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顔のない敵
著者 石持浅海 (著)
1993年、カンボジア。NGOのスタッフが地雷除去作業をつづける荒れ地に、突然の爆発音が轟いた。立入禁止区域に、誰かが踏み入ったのだ。頭部を半分吹き飛ばされた無惨な死体。これは、純然たる事故なのか、それとも――。表題作のほか、本格の旗手・石持浅海の原点ともいうべき「対人地雷」ミステリー全6編と、処女作短編で編まれた第一短編集が待望の文庫化!
顔のない敵
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電子書籍顔のない敵
2023/12/25 09:22
地雷 (ネタバレあり)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「地雷」をテーマにした短編集
珍しいテーマで統一したことや、同じ世界観での出来事という設定のためある作品の登場人物や組織が別の作品で重要な役割を担ったりする面白さがありました (ある作品で被害者となった某人物が、別の作品で「そういうとこやぞ」というのを見せつけるのは笑った)
ほぼほぼ罪を見逃す結末なのは悩ましいところ
なお最後の作品はデビュー作だそうで そうとは知らずに読んだので地雷が出てこないので戸惑ってしまった
紙の本顔のない敵
2021/01/31 21:32
一粒で三度おいしいミステリー短編集
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
対人地雷をテーマにした連作短編集。
知らない世界を垣間見れる薀蓄小説として、戦争の負の遺産に切り込む社会派ミステリとして、特殊設定を生かしたトリックを楽しむ本格ミステリとして、一粒で三度おいしい短編集です。
また併録の「暗い箱の中で」は、故障したエレベーターの中での殺人を描く著者のデビュー短編。捜査らしい捜査などできない中、ひたすらディスカッションで事態を見極めようとします。シンプルに推理の醍醐味を味わえる著者らしい一編です。
紙の本顔のない敵
2014/02/09 12:40
展開は単調。しかし・・・
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:108 - この投稿者のレビュー一覧を見る
石持浅海氏の第一短編集の文庫版。石持氏の登場人物の議論の中で、犯人を見つけ出していくという手法はここで確立されたように思う。(何度も続くこの展開を単調と感じる人もいるかもしれない。)
さて、本作に収められている短編は対人地雷を題材にして緩やかにつながっている。
地雷を除去して偉人になりたい者、地雷で被害を受けた者、地雷を製造する者・・・。様々な人の想いが、様々な行動となって現れる。時には殺人として。
本作を手にする多くの人は対人地雷に対して否定的であろう。地雷を作る者を批判する気持ちも起こるだろう。だが、地雷と無縁の国で生きている我々にその資格はあるのだろうか?石持氏は被害者・加害者だけでなく、傍観者にも問いを投げかけている。
対人地雷というテーマをミステリーに用いることに批判もあると思う。しかし、本作はそのテーマに向き合い、真正面から描いたミステリーの枠を超えた名作である。