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6件
サンショウウオの四十九日
著者 朝比奈秋
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
サンショウウオの四十九日
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2024/10/03 13:40
不思議な不思議な話
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれ
第171回芥川賞受賞作品、作者は医師でもあるのでこのブラックジャック的な奇妙な世界にも信ぴょう性が生まれる。主人公の父親は胎内性胎児としてこの世に生をうけた(兄の体内でシシャモのように1年間を過ごす)、これはまた大変な物語だなと覚悟を決めて読み進めると、それどころではなく主人公(たち)は結合双生児で、全てがくっついていて顔面も違う半顔が真っ二つになって少しずれている、共通の膣をもっているからセックスは一人は気持ちが良くても、一人にはレイプとしか感じられない。オオサンショウウオに見えてくる白と黒の陰陽魚がくるくる回って一つになる、二人で一つ。一つの体に一つの意識、あたり前のことだけど、彼女たちはそうではない、片方が死んだときだけその瞬間が訪れる
2024/07/15 00:17
医師としての当事者性?
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
今の医師作家のなかでもっとも好きな朝比奈さん。今回も設定は凄まじいが筆致の安心感で没入できる。ベトちゃんドクちゃんが印象深く記憶されている世代なのもあるのかもしれない。
「分人」が2人住んでいる身体。意識と自我が複雑に絡み合って、でも当人たちはあまり複雑に捉えず受け止めようとしている。
芥川賞は受賞しておかしくない実力者。どうしても『ハンチバック』以降は当事者性が意識されてしまうだろうから、難しいところ。どちらにしても、今から選評が楽しみ。
2024/07/25 20:02
意識と身体の関係がいりまじって脳内で動き回るような話
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投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞受賞作品というだけあって、
所々で、頭が追いつかない部分がありましたが
なんとか読了。
結合児とのあらすじで読み始めたので
やはり想像してしまうのは
ベトちゃんドクちゃんのような体型ですが
作中の杏ちゃん、瞬ちゃんは
頭までぴったりつながった結合児として登場します。
なかでも印象的だったのが
文通をするシーンで、文通相手に
自分は結合児なんだと打ち明けたら
イラストが送られてきて、全然違うと
2人で楽しんでいるような感じがする場面です。
双子でよく、話さなくても意思疎通ができるとは
よく聞きますが、これも同じ感覚なのでしょうか。
後半になるにつれて、死についてかなり哲学的な話になり
今この思考は、杏視点なのか、それとも瞬視点なのか
身体の死は、結合児の場合
意識の死だとしたら、その判断はどう診断されるのか
死ぬことは、おそらく結合児でもそうでなくても変わらない
身体から意識が離れていくだけだとしたら…。
怖くないのか?でもやはり死ぬことは恐ろしさがあり
最後に、お互いがちゃんとお互いを認識できていて
ホッとしました。
医療系の話は、難しさと、考えささられることが多いです。