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母から娘へのケアによる暴力性。生殺与奪を握っている母の全能感と、娘の自責感罪悪感。そして父の不在。親の人生を背負わされる子供の構図ってやっぱグロテスクよなと。
“産んでしまった”ことを認めること=子供自身には何の責任もないと分からせること が、子供の主体性を育むみたいな話がめちゃくちゃ面白かった。
自責感も自己肯定感も、自分の中でぐるぐる回るだけでは何も解決しない。それはあくまで他者との関係性の中でトライされるべきだし、他者にそもそも原因がある場合がたくさんあるってこと。
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信田さんの本は初めて読む。いつもどこかで素通りして来た。今回素通りできなかったのは、SNSでたぶん東畑開人さんが注目していたからだと思う。タイトルになっている内容は5章のテーマで、全般的には母娘の関係が多く取り上げられている。だからか、自分のこととしては受けとめられていない。なにかドラマの中の話のように思えてしまう。ちょうどいま見ているドラマでいうと、「アンサンブル」くらいだろうか。瀬戸朝香演じる過干渉な母親とその娘川口春奈。それと浅田美代子演じる息子というか弟に依存しまくるとんでもない母親。まあ、と言ってもこれはドラマの中のことで、真実味がない。本書に登場するようなことばは真実の世界で日常的に発せられているのか。「全部あなたのためを思ってやっているのだよ」確かに言葉にしなくても自分もそんな思いで自分の行動を正当化してきたことがあった。娘や息子に対しても、仕事の場面でも。いまなら教育虐待と言われるようなこともしてきたかもしれない。それがいまの娘や息子との関係を生み出しているとも言える。しかし、本書のカウンセリングルームにやってくる人々とは比べ物にならないと思っておきたい。大したことないと。子どもたちがPTSDなどかかえていないと。そして、我が家では二人の子どもたちと母親との関係は良好である。僕が自分を、「なんであんな言い方をしてしまったのだろうか」と責めているだけだ。さて、もちろんエディプスコンプレックスは何度も読んだり聞いたりしたことがあったが、阿闍世コンプレックスは聞いた覚えがない。(あじゃせと打っても出てこない。スマホなら出て来るのに。仕方ないので阿闍梨餅と打ってみると一発で出てきた!)小此木啓吾の本も読んでみたい。西洋から入って来た精神分析だけでは日本の家族についてなどうまく説明できないことがあるのだろう。PISAなんかで調べている教育についても同じようなことが言われているようだし。それからアダルトチルドレンについて、まったくちゃんと認識していなかった。主にアルコール依存症などの親の子どものことをいうようだが、被害者は自分なのにどうして自分を責めてしまうのか。そう思わざるを得ないのか。また、自己肯定感ということばはNGワードのようだが、結局その理由をはっきりつかめていない。とにかく全般的にモヤッとした感じで読み終わってしまった。しかし、何かとても大事なことが書かれているように思うし、ここからもう少し考えてみたい、読んでみたいものなどが生まれている。それからグループカウンセリングの重要性、同じような状況にある人の存在を知るだけでも救われる人がいるというようなことも分かった。ということで、昔考えていたことがあるが、一方的な保護者会とかよりも、保護者の座談会的なものが大事なのかもしれないと思った。今更だけど。
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育児中の身には、コンディションによっては厳しい内容。語り言葉でさらっと読めてしまうけれど、一読では理解できたとは言えなかった。また折に触れて再読したい一冊。
信田さんは甘いことは決して言わない。親は子どもの前では少なくとも幸せなフリをする義務がある。ケアには支配の側面があるなど深く考えさせられた。長い臨床経験から出た言葉だけに深く重い。
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依存症臨床から共依存に論究し、母と娘の関係について、早くから論考してきた著者の考えにようやく時代が追いついてきた。アルコール依存問題に戦争トラウマが絡んでいることがどうどうと言えるようになったり、精神分析とフェミニズムの関係やなど、世界では2.30年前から言われている事が、わが国では、当たり前になってきた、私自身の中ではあるが。最後に著者は講演の方が本より面白いと言われているそうだが、確かに講演は脱線だらけで面白いが、本も熱い思いがこもり面白い。本書は両方をミックスした書である。
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2025/04/01予約 22
ACの定義
現在の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人
