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9件
昭和16年夏の敗戦 新版
著者 猪瀬直樹 著
日米開戦前夜。平均年齢三十三歳、全国各地から集められた若手エリート集団が出した結論は「日本必敗」。それでも日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視して無謀な戦争に突入したプロセスを描き、日本的組織の構造的欠陥を暴く。
石破茂氏との対談、新版あとがきを収録。
昭和16年夏の敗戦 新版
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昭和16年夏の敗戦 新版
2020/07/18 09:33
元東京都知事で、作家の猪瀬直樹氏による太平洋戦争における意思決定のあるべき姿について綴られた意欲作です!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ニッポンを読み解く!』、『瀕死のジャーナリズム』、『日本国の研究』などの話題作を発表されるだけでなく、東京都知事も歴任された猪瀬直樹氏が1986年に発表された作品です。内容は、日本は太平洋戦争の緒戦や奇襲攻撃で部分的な勝利はするのですが、国力の差から劣勢となり敗戦に至ってしまいます。日米開戦直前の夏、総力戦研究所の若手エリートたちがシミュレーションを重ねて出した戦争の経過は、実は、実際とほぼ同じだったのです。知られざる実話をもとに日本が「無謀な戦争」に突入したプロセスを描き、意思決定のあるべき姿を示した意欲作です。同書の内容構成は、「第1章 三月の旅」、「第2章 イカロスたちの夏」、「第3章 暮色の空」、「巻末特別対談 日米開戦に見る日本人の決める力」となっています。
2021/08/01 16:31
予言的
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新版の終わりに収められている「我われの歴史意識が試されているー新版のあとがきにかえて」が秀逸だった。新型コロナウイルス感染症流行による小中学校の一斉休校に関する安倍政権の決定過程を斬った。それは新型コロナ感染症対策本部、関係閣僚・官僚による協議、首相秘書官兼補佐官官の首相への進言という三段構えから成り、日米開戦を決めた連絡会議と御前会議と同じく、きわめて不透明だった。
現在のコロナ対策は、これに分科会が加わり、首相の判断を判断を歪めている。
本書は、日米開戦時の東條英機首相を実直な官僚として描いた。開戦決断の責任は東條が負うが、実際の責任の所在が曖昧であった当時の風景と併せて。これは、実務能力の高さで首相に昇り詰めた菅氏とどこか重なる。今の日本の行く先が当時と同じく滅亡なのかと思うと、非常に暗い気持ちになる。
当時、国の若い精鋭を集めた「総合戦研究所」は、数字を積み上げたデータから日米開戦について「日本必敗」の結論を導き出した。政府は、東條を始め和平派・中間派の閣僚を抱えながら開戦を決断した。戦略物資などのデータを持っていながら、開戦に向かうようになぜか議論が進んだ。
データがあるのに、どうしてそういう解釈になるのか分からないような過程があり、政策が決まっている風景は、今と驚くほど似ている。本書は予言的であり、読んでいて引き込まれた。
2025/05/25 12:13
猪瀬氏らしい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名無し - この投稿者のレビュー一覧を見る
猪瀬氏らしい、含蓄のある文章。史実は、近衛文麿内閣の失政と、ABCD包囲網の拡大、米英の日本資産凍結だが、特に資源を持たない日本には、後々効いてくるものだったと読み取れる。