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デカルトはそんなこと言ってない
著者 ドュニ・カンブシュネル , 津崎良典
我思う、故に我在り〉はかくも誤解されてきた!
「〈我思う、故に我在り〉は大発見」「人間の身体は単なる機械」「動物には何をしたっていい」……ぜんぶ誤解だった! 世界的権威が21の「誤解」を提示、デカルトにかけられた嫌疑をひとつひとつ晴らしていく。
「近代哲学の父」「合理主義哲学の祖」などと持ち上げられながら、その実デカルトほど誤解されている哲学者はいない。それでよいのか? 見かねて立ち上がったデカルト研究の世界的権威が、私たちの誤解に逐一反駁を加えながら、デカルト本来の鋭く豊かな思考を再構成する。デカルトが言ってたのはこういうことだったのか! 硬直したデカルト像を一変させるスリリングな哲学入門。
目次
凡例
日本語版への序文
はじめに
1.学校で教わることはどれも役に立たない
2.感覚は私たちを欺く
3.明晰判明でなければ決して真ではない
4.方法の規則は少ししかない
5.神はやろうとすれば3+2=4にできる
6.「私は考える、だから私は在る」というのは大発見である
7.人間の魂は、自分に対して透き通るように立ち現れてくる純粋な思考のことだ
8.人間の精神は、思考するのに身体を必要としない
9.人間の精神は、独り観念を介さなければ何も認識しない
10.人間の意志は無限である
11.人間は、自然の主人にして所有者になるべきだ
12.物質は延長に他ならない、すなわち空間である
13.自然学に経験や実験は不要である
14.人体は、純然たる機械である
15.私たちの魂は、身体を動かすための力を持っている
16.私たちは動物に何をしたって構わない
17.理性は、情動なしで済ませられる
18.私たちの実践上の判断はどれも不確実だ
19.完璧な道徳は手に入らない
20.高邁とは、自由の情念のことだ
21.政治は君主に任せておくべきだ
弁明――簡潔に、対話篇のスタイルで
デカルト主要年譜
訳者後書き
人名索引
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デカルトはそんなこと言ってない
2021/11/17 16:34
そんなこと言ってないよと言う視点
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:見張りを見張るのが私の仕事 - この投稿者のレビュー一覧を見る
デカルトの入門書は既にいろいろ存在しているのだが、本書が普通の入門書と違うのは、デカルトの主張は~である、という記述ではなく、デカルトは~と言ってないという形式を取ることである。誤解、誤読、単純化、不正確な解釈によって歪められたデカルト像をただすために、本書では21の「言ってないこと」をあげて、それらがデカルト本来の思索とかけ離れているかを明らかにしようとするのである。
巻頭に挙げられている「言ってないこと」は「学校で教わることはどれも役に立たない」というものである。デカルトの通った学校とはイエズス会によって設立された伝統的なキリスト教の学校で、デカルトの試みた新しい哲学にとって、そこで教わることは確かに役に立たなそうではある。この言説を著者が如何に否定するのか詳しくは本書をお読みいただきたいが、私はこの章を読んだ際に、芸事における「型破り」や「守破離」のことを考えた。
本書を読み終えて、著者のデカルトの読みは文献学者のそれであり、一語一語を大切にする読みである。なんらかの哲学書を読んだ際、この哲学者の主張は○○であると合点しようとするとき、哲学者の著作に本来含まれていた豊かなニュアンスを平板なものにしてはいないかとの自戒の念を持ちたくなった。
デカルトはそんなこと言ってない
2023/08/01 22:50
デカルトを 読もうと思うが 重い本
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容・評価
タイトル通りの本で、巷に流通していると思われるデカルトの文章とされる21文について、実際は違うという本である。
筆者はデカルト『方法序説』を読んだ記憶はあるが、内容は忘れている。本書を読んで確かめてみようと思った。このように、デカルトの本を読むきっかけになる本ではある。
しかし、ドゥニ・カンブジュネルの研究にはついていけなかった。書簡まで出されては、デカルトを専門にしていない大多数の人々にとっては黙ってうなずくしかない内容でもある。
以上、デカルトを読むきっかけになるという点で5点、著者の主張の妥当性を評価するにはおそらく全集を読まなければならないのが重いという点で1点減らして4点とする。
デカルトはそんなこと言ってない
2024/05/26 14:40
デカルト入門
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史的人物の名言とされるものが実際にはその人物は言っていないという例は枚挙にいとまがない。デカルトの言葉もまさにそのように人口に膾炙してきたのだが、本書はそのような事例を集めた雑学本ではない。誤って伝えられたデカルトの言葉の数々を入口にしたデカルト入門となっている。