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老人と海(新潮文庫)
八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
老人と海(新潮文庫)
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老人と海
2022/09/08 16:58
一度は読んでおきたい名作だ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「古典」の定義はなかなか難しい。
「広辞苑」には「昔、書かれ、今も読み継がれる物語。
転じて、いつの世にも読まれるべき、価値・評価の高い書物」とある。
池澤夏樹さんは「ずっと前に書かれて今まで読み継がれてきた立派な本」と書いていたりする。
やっかいなのは、「昔」や「ずっと前」だと思う。
例えば、樋口一葉の文章など現代の読み手には少々読みにくいものになりつつあるが、
古典と呼ぶ人は少ないのではないだろうか。
夏目漱石もしかり。
では、ヘミングウェイの『老人と海』はどうだろうか。
1952年に発表された、ヘミングウェイの代表作ともいえる中編小説。
彼はこの作品によってピューリッツァー賞とノーベル賞を受賞したぐらいだから、
「価値・評価の高い」作品であることは間違いない。
でも、1952年って、昭和27年だもの、「昔」ということはない。
だけど、なんだか「古典」の風格もってるし、光文社古典新訳文庫に入っているし。
新潮文庫版は令和二年に高見浩さんの新訳でリニューアルされ、読むやすいと評判がいい。
本文はその新訳版でわずか135ページ。
プロット風にいうと、「老人が海で巨大カジキと格闘する話」になるのだろうが、
大きくは四つにわかれる。
プロローグともいえる始まりで、老人と彼を慕う少年の交流、
そして海に出た老人が巨大カジキをしとめるまでの戦い、
三つめが仕留めたカジキをサメに食べられてしまう顛末、
そして村に戻ってきた老人を癒す少年の姿を描いたおしまいはエピローグといえる。
簡潔な文体、巧みな構成、息もつかせない漁の様子、そしてサメとの攻防。
さすがに名作、傑作といわれるだけのことはある。
これは「古典」であろうがなかろうが、読んでおきたい一冊には違いない。
老人と海
2022/05/07 02:33
老いと不屈さと達成と(一括りにすれば、人間の尊厳ということか)
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
読まねば読まねばと思いつつ幾十年。本日ようやくこの名作を読了。前半は正直だるかったが、後半の巨大カジキそしてサメ群との斗いはさすがの描写と迫力。(但し、舟上での老人の動作などについて、正確には理解できなかった訳も箇所として多々あり。)最後部の少年との交情場面も感動ものでした。ただ読み浸るだけでも充実した読書体験が得られますが、人生における老いや不屈さ、荒々しい自然との交情や生の意味、等々について、ある意味「祖型」的な構造をもった大変優れた小説として、読者の人生において何度も反芻的に脳裡に浮かぶであろう傑作であるとも感じましたね。
「「だが、人間ってやつ、負けるようにはできちゃいない」老人は言った。「叩きつぶされることはあっても、負けやせん」」(109頁)
「こいつは一人の男が優に冬を越せるだけの稼ぎになる魚だった、と思う。」(117頁)
「「なあ、半身の魚よ」老人は呼びかけた。「変わり果てた魚よ。とんでもない沖合に出てしまってすまなかったな。おかげで、おれもおまえもさんざんな目にあった。でも、おれたち、けっこうな数のサメを殺したろうが。他にもたくさん痛めつけてやったし。おまえはこれまでに、どれだけ殺した? その槍のような嘴、だてに備えてるわけじゃあるまい?」」(122頁)
「だが、夜半になって、老人はまた闘いを強いられた。・・・ それが、襲来した群れの最後の一匹だった。もう食らう肉もなくなったのだ。・・・ つくづく、やられたな、と思う。もうどうしようもない。・・・ もはや何の思いもなく、いかなる感情も湧かない。もうすべてが過ぎ去ったのだ。いまはただまっとうに頭を働かせて舟をすべらせ、母港に帰り着ければいい。」(125~6頁)
なお、解説にも登場するかのアドリアーナ・イヴァンチッチ嬢のスペルは「Adriana Ivancich」です。ネットで検索すると、その姿を画像で拝めます。
2024/08/14 08:11
老人と海
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学の英米文学の授業でヘミングウェイの課題提出のために購入しました。締め切りがあったので、慌てて、読みました。面白かったです。