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3件
方舟を燃やす
著者 角田光代
口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよ――。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。
方舟を燃やす
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2025/04/03 09:47
デマの話
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川英治文学賞。
"大勢を救うことがどだい無理でも、でも、近くにいるだれかが助けを求めて手をのばしていたら、それに向かって手をさしのべることくらいは、自分にもできるのだろうか。"
善意で信じて、騙されたり、迷惑になったりしてしまうんだな。大変面白かった。
2024/12/23 14:09
テーマはデマ
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ねたばれ
タイトルに使われている「方舟」は聖書に登場する「ノアの方舟」からきている、主人公の一人、飛馬は「ノアは方舟は神を信じている人しか助けないのか、信じていない人も助けるべきじゃなかったのか」と考える、その考えは地震から多くの人を救ったという祖父の行動(どうも眉唾ものらしいが)に起因しているのかもしれない、作品のテーマは「デマ」、もう一人の主人公、不三子は勝沼という女性と知り合い「玄米を食べればつわりはおさまる」「白い食べ物は体に悪い」と教わって健康食品や自然療法を家族に取り入れる、しかし家族は崩壊してゆく、彼女の主張は他の家族には「デマ」としか聞こえない、ノストラダムス、コックリさん、災害に関するフェイクニュース(動画)と確かに「デマ」とは長いこと付き合わされている
方舟を燃やす
2024/04/22 21:47
正しいと思う情報が、正しいことも誤りであることも
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
二人の主人公が過ごした生活の場は、場所や時が異なる場であったが、自らが得た情報を、正しいと判断したがために、心に刻み、信じたその結果は、読む人の判断にゆだねられるのだろう。私たちは、予測不能な世界に生きるのだから、何が正しいことであることは、本当のところ、わからない。信じたい世界を身にまとい、生きていくことを、作り話にまみれた生き方など、どうしていえよう。方舟を作り乗り込んだノアは、後世に物語として語り継がれたが、方舟に乗り込まなかった人で、生き残った人が、いたかもしれないと思うと、正しい情報とは、何か?