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イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ
19世紀ロシアの一裁判官が、「死」と向かい合う過程で味わう心理的葛藤を鋭く描いた「イワン・イリイチの死」。社会的地位のある地主貴族の主人公が、嫉妬がもとで妻を刺し殺す――作者の性と愛をめぐる長い葛藤が反映された「クロイツェル・ソナタ」。トルストイの文体が持っている「音とリズム」を日本語に移しかえ、近代小説への懐疑をくぐり抜けた後の新しい作風を端正な文体で再現したトルストイ後期中編2作。
イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ
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2021/06/03 21:34
イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
二つの中編小説が収録されている。
「イワン・イリイチの死」は、地方の一裁判官が病を得て死んでいくまでの心理的葛藤を描いている。「クロイツェル・ソナタ」は、妻が不倫をしていると妄想した貴族が、妻を殺すまでの心理を描いている。
どちらの小説も、「死」に向かう小説なのだが、特に後者の印象が大きい。後の時代から、一人の老人が過去に犯した殺人について回想するのだが、その老人が殺人を経て身に着けた「性欲に基づく結婚への反対」という思想が強烈。
イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ
2017/02/01 21:42
さすがトルストイ、圧倒される
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
イワン・イリイチの死:1882年のロシア、成功した官僚として体裁よく暮らしていた中年男性イワンが、ちょっとした事故をきっかけに体調を崩し、病み衰えて死に向かっていく。自分が死ぬとは(本心では)思えない「普通の人間」の心理状態の変遷が凄い。
解説にもあったが、現代の心理学の受容の諸段階をきっちり表している。
クロイツェル・ソナタ:冒頭の男女の結婚や女権拡大に関わる話題は、かなり現代的だと思った。
姦通を行った妻を刺し殺してしまった貴族の話を聞く形で、結婚の形をとる肉欲の怖ろしさが表現されていく。