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3件
異人たちとの夏(新潮文庫)
著者 山田太一
妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢った。こみあげてくる懐かしさ。心安らぐ不思議な団欒。しかし、年若い恋人は「もう決して彼らと逢わないで」と懇願した……。静かすぎる都会のひと夏、異界の人々との交渉を、ファンタスティックに、鬼気迫る筆で描き出す、名脚本家山田太一の独自の小説世界。第一回山本周五郎賞受賞作品!(解説・田辺聖子)
異人たちとの夏(新潮文庫)
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異人たちとの夏
2021/12/07 12:00
心にしみる不思議な物語
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物の多くが今は亡き人である という不思議な物語である。しかしホラーではなく心にしみる。とりわけ自分より若い両親とのエピソード 心の交流場面が良い。著名な脚本家だけあって、場面場面が目に浮かぶような良作である。
異人たちとの夏
2017/09/10 09:13
脚本家山田太一氏のとても不思議な小説です。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、様々なテレビでの大ヒットをとばした脚本家山田太一氏の小説です。ここで表題となっている「異人」とは一体何を指すのか、最初はわかりませんでしたが、本書を読んでいくうちに、これはこの世ではない世界、すなわち「異界に住む人」を指すのだということが分かりました。ただ、だからといって本書を「SF小説」というようにはカテゴリー化できない、何か人間の心に訴えるものがあります。私も、本書を読み終えて、とても不思議な気持ちというか、何とも言えぬ人間味を感じさせる後味に酔いしれてしまいました。
異人たちとの夏
2002/06/01 16:46
死者との交感
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:御津 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに本に夢中になったかも、と思った。
これは、死者と生きている者との交感の話といったらいいのか。
離婚したばかりのTVドラマの脚本家が主人公で、夜になるとほぼ無人になってしまう事務所ビルに住んでいる。
そこにある夜、胸に火傷の跡をもつケイという女がたずねてきて、関係を持ってしまう。
それと同時的に主人公は浅草の町なかで死んだ両親に出会うが、幻覚であると知りつつ、関係を断つことができない。
自分はおかしくなったのだろうか、と思い、ケイに止められながらも、甘く優しい両親との会話にとらわれてゆく。
そして、誰の目にもわかるほど憔悴していく……。
これからどうなるんだ、と引き込まれるようにして読み終わりました。
読後、ぼーっとしてしまった。何か、よかったです。