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3件
赤と黒
製材小屋のせがれとして生れ、父や兄から絶えず虐待され、暗い日々を送るジュリヤン・ソレル。彼は華奢な体つきとデリケートな美貌の持主だが、不屈の強靱な意志を内に秘め、町を支配するブルジョアに対する激しい憎悪の念に燃えていた。僧侶になって出世しようという野心を抱いていたジュリヤンは、たまたま町長レーナル家の家庭教師になり、純真な夫人を誘惑してしまう……。
赤と黒(下)(新潮文庫)
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赤と黒 改版 上
2004/03/07 07:38
人間の本性を見た
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:無風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心は傷つきやすい。それなのに、心の生みだす欲望は、とてつもなく大きい。欲望が行動を支える。そして、行動は他人との衝突をひきおこす。
心と心がぶつかり、突き放される。それでも、人間は、何かを手にいれずにはいられない。企む。願いが叶う。突き放される。傷つく。また企む。そのくりかえし。
この小説には、嘘がない。どの時代にも普遍の、ありのままの人間が描かれている。微細な動作、瞬間の反応、心理描写に関するどこを採っても、現実に起こりうるものであろう。現実に打ちのめされ、流す涙は、心の穢れを示している。心の穢れをさらす姿は、あたかも本物の人間が息づくかの如くである。穢れのない心など存在しない。心が穢れるのは、欲望が現実を美化するからだ。
行動を駆りたてるのは、社会背景ではない。欲望なのだ。欲望が人を現実から遠ざける。だからくりかえす。これが人間の姿だ。
赤と黒 改版 上
2001/10/07 15:39
赤と黒上巻
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あんぱん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス生まれのスタンダールの傑作。ジュリアンソレルはレナール夫人と激しく恋に落ちる。しかし、ジュリアンは神学校へとゆき、さらにド・ラ・モール氏の秘書になることになりレナール夫人と離れ離れになってしまう。
赤と黒 改版 上
2019/01/28 10:30
この男も逆玉狙い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説もフランス文学でおなじみのバルザックの「ゴリオ爺さん」、フローベールの「感情教育」と同様、貧しい家庭に育った青年が恵まれた容姿を武器に貴族階級の女性を落として自分も上流階級に上り詰めようと目論むという展開だ。面白いことに、いずれの作品の若者もその野望は潰えてしまうことになるのだが、このジュリヤンはあまりに哀れだ