わかってもらおうという気持ちを捨てることはできなくても、距離を取り、生育歴を語り、お母さんを研究し、10cm高いところから見る
物理的距離をとることが効果的なのは身にしみているので次は10cm高いところからみてみよう、なかなか言うは易しではあるけど。
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個人的にこの本から受け取った一番印象に残った言葉は「非合理的万能感」。
これがあると自分を責めることにつながってしまう。
一回しか用いられていない言葉だけど、この本の主題である自責感の背景を、端的に、そして親子関係に限られない広範囲の文脈で示すのは、非合理的万能感だと思う。
読んだというより、眺めたという感覚で向き合った本だった。ここでの内容を鵜呑みにし過ぎて現実に当てはめることは、それこそ少し現実的ではないと思う。現実は想像以上に複雑だし、個々によって置かれてる環境は異なる。だから、この本の内容を鵜呑みにせずに、自分にとって印象的な部分をつまんでいけばいいし、それを無理に実践しようとせず心の片隅に留めればいいのだと思う。
ただ、事あるごとに参照したいと思う内容だから、手元に置いてあるといいかもしれないとは思う。
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依存症・嗜癖、AC(アダルトチルドレン)、DV、虐待、性加害、母親と娘の問題などについて積極的に発言されてきた信田さよ子氏によるオンラインセミナーを書籍化したもの。
読みやすかった。
信田氏をよく知らない人の入門書としてもおすすめできると思う。
⭐︎印象に残ったところ
p190 「子どもは責任ゼロで生まれてくるんですよ。」
子育てにおいて子どもは、「解決の見通しがない世の中に生まれさせられたんですよ、あなたは」ということを誰かに承認されなきゃいけないんです。
p191 「愛着とは、本来はこの根源的受動性の承認を意味してるんじゃないかと思います。」
(愛着障害について)「ぴったりくっついたり、スキンシップしたり、そうすることで子どもは安定する」みたいに誤解されている。
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タイトルに興味を惹かれて購入。
著者の信田氏の講演をまとめたもの。どちらかというと女性向けの本で、母と娘間の人間関係からここ最近話題になっている概念「きょう依存」や「アダルトチルドレン」「自責感」などを紐解く1冊。
前述の通り、母と娘の関わりに焦点を当てているため、男性に対しては当てはまるのかよくわからない。
また、講演をまとめたものなので口語体で著したとまえがきにある。私にはどうも馴染めず、理論や結論がなかなか読み取れなかった(これは私の読解力が低いこともあるので読み返すうちに理解できるかもしれない)。
印象に残ったのは第2章「ケアすることで相手が弱体化する」という一文。
実質的に相手を支配する、という観点は興味深かった。親切心から申し出たあるいは実行したことが逆に相手の自由を奪ってはいないか、と一歩引いて考える視点を常に持っていたい。
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母親三部作を既読なので、目新しいとは感じなかった。罪悪感は外部の規範に反することで生じる葛藤。自責感は、全て自分が悪いと思わされることで生じる、自己献身からの反応。認知行動療法と相性がいいのかも。
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今年1番響いた。自分の危うさはなんとなく自覚していたが、言語化してくれてとても良い気付きになったと思う。
•自身にACの気があるのは、自覚はあるが、それにより若干の成功体験をしてしまったのは厄介だと思う。「被害者権力」なる言葉の説明があったが、自身の加害性についてはもっと自覚すべきと感じた。
•「ケアをする」ということは「支配する」近いというのあまり自覚がなかった。「良いことをしている」感覚に陥ることはあるので、本当に気をつけるべきと感じた。
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母子関係をテーマに描かれているが、父親や友人といった関係においても似た状況を起きていると思う。
身近な人間との関係に疲れている人にはおすすめ。
親切にしてもらっているのに、思ったことを言いづらい相手との間には、本書で指摘しているようなことがあるのかもしれない。
★★★
「あなたがいないと私は生きていけない」と言われたほうは、もう無上の喜びなんです。「たいしたことがない私」が、一人の人間にとってかけがいのない存在になる。
★★★
権力は状況の定義権
★★★★★
罪悪感は、自分の外部にある規範にそむいていることから生じる
★★★★★
