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4件
知的創造のヒント
著者 外山滋比古
あなたに最適な知的創造のヒントがここにある。常に心構えを柔軟にしておくコツから忘却の効用、雑談のすすめ、メモをとる是非や本の読み方まで著者の実践法を紹介します。個性的な思考スタイルを身につけ、知的創造性を発揮するための実践トレーニングが満載の一冊。あきらめていたユニークな発想ができるようになる知的習慣術。
知的創造のヒント
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知的創造のヒント
2011/07/31 21:32
アイデア創出に関する随筆
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文学者の外山滋比古氏が著した随筆である。一見するとハウツーものと勘違いしそうなタイトルであるが、本書は、外山氏が知的創造をする際に、自分の経験と知識を中心に読者へ考え方を披歴したものである。
アイデアを出すことはあらゆる場で求められることであるが、それが直ちに出てくるほど簡単ではない。色々な思考を繰り返して苦しみ抜いた後でなければ、良いアイデアが出てこないということは、多くの人が経験上知っていることであろう。ただし、こればかりやっていても、やがて同じ所へ戻ってきてしまうので、休むことも必要だと説く。
とくに睡眠の効果について縷々述べているのが面白い。睡眠をとることによってごちゃごちゃと詰め込んだ頭の中が整理されるというのだ。たしかに寝ざめの後まで寝る前と同じ状態であることはあまりないかも知れない。
同じように雑談の効用も大きいという。自分とは異なる分野の専門家との雑談はきわめて触発されるところが多いようだ。おそらく自分のアイデアで行く詰まってくると、方法論について共通点を見出だし、各論での違いを転用することを思いつくのかもしれない。
外山先生は、脳の中をこういう状態に高めておくと、何かの瞬間に突然アイデアが出てくることが多いという。それは我々も感じてはいるのだが、実際にそういう体験をした人は少ないかもしれない。知識としては知っているというレベルである。古今東西、何かの瞬間で最も多いのが散歩であるという。
散歩の効用である。また、この突然訪れるアイデアはセレンディピティとも言われているようだ。学者の中では常識なのであろう。私もある学者が犬も歩けば棒に当たると例えた人もいたことを思い出した。
もう一つ重要なことは、アイデアは突然訪れるので必ずメモを傍に用意しておくことが肝腎であるという。肌身離さずメモ用紙と筆記用具を携帯している人はあまりいそうもない。やはりアイデアで勝負している人に限られるようだ。
この他、様々なたとえを駆使して知的創造についての雑感を述べている。料理方法、カクテルなどである。アイデアを出すということは我々が日常的に始終求められていることだが、出ないままに放置しておくことが多い。外山先生の突飛とは言えないオーソドックスなヒントを参考にしてみてはどうであろうか?
知的創造のヒント
2010/03/14 11:29
「思考の整理学」と合わせて読むとよい
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「思考の整理学」と同じことが書かれている部分もある。こちらの方が先に書かれたものらしいが。自力で考え自力で学ぶことを指導されることも、経験することもなかった学生にたいしては、特にそれは重ねて言っておかねばならない重点事項でもある。今やそれは学生だけのことではない。
日本の教育は、自分で考える方法を教えるのではなく、既存の知識を記憶させることを目指してきた。今や日本は経済でも科学や技術でも世界の先頭集団に属する。知識を覚えるのではなく、知識や知恵を作り出していくことを求められている。
自分で問題を見つけ、その解決の手段や手法を作り出したりして、新たな智の枠組みや領域を開拓していかねばならない。その為のヒントがいろいろとあるように思う。
「思考の整理学」と合わせて読むとよい。
知的創造のヒント
2011/01/26 21:39
ふるきよき時代 (?!) の思考法・学習法
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
もののかんがえかたや学習のしかたなどについての 1970 年代くらいに書かれた短文をまとめた本だ.最近の本がおおかれ,すくなかれ,教養主義が死滅し情報資本主義的なかんがえかたに毒されているのに対して,この本はそれ以前のもっとナイーブな思考や教養主義にもとづいていて,かんがえさせられることがいろいろある.しかし,すでに「このごろどこでも会議というものがやたらにある」というように,現代病があたまをもたげている.もういちど,こういう時代からただしい方向にすすんできたのか,それともまちがった方向にきてしまったのか,こういう本を読んでかんがえなおしてみてはどうだろうか?