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10件
魔の山
第一次大戦前、ハンブルク生れの青年ハンス・カストルプはスイス高原ダヴォスのサナトリウムで療養生活を送る。無垢な青年が、ロシア婦人ショーシャを愛し、理性と道徳に絶対の信頼を置く民主主義者セテムブリーニ、独裁によって神の国をうち樹てようとする虚無主義者ナフタ等と知り合い自己を形成してゆく過程を描き、“人間”と“人生”の真相を追究したドイツ教養小説の大作。
魔の山(下)(新潮文庫)
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魔の山 改版 上巻
2023/01/15 09:42
療養の生活の中で
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結核の療養施設で過ごす青年の日々。直ぐに良くなって元の生活に帰るつもりでいたが、一年が経ってしまう。その過程で、時間の流れを見詰め直す。人文主義の役割とは何かを問う。
魔の山 改版 上巻
2022/01/21 20:19
魔の山 上
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平凡な小市民ハンス・カストルプ青年が従兄への見舞いがてらスイスの高山に療養に行き、療養所で体調を崩して他の患者たちと交流する。山の上の文化は「低地」とは異なり、他の患者や医師たちと議論を交わし、思索を深める事で時間や愛、生体としての人間などについて認識を新たにしていく。
教養小説ということで主人公は成長しているのだろうし、いつだったかこの小説を「世俗としての低地を下に見て芸術的・哲学的高みへとのぼっていく小説」という評価を見たことがあった気がするが、なんとなく療養所もハンス・カストルプの思索もうさんくさく感じる。これは私が世俗にまみれたからなのだろうか。
魔の山 改版 下巻
2015/08/17 17:25
「下山もまた登山なり」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間をまるごと放り込んだような作品。
難解だという前評判から、いつかは読んでみたいと、しばらく「登頂」する機会を探っていたのですが、いざ読んでみると、愛すべきキャラクターばかりで、楽しく読め、深く感動しました。
確かに、上巻と異なり、下巻に入ると当時のヨーロッパの論点を網羅せんとした議論(政治、法学、政治学、歴史学、芸術、音楽、天文学…)が続き、果たして今小説を読んでいるのかと道に迷いそうになるかもしれません。しかし、あきらめず歩を進めてください。その道中、マンはすてきなエピソードをたくさん用意しており、小説の可能性に対する大いなる希望と人間の本質に迫らんとする彼の気概が感じることができるはずです。
そして、作品全体を貫く深くて暗いテーマを抱えながら、物語はやがて最後を迎えるのですが…、私自身、あの最後でしか最後たりえないのではないかと思います。
多くの人に「魔の山」を読んでほしい、そして、あの頂からの景色を見てほしいと思います。
人生の宿題にすることなく、ぜひすぐにでも読み始めてほしいです。