自分を責めるとは、自分にすべての責任があるという感覚で、裏返せば「みんな自分のせい」という、非合理的万能感にも通じるもの
★★★★★
虐待的環境を生きるということは、自分の存在を否定することで、世界の合理性を獲得すること
★★★★★
「自分には何の責任もない」それが承認されることで、はじめて「自分の人生は自分が主体なんだ」と、そういう自分を受け入れられるようになる
★★★★
孤独とは高級な感覚
★★★★
自傷はある意味でマインドフルネス。いま・ここを感じられる
★★★★
自分を責めてきた人たちは、正義に敏感。間違ったことを許せない。あなたを責めるのは間違っているから、となりやすい
★★★★★
ごみ溜めみたいな自分の経験が、グループの人たちの涙になる
★★★★★
この世でもっとも悲惨で、もっとも残酷な話が、仲間の希望になる
★★★★
自分と類似した経験をもつ他者が必要
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正確には専門書ではなく、
一般向け講座を書き起こしたものだが、
信田さよ子先生が積み上げてきた経験があるからこその、
深い洞察についてとてもわかりやすく書かれている。
私の患者さんに読んでもらいたい。
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自分に必要な本だ、と思って読んだ。
本書は、
第1章 母はまだ重い
第2章 共依存を読みとく
第3章 母への罪悪感と自責感
第4章 逆算の育児
第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか
の全5章で構成されている。
カウンセリングセミナーの講座の内容を文字にしたもので、話し言葉寄りの文章で書かれている。
思っていたよりも「母と娘」にフォーカスした話が多かったが、「第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか」に至るまでの章を読み、第5章を読み進めると、これまで書かれていたことと繋がり、理解が深まったような気がした。
「すべて自分が悪い」という思考は、虐待的環境で生きるために自分の存在を否定し、合理性を獲得することだ、という言葉に衝撃を受けた。
それと同時に納得した。
何か理不尽なことが起きたとき、自分を徹底的に否定してしまえば、説明できるようになる。
世の中は合理的なんだ、間違っていない、なぜなら自分が悪いから、と。
こう思わなければ生きていけない状況になってしまうのは、家庭環境によるものが大きいということも分かった。
もくじを見て気になる箇所がある方は、ぜひ読んでみてほしい。
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親が「あなたのために」と言ったとき、言われた本人は抵抗できなくなるんです。「あなたのことを思ってやってるのよ」という言葉がいかに脅迫的か。拒むという選択肢が奪われているからです。選択肢が奪われれば、強制になります。だから、使わないほうがいい。
言われるほうは、反論と抵抗が封じられてしまう。よそから見て問題のない家族でも、そこで育つ子どもたちがすごく苦しいというときに、やっぱり親から「あなたのためにやってるのよ、これが親の愛なのよ」というふうに言われていることがあるんですね。
(P79〜80)
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自責感というのは自分を責めることなんだけど、自分に責任があると感じることも同じです。自分にすべての責任があるという感覚。
家族の中でもっとも小さく弱い存在の子どもが、ひそかに「自分の責任なんだ」「自分は悪い子だからなんだ」と思って、その家族の中を生きてる。それがいかに残酷なことか、もっと多くの大人は気づくべきではないかと思います。
(P189)
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母が自責感を感じている本だと思って手に取ったけど、書かれていたのは主に子どもが感じる自責感だった。
そして、子どもにそう思わせているのは、主に母親なのだそう。
例えば…とあげられている例に思い当たることがあり過ぎて、とってもショック。
多くの親が言ってしまうセリフだと思うけど、これって私だけだったんだろうか?私は毒親認定だな…と悲しくなってしまった。
親の立場でこの本を読んだ他の方の意見を聞いてみたいなぁ。
ダメ出し部分が多かったので、どうしたらいいかということももっと書いて欲しかった。
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自責感があるなと思ってこの本を手に取った。母を重いと思ったこともあるし、母からの呪縛は今も続いているように思う。自分では気づかなかった「生きづらさ」があったんだなということに気づかされた。他者がいたことで、幸いにも私は自分が好きだ。言葉にならない感覚をこれからも大事にしていきたいと思う。