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京都にも化野民の子って居たんだ…。隗が纏める一派だけかと思っていたよ
母を殺すつもりだったとしても家族殺しは初めてで。故にシノのメンタルは揺らいでしまうのは当然なんだけど、この有り様だと本当に母殺しなんて出来るのだろうかと疑ってしまうね。無論、そう易易と母殺しが出来ない方が健全では有るのだろうけども
そうした揺らぎを受けてか、この巻のシノはいつにない行動が見えたような
不慣れな手料理に精を出したり、熱に浮かされたり…
それらは彼女が尋常ならざる領域へ近づいている証かのよう
そうした異変が表に現れてしまうくらいには彼女一人では困難な大業。これを支える者達が居る構図は改めて良いと思えるね。特にこの巻で長らく休息していた菖蒲や葉狩が復帰してくれたのは嬉しい処
ただ、それでもこの少数では大業を成し遂げるのが難しい事実は変えられない。だからって徳川慶喜に会いに行くとは思わなかったけどさ。これまで出た史実人物の中で最もビッグネームな人物じゃない…?
まあ、徳川慶喜がどれだけ手が届かない大物であったとしても、厄介な願いを果たそうとするならば人の助けを得ずに出来はしない。春安が人見の助力を得たように
徳川慶喜って様々な切り取り方も可能で英明な人物とも愚鈍な人物とも描けると思うのだけど、本作においては徳川幕府という一大組織を閉じた人物として描かれていたような
それを思えば、これから化野民を閉じようとしているシノがいずれ至らねばならぬ境地の人物だったとも言える
だとすれば、本題後に二人だけで会談した際に慶喜が話した考え方はいずれシノの指針となるのかな…?
これまでも様々な性格・立場の九皐一族が登場した。けれど、シノの目的が母殺しである以上は彼らの協力は仰げない
それだけに好意的に接する事すら難しいとの認識で居たのだけど、射干は解釈の仕方がとびきりに難しい人物だったね
すぐに「飽きた」と口にする態度や百歳を方に乗せて移動しても気にしない態度からは彼女が些事を気にかけない人物に思えた。次に春安と安易にまぐわおうとする考え方から享楽家も疑えた
しかし、その正体は生きるに狂い死に惹かれた人から外れた存在だったようで
またしてもシノは家族殺しをせねばならないのか、それとも生松とは別の結末を呼び込めるのか?ここは分水嶺となりそうだ