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9件
花宵道中(新潮文庫)
著者 宮木あや子 (著)
どんな男に抱かれても、心が疼いたことはない。誰かに惚れる弱さなど、とっくに捨てた筈だった。あの日、あんたに逢うまでは――初めて愛した男の前で客に抱かれる朝霧、思い人を胸に初見世の夜を過ごす茜、弟へ禁忌の恋心を秘める霧里、美貌を持てあまし姉女郎に欲情する緑……儚く残酷な宿命の中で、自分の道に花咲かせ散っていった遊女たち。江戸末期の新吉原を舞台に綴られる、官能純愛絵巻。R-18文学賞受賞作。映画化!
花宵道中(新潮文庫)
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花宵道中
2015/08/28 00:28
女性のためのRつきフィクション。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハードカバーの単行のときはR18が目立ってしょうがなかったんです。
ですが、文庫化されたらサラッと誰でも手にとって状態で(笑)
文庫で買っていてあんまり突っ込めないですが、いいんですかね?(様々な意味で。)
単行でも「宮木さんはすごい書き手だ!!」と感服したのですが、
文庫を買って、再読したら一番最後に書下ろしが一章追加されていました!
遊郭の物語って、「この人はどういういきさつでここで大きい顔しているんだろう」っていう女性が2人はでてくるのですが、
山田屋のおかみさん。この人も例外なく謎。「大門切手」が書き下ろしされてよかった。様々な救いになったように思います。
個人的には映画化された「花宵道中」よりも、八津と新人髪結いとの「十六夜時雨」、
コミュ障気味の美少女・緑と器量コンプレックスの茜がみせてくれる日常はよい空気感。
(茜と緑は、現代っ子らしいキャラクターだと感じます。)
こんな地獄で、再会か…と複雑すぎてこちらまでガックリくるようなドラマ性は、
登場人物をフル活用できる宮木さんの力量そのものでした。
花宵道中
2020/07/30 23:39
悲恋もの
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えぐちよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画にもなりましたね。
遊郭に興味のある方はオススメ。短編集なので読みやすいです。主人公が一話ごとに変わりますが、全編通して人間関係が繋がっています。
花宵道中
2012/08/19 20:21
想い想われ…それでもあふれる切なさ
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸末期の吉原遊郭 そこで生きる女たちの儚い恋物語
恋物語とは言っても遊女の話
本気で男に惚れてしまったら仕事に気が入らなくなるから恋はご法度という吉原の中で 描かれるのは当然“忍ぶ恋”
市井の女性達のように好きな男と所帯を持つことはおろか 一緒に街中を歩くことすらままならない
決して結ばれることなんかない恋は 楽しいことよりも辛いことの方が多いくらいだろう
それでも 彼女達は恋をする
描かれるいくつもの恋は 読み進むうちに繋がり そこに至るまでの長く遠い道のりも明らかになっていく
3章の「青花牡丹」まで読むと 1章の「花宵道中」の背景が鮮やかに浮かび上がり さらに切なさが込み上げる
母や姉 そして愛しいと思った女 誰一人守ることができなかった男の哀しみや辛さがあふれる
好きなのは「十六夜時雨」
絶対に男を好きになんかならないと固く心に決めていた八津と 髪結いの三弥吉の話
他の男に抱かれるための髪結いを 好いてる男にしてもらわなければならない
そして翌朝名残のある乱れた髪をまた結い上げてもらわなければならない
逢うたびに強くなっていく想いに抗えなかった八津 踏みとどまれなかった三弥吉
ふたりの心の葛藤と痛みはどれほどだろうと思う
人をひとり好きになり 相手もそれに応えてくれる
本来ならそれはとても幸せなことのはずなのに どうしてこうも切ないんだろうか
一番怖いのは 失うこと
たまらなく愛しい人と そして自分自身
そのどちらも失わないよう 懸命に生きる彼女達の姿に 心揺さぶられるのだろうと思う