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3件
他人の顔(新潮文庫)
著者 安部公房
液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔”をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。特異な着想の中に執拗なまでに精緻な科学的記載をも交えて、“顔”というものに関わって生きている人間という存在の不安定さ、あいまいさを描く長編。(解説・大江健三郎)
他人の顔(新潮文庫)
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他人の顔 改版
2024/01/28 10:57
他人の顔
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実験中の事故で顔に傷を負った男が、包帯を巻いた生活から抜け出し、他人の顔を基に仮面を作って妻を「他人」として誘惑しようとする。途中、仮面や人間にとって顔とは何か、という考察が入るが、長い考察が終盤になって生きてくる構成になっている。
他人の顔 改版
2023/05/06 07:30
人は見た目では判断できないはずなのに、
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
思わずそれをやってしまうことがあるよね。それは、経験則によるものなのか、教育によるものなのかはさておき、無意識にかけてしまうフィルターをかけない練習をした方がいい。ただ、人間は賢いから成熟すればするほど、安全牌をとってしまうのだなあ。不合理だなあ。僕自身はといえば、もっと自分と周りを見た目に惑わされないで信じる強さがあれば、これからもっと幸福に恵まれたかもしれない。
他人の顔 改版
2023/05/26 06:05
顔など容器に過ぎないはず
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
事故により顔を失い包帯で顔を隠す主人公。周囲との柔らかな壁、そして妻からの拒絶を受け、悩む。顔など容器に過ぎない。中身が大切なはずだ。自分の技能、労働は顔がどうあろうと対価は払われる。そこで得た信用は私自体の本質ではないのか。それが皮膚一枚に左右されていいはずはない。顔に代表される自分とはどんなものなのか、そんな問いをつきつける。求めているのは他者との連絡通路の拡大であり、受け入れられることである。仮面はーーー顔を失った主人公にとってーーー他者に開いた扉となる。しかし、選んだのは「他人の顔」だった。