったです。
実は私、若かりし頃は、見えてもしょうがないかなと思うくらい短いスカートを履いていた時期がありました。痴漢も何度かあったことあります。なので、最初は「顔も写ってないような盗撮くらいなら…」なんて思ってしまう自分がいました。でももしも自分の彼氏が…、もしも自分の旦那が…と考えたとき、本当に許せる?「盗撮をした」という事実は、謝っても罪を償っても、例え許したとしても、どうあがいても一生消えない事実。その事実を一生、一緒に背負っていける?
人間誰しも「魔がさす」ってことはあると思うんですよね。でもその時に実行に移してしまうのか、それとも踏みとどまれるのかの差は本当に大きいんだなと改めて思いました。
犯罪に限らず、人間関係でも取り返しのつかない行動だったり言葉だったりってありますよね。自分も自分の家族も、そんな一線を超えてしまうことがありませんように、と願うばかりです。
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プロポーズされた翌日に彼(啓久)が盗撮で捕まった〜〜! 示談で済んだものの…さぁどうする?
新夏がどうするのか気になって気になって読み進めました。
「なんで盗撮なんかしたの!」って思うくらい新夏が苦しんでるのが読んでて辛いです…
後半は被害者と再会するとこらから始まり、こっちは予想外の展開に驚きつつ…でもこのご時世ならアリ⁈える⁇のかと展開のおもしろさに天晴れです
啓久の事件後の『内心の思い』と『発する言葉』がリアルに心にきてよかったです
読んでよかった一冊です
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カメラマンの関口新夏(にいか)30歳は恋人の神尾啓久(ひらく)と5年間のつきあいで結婚を考えています。
新夏の両親は新夏が2歳の時に離婚して写真館を営む父と二人暮らしですが、母とも時々会っています。
そして啓久は新夏にプロポーズをした日の帰り道、女子高生のスカートの中を盗撮し、すぐその場で捕まってしまいます。
そのことを打ち明けられた新夏は今後どうするのか…。
新夏が啓久と別れるのか結婚するかで悩む前半のラストはとてもせつなかったです。
p107本文より
違うんです。許さないでも許せないでもなく、わからなくてわかれないから進めないんです。
後半のその後の二人の暮らしはさすが直木賞作家の一穂ミチさん。展開が次々に変わりとても面白かったです。
達者だと思いました。
p208本文より
「好きだから別れる、好きだから別れない、どっちも成立しますもんね」
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プロポーズされた翌日、婚約者が盗撮で逮捕された-
ところから始まる物語。
個人的には好きな作家さんだったのと、帯も高瀬さんだったから期待しすぎてしまったかもと思った。
私が違和感を感じてしまうのは、女性がどうあっても被害者サイドでしかいられないこと。その対立構造から抜けられないなら女性って絶対勝てないじゃん、、という。
私は被害者ヅラしたいわけでもなく、フェミニストを主張したいわけでもなく、自分がプレイヤーになれてないことに不平等を感じるんだと思う。
ただどう転んでも、痴漢や盗撮をする人間の気持ちは理解できないしな、、。自分の身近な人が、恋人が、と考えると、衝動があったとして、それはいいとしても、超えてはいけないラインがわからないことに理解ができないと思う(だからちょっとズレるか)。
新夏さんの方(前編)の話の本質は、わかろうとしているのにわからないこと、だと思う。ただ彼女はカメラマンだったから、何を撮りたかったのか、という発想になったのかな。ただ衝動の話となると、うーんやっぱり難しい。男の人になったことないから。
たくさん考えさせられた小説だった。
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恋人が盗撮で捕まった__信じるとは、許すとは、愛するとは。嫌悪感や不審感が湧き上がる中、愛は消えても情は残るからややこしい。この話に答えや正解はないと分かっていても、まだ考え続ける自分がいる。
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ん⁈タイトルからして、これはいい話なのか?
