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68件
「涼宮ハルヒ」シリーズ
著者 谷川流(著者) , いとうのいぢ(イラスト)
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気づいたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた――。第8回スニーカー大賞〈大賞〉受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー!
涼宮ハルヒの劇場
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涼宮ハルヒの憂鬱
2003/08/30 13:08
「お前『しあわせの青い鳥』って話知ってるか?」
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少しくらい勉強や運動ができたり、美人といわれたりしようと、自分も所詮は何十億いる人類のうちのたった1人にすぎず、別に特別な存在ではないということに気づいてしまった日、涼宮ハルヒは絶望した。自分が楽しいとかすごいと思ったことも、ありふれたことにすぎないと知ってしまったのだ。
その日からハルヒは「特別なこと」を探し始めた。部活も勉強も恋愛も、ありふれた日常、あたりまえの人間には興味がもてなくなったのだ。当然、その姿や行動は周囲には変わり者・奇行としか映らなかった。
この作品は涼宮ハルヒではなく、彼女の前の席に座った少年キョンの視点で進む。
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたらあたしのところに来なさい。以上」
高校に入学し、新しいクラスの自己紹介でいきなりそんなことを言われたら、思わず退いてしまうだろう。けれどもキョンは特に気にすることもなく、普通に席が前後ろという関係を続け、その結果“ただの人間”にすぎないにもかかわらず、自己中心的で行動力だけはある美少女に(文字通り)引きずられて事件の渦中に巻き込まれていくのだ。
方向性としてはSFというよりファンタジー作品だ。
科学的でないとかいう意味ではなく、中心となるテーマが「自己探求」「見失った自分の再発見」という意味で。たとえば『ゲド戦記』、たとえば『カメレオンの呪文』(なんかこういう例を出すと凄そうだけれど、そんなに凄くはありません)。主人公が未知の世界へと旅立ち、その過程で自分自身を発見し、そしてまた元の場所へと戻ってくる話。
高校を舞台にして、「自己探求」の物語を、いわゆる「萌え」キャラを配して、スラップスティックに展開したところがミソなのだろう。購読層となる中高生のツボではなかろうか。
ただ、そういうファンタジーの王道ともいうべき骨格の物語ではあるのだけれど、最後にハルヒが本当に「自分の居場所」を発見したのか、あるいは発見したと自己認識させて良いのかはっきりしないことが惜しい。すべては元通りのように見えるけれど、何かが彼女の中で変わった…という点をハルヒの暴走の被害者であったパソコン部員や朝比奈みくるらと絡めて、もう少し匂わせてくれると良かったと思う。そうでなければ、ただの「精神的に不安定でわがままな主人公がいました。今もいます。」という結末になってしまい、この作品が丸ごと無意味になってしまうからだ。「キミはそのままでいいんだ!」と全肯定するにはハルヒの性格は悪すぎる。
わがままで反省のない主人公。それを容認してしまう周囲の人間関係。バニーガールとかメイドとかメガネといった流行りの「萌え」要素。そういうものに拒絶反応さえなければ、それなりに面白い作品として読めるはずだ。
涼宮ハルヒの憂鬱
2005/06/10 04:56
少年少女の頭の中>現実
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:suguzr - この投稿者のレビュー一覧を見る
<涼宮ハルヒ(すずみやはるひ)>は、高校一年生の女子高生。常に、宇宙人や未来人や超能力者の出現を願っているが、本当のところはそんなものは存在しないんだと理解してしまっている。
この世界はあまりにも小さすぎる。井の中の蛙のオタク的幻想世界のほうが、現実世界よりも遥かに広くて大きい。
”本を読んでもね このごろ前みたいにわくわくしないんだ こんなふうにさ、うまくいきっこないって 心の中ですぐ誰かが、誰かが言うんだ 可愛くないよね”というセリフがアニメ{耳をすませば}にあった。子どものころ想像した輝かしい世界。しかし現実では2005年になったのに、銀色ツナギでエアカーに乗って透明パイプロードを超音速で疾走してる人はいない。かつて未来を夢見た子どもは、想像と現実が食い違っていることにそうのうち失望すら覚えなくなっていく。そして逆にかつての想像の世界を馬鹿にするようになっていくのだ。
”高校に入れば少しはマシかと思ったけど、これじゃ義務教育時代と何も変わんないわね。”と<涼宮ハルヒ>は言う。(一部の)高校生の有り余る痛い想像力の前では、現実は退屈で理不尽でくだらなくて、クズのように見えてしまう。”結局のところ、人間はそこにあるもので満足しなければならないのさ。”主人公<キョン>はそう言うが、ホントにそうなのか?<キョン>こそ何かを望んでいるのではないか?
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読書サイト積書生活
涼宮ハルヒの消失
2005/05/26 00:04
待って良かったら持っていって
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bは本好きのb - この投稿者のレビュー一覧を見る
今度の冒険は、パラレルワールドだ!
と、いうわけでサスペンスなシリーズ第4巻です。
裏テーマは長門有希萌え。ああこんなにも彼女が魅力的になるという展開を、予想した者が果たしていたでしょうか。いやいない(反語)。
見つめられて顔を赤くして俯く長門有希。
意を決して一枚の紙を差し出す長門有希。
いつかの出会いを密かに大切にしている長門有希。
ああ。
そりゃあカラー見開き一人独占ドアップで頬に赤線も入るというものです。
何も分からない世界に放り出されて、失われたハルヒを求め、元の世界に戻ろうと奔走する主人公の不安と無力感を煽るスピーディな展開はかなりドキドキ。
ページをめくる手が止まりません。
今まで散りばめてきた伏線も効いてハルヒが「繋がった」時には涙が出ました。
もう一つの世界のSOS団というのも見てみたかったですね。
さぞかし面白い話が読めたことでしょう。
「だって、そっちのほうが断然面白いじゃないの!」