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文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
著者 青木栄一 著
文部科学省は2001年に文部省と科学技術庁が統合し、発足した。教育、学術、科学技術を中心に幅広い分野を担当する一方で「三流官庁」とも揶揄される。実態はどのようなものか。霞が関最小の人員、キャリア官僚の昇進ルート、減り続ける予算など実状を解説。さらに、ゆとり教育の断念、働きすぎの教員たち、大学入試改革の頓挫、学術研究の弱体化など続出する問題に迫る。官邸や経産省に振り回される現状は変えられるか。
文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
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文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
2021/04/26 22:07
『文部科学省』
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文部省と科学技術庁が統合して2001年に発足した“三流官庁”文部科学省
その特徴を「内弁慶の外地蔵」という二面性であると捉え、各種研究・データに基づき描き出す
・霞が関最小の定員
・キャリアとノンキャリアのキャリアパス
・減り続ける予算
・ゆとり教育の失敗と教員の多忙化
・頓挫した大学入試改革
統合により変容した教育政策、学術政策、科学技術政策を見れば、文科省は旧文部省の延長線上にはなく、まったく異なる組織となっており、弱体化した文科省を「間接統治」により官邸と経産省が支配するようになっている
著者は教育行政学を専門とする研究者
国立教育政策研究所在職中に身近で観察できたアドバンテージをもとに、文科省20年の歴史と現在を解説する
センセーショナルな暴露本ではなく、冷静な筆致で実態に迫った骨太の労作
文部科学省 揺らぐ日本の教育と学術
2021/04/11 18:03
文科省
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文部科学省の実態が、詳しく分析されていて、興味を持ちました。日本の教育と学術が心配になってくることが、多かったです。
2024/07/03 22:03
組織と実体 わかるが人権 軽視かな
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
文部科学省は、森喜朗政権下の中央省庁再編(この部分、ウィキペディア「中央省庁再編」を参照)で、当時の文部省と科学技術庁が合併してできた省庁であるが、どのような組織であり、実際の文部科学行政がどのようなものかを、「内部から参与観察することができた」(p.277。理由はp.276からを読めばわかる。従って単に外部からのみ観察したわけではない)青木栄一が解明するものである。
2.評価
(1)まず第2章まで。文部科学省がどういう組織かがわかって有益であった。科学技術庁との合併は、旧文部省の視点から見ると組織が大分変容したことがわかる。そして、これらの視点は全体に貫かれている。
(2)第3章以降は、実際の、主に文部行政がどのように変質したかがわかる。科学技術庁との合併の影響もあるが(文部省的「機会均等」から、科学技術庁的「選択と集中」に変化している。なお、「○○省・庁的」という表現は筆者の表現)、企業や政治家からの圧力があり、文部行政はそれへの抵抗は不十分で、結局学校や生徒・学生、教職員に負担を負わせるようになっていく様がわかる。
(3)文部科学省をよく分かっていないはずの(もちろん筆者を含む)大多数の読者にとって、文部科学省の歴史や現状を知るのに有益な本ではあるが、比較の対象が英米に偏していることと、社会権規約第13条第2項の、とりわけ(c)(高等教育無償化の漸進的導入)の視点が欠けており、フェアな本とは言えない。
(4)以上、全体として5点、(3)で指摘した問題点で1点減らして、4点とする。