一穂ミチさんだからと、全く紹介記事は読まずに手に取った
いやいやいや、そんな憶測はすぐさま吹っ飛び、一気にモヤモヤする世界に突入
結婚するはずの彼氏が電車で盗撮…
到底許せないでしょと思うが、男性の立場に立ってみる?でも男性じゃないから分かりようがないし、初めてだからって、、、
でも葵みたいにドライに考える人もいるのか…
モヤモヤは続く
後半は、なんとその彼氏の立場からの話『恋とか愛とかやさしさより』
こちらの方が印象的だった
被害者である莉子の家族の実態に驚き
ルッキズムの残酷さに胸を刺され
同じ犯罪なのに暴行や傷害は普通の犯罪、性犯罪は異常者の犯罪という固定観念に対する疑問
たくさんのモヤモヤを感じ、考えさせられたが、
1つの事象にはたくさんの背景があるはずなのに、表面だけを捉えて分かった気になったり、正義をかざすのは違うなと思った
こういう題材を持ってくる一穂さん、すごいです
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すごく読みやすかった。
誰のものでもない自分自身の尺度を持つって難しい。どこからが浮気?どこまでされたら別れる?答えのない人生の出来事たちに立ち向かう辛くも厳しい現実。
女性の生きづらさだけではなくて、異性が生物的にも社会的にも混合する世の中で生きる上での倫理観とかそういうのをまるっと問われた感じ。
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読んでいる間、ずっと考えていました。
私だったらどうする?新夏の母なら?啓久の友人なら?同僚なら?
色んな立場にたったつもりで考えました。その立ち位置で啓久への態度も変わってくる。そんな自分に少し驚きも感じました。
だけど、『性犯罪』は絶対許せない!と昔も今も多分これからも思っている。
たった一つの過ちで人生が変わってしまう。
そういう覚悟を持ってしたことなら仕方ないけれど、軽い気持ちでやったことで人生を棒にふる。それは、性犯罪でなくても起こり得ること。
『運』が悪く、何かの加害者になってしまうこともあるでしょう。ならばせめて自分は己の行動に責任を持って気をつけて生きていくしかないな…などと今は考えています。
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ちょっとした出来心で犯してしまった罪はいつまでもどこかに残る。
いろんな考え方がある中で、どう進めばいいか正解なんてない。
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苦しかった。。。。
もしも、自分にも同じことが降りかかったらと安易に置き換えられないほどモヤモヤしてしまった。
主人公のカップルは本当に愛し合っていて、愛していたからこそお互い悩み尽くして苦しんでいるのが分かる。
ここでどちらかが少しでも打算的な人であれば、ここまで悩むことはなかったのだろう。
悲しいかな私は少しばかり新夏の友人、葵の気持ちも分かってしまった。
スッキリするお話ではないけれど、色々と考えさせられ、あっという間に読了してました。
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地獄みたいな設定だな、と思って手に取った。
言語化が難しい、実態のない感情の描写が、あるよなー、わかるなーってなる。とはいえ神尾さんの犯行動機というか、その時の心理みたいなものは欠片もピンと来ないんだけど。男の人が読んだらまた違うんだろうか。
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盗撮した啓久そして婚約者新花そしてそれぞれの家族兄弟、友人、色々な意見があると思うが結婚は無理だと思った。この物語はものすごく考えさせられ悩むしそれぞれの考え方もあると思うけどもしかして正解はないかもしれない、あなたも読んで考え悩んでください。
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この本のあらすじを読み、自分だったらどうするかな?それを考えてみたいと思い手に取った。
けど、やっぱりわからない。
手に取るように理解出来るのは新夏の苦しみ。
啓久の罪を『 コスパ悪い』と自分で言う様子に幻滅したけれど、
後半の啓久パートでは、啓久側の苦しみや啓久の意外にも真っ直ぐな人柄を知り、またもや混乱。
男と女、全く違う性であるゆえに、
信頼しあうことはむずかしい。
もう全部は無理なんじゃないかしら。
新夏と啓久の幸せな未来を見てみたい。
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【あらすじ】
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。
信じるとは、許すとは、愛するとは。
男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。
【個人的な感想】
読んでいて、考えすぎて苦しくなる本だった。
自分だったらどうするだろう、、、を考えて、答えが出ないものを考え続ける苦しさがあった。
婚約者の盗撮を知った新夏の苦しみがリアルで、読んでいてしんどくなる場面もあった。
ファインダー越しに啓久を覗いて、もうダメだと悟って泣き崩れるところは私も一緒に泣いた。
盗撮で示談は成立するけど、その後もその1度の過ちで苦しみ続けることにすごく「はっ...!」とさせられた。
1度罪を犯してしまったら、この先もうしないということを一生かけて証明していかないといけない。
犯罪を犯してしまった人の背負う苦しみの描かれ方もリアルだった。