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【人類滅亡を阻止したければ殺人の謎を解け!】奇怪な霧により滅びた地球。生存者の住む最後の島で殺人が発生、住民の記憶は消去されていた…何重もの特殊設定で挑む本格ミステリ。
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO87822940U5A400C2MY6000/
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鬼★5 終末ミステリーの決定版! 地球と仲間たちを大切にできてますか? #世界の終わりの最後の殺人
■あらすじ
90年前、巨大な陥没穴が大陸に現れ、大都市を飲み込んだ。その後、穴から黒い霧が流れ出して世界中を包み込んでしまう。世界は滅亡の危機に瀕していた。
最後に残された孤島では、100名ほどの住人と3人の科学者が住んでいる。その科学者たちの研究機関によって、霧を押し戻せるバリアをつくりあげていたのだ。
しかしある日、主任研究者であるニエマが殺害されてしまう。彼女の死によってバリアが解除されてしまい霧が徐々に孤島に迫ってくることに… バリアを再起動させるには犯人を見つけなければならない。
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 終末ミステリーの決定版すね、今年を代表する翻訳ミステリーの一冊ですね。
世界の終わりを描くSFやミステリーって、他の作品でもちょこちょこあるんです。しかし本作には、他の作品にはない圧倒的な強みがいくつもあるんですよ! ぜひそれらをご紹介したいっ
○スケールの大きさ
時代背景としては、現代よりもある程度科学が発達した近未来。世界の終わりが来てもギリギリ孤島で生き残っていた住民たち。しかし本当の終わりが近づいてきた時、そこにいる住民たち、長老と言われる科学者たちはどんな生き様を魅せるのか。
物語が後半に近づくほど危機も差し迫ってくるのですが、追い詰められたにこそ人間性が現れる。昨今、世界的にSDGsが叫ばれています。我々は本当に、このひとつだけの地球で暮らし続けられるよう真剣に考えているのでしょうか。彼らの姿をみていると、きっと自身の思慮の浅さに愕然としてしまうでしょう。
○「わたし」という視点の存在
物語は三人称視点で綴られているのですが、「エービイ」という一人称視点(わたし視点)も存在します。この「エービイ」は登場人物の頭の中におり、登場人物にも読者にも語り掛けてくるんです。
なお住民も長老(科学者)たちの頭に中にも存在し、語り掛け、指示するし、時には嘘もつくんです。この「エービイ」が何なのか良くわからんし、どう物語に絡んでくるのかっつーのが読みどころだし、引き込まれちゃうポイントなんですよね。特に終盤、ラストはもう必見ですよ、見逃せません。
○綿密なストーリーと謎解き
序盤はこの不可解な世界観に巻き込まれながら読み進めることになる。ニエマの殺害事件が起き、住民も読者も困惑の一途をたどるのですが… とある情報がだされてからは一気に物語が動き出して、謎解きミステリーが爆進するんですよ。これがすげー気持ちいいの。
また謎解きとしても中途半端じゃないんです。探偵役のエモリーが現場検証、聞き取りなど行い、犯人、動機、方法を解き明かしていく。単発でなく二重三重にもパワフルに謎解きを展開させていくのは流石でしたね。
さらに後半に入ってくると、数ページにひとつは魂に響くような重い文章がでてくる。読み込むほどに味わい深く突き刺さってくるんです。
○住民たちが鬼熱すぎて泣いちゃう
島の住民たちの絆が��っちゃ熱いんですよ。もうまもなく災厄が近づいているというのに、自分のためでなく、みんなのために行動できる人々。
特に本作の主役は探偵役のエモリーにきゅんきゅんしちゃう。彼女は好奇心旺盛で父親にはいつも諭されたりしているんですが、誰よりも家族想い、仲間想いのいい奴なんです。
またエモリーの父親セトも渋くて好き。偉ぶることをせず謙虚、真面目で一生懸命、家族のことを誇りに思っている。この二人の関係性を感じられるだけで胸が熱くなってくるんすよね。
○それで、この世界って何なの?
独創的な世界なんすよね…。幻想的なんだけど、SFっぽい冷たさも感じる。研究者たちは悪意が見え隠れするし、常に圧迫感があるんですよ。住人たちは奇妙な点も多いし、長老と呼ばれる科学者たちも各々で価値観が違って不思議さ満点。
この世界は何なのか、さらに彼らの行動の意味が理解できたとき… きっとあなたは生命というものを感じることができるでしょう。
■ぜっさん推しポイント
いま私は生きている。
私には価値があるし、みんなにも価値がある。頭脳明晰な人、力がある人、絵が描ける人、音楽を奏でる人、料理ができる人、ひとりひとりに個性がある。
それぞれの価値を持っている個が集まることで、より元気で力強い集団になっていき、より大きな課題も解決していくことができるのです。――ふと日々を振り返ると、自分のことばかり優先してたような気がして反省させられました。
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世界は黒い霧に覆われて滅亡した。その霧を防ぐバリアを張り巡らした島で三人の長老は100人以上の島民と暮らしているが……
度肝抜かれる特殊設定ストーリー!→
たまらなく好きすぎる!設定が!設定がたまらんのだよ!
正直「ミステリー」だと思って読むと消化不良が残るかもしれないが(関係者がほぼ全員記憶を無くしているので、事件も謎解きも全体的にふわふわしている)世界観を楽しんで読むなら最高に面白いと思う。
私はタートンのこの特殊設定詰め込み→
まくりの物語が大好物なので、今作も大満足。
過去二作が好きな人にはハマるのではないかと。
そして、読んですぐはハピエンだと思っていたんだけど、思い返すとハピエンではないよな、と真顔になったり(笑)思わず翻訳者さんのあとがきを読み直して笑ってしまった。ほんま、スチュ大丈夫?(笑)
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こんな特殊設定、よく思いついたなと。世界の終わりが迫っているというだけなら、そういう話はほかにもありそうなのだが、読んでいるうちに、疑問に思うことが出てくる。
この島では、百年以上も生きていて老人にもなっていない長老三人がいて、島の住人は長老を崇拝している。住人は決まった消灯時間でどこにいようと必ず眠りに落ちて、朝になると体が汚れていたりケガをしていたりする。まるで記憶がなく、催眠術のようだ。
そして60歳で必ず死を迎え、亡くなると子どもが補充されるようにどこかから連れて来られて、決まった人数に調整されている。もうすべての住人が本当に人間なのかもわからない。
その中で最たるものが、AIがすべての人の脳に語りかけてきたり会話できたりする点である。このAIは形はなくて、自分の脳の中にあるのだが、作成者の意図に反する言動はしないので、必ずしも正しい指示ではない時がある。
とまあ、こんな世界で起こる殺人事件なんてどうやって解決するんだ。みんな記憶もないのに、と思いきや、記憶抽出器なるものが出てくる。便利そうに聞こえるが、果たしてどうなのか。
SFとか好きな人向けに思える。
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近未来の世界を描いたミステリー。私にはSFと言うよりファンタジーの世界を感じた。
世界の終わりの島を舞台にしたクローズドサークルミステリー。壮大な構成に相応しく内容も今までにないスケール。ここで各人の脳にプログラミングされたエービイが狂言回しの役をするのも今までにない取り組み、何度も読み返したい作品